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裁かれた恋

タイトル:(仮)裁かれた恋

▼登場人物
●佐志戸 郁也(さしど いくや):男性。33歳。独身サラリーマン。社長の1人息子で御曹司。
●須藤(すどう)レミ:女性。30歳。郁也のフィアンセ。根っからの浮気性。本編では「レミ」と記載。
●茶房(さぼう)ノンコ:女性。30代。郁也の欲望と理想から生まれた生霊。

▼場所設定
●郁也の自宅:都内にある一般的なアパートのイメージでOKです。
●カクテルバー:都内にあるお洒落なカクテルバーのイメージで。
●街中:デートスポットなど必要ならで一般的なイメージでお願いします。

▼アイテム
●Strength of Belief:ノンコが郁也に勧める特製の錠剤。これを飲むと現実の恋に強くなる。でもトラブルは解決できない。
●Obedient Puppet:ノンコが郁也に勧める特製の液体薬。飲んだ人を従順なピエロに仕立て、その人を確実に自分の元から離さないようにする効果を持つ。

NAは佐志戸 郁也でよろしくお願い致します。

イントロ〜

あなたは、愛する人に浮気された事はありますか?
または自分が本来愛していた人を裏切り、
誰かと浮気した事はあったでしょうか?
浮気と言うのは文字通り、不倫という言葉が示しているとおりに
道徳から外れた行為。してはならないこと…
だと全ての人はわかっていてもそれをしてしまう。
人間は欲望の生き物と言いますが、その浮気をやめさせることも
自分がそうなって欲しいと言う欲から出たもの?
今回は、そんなトラブルに見舞われた
ある男性にまつわる不思議なお話。
…いや、少し怖いお話になるでしょうか。

メインシナリオ〜

ト書き〈トラブル〉

郁也「お前もしかして、また浮気したのか!?」

レミ「何言ってんのよ!そんな事するはずないじゃない!」

郁也「じゃあこの電話番号は一体誰なんだよ!」

レミ「あっ!信じらんない!私の携帯勝手に覗いたの!?」

郁也「信じられないのはお前の性格のほうだよ!結婚約束しといて、今更んなって他の男とデートか!?一体何考えてんだよお前は!」

俺の名前は佐志戸 郁也。
今年33歳になる独身サラリーマン。

俺には今付き合ってる彼女がいて、名前はレミ。
付き合った当初はレミのことを本気で信じ、
愛していたのだが、暫くしてこいつの本性が分かり、
俺は落胆していた。

こいつはかなり尻軽な女だった。

普段は真面目で優しいくせに、
一旦欲望に駆られると訳が分からなくなるのか?
それまで信じてきたこいつとはまるで別人のように
俺を裏切り、好き勝手に奔放する癖がある。

でも…

郁也「レミ、なんでだよ…?どうして1つところにずっと居てくれないんだ?なんで落ち着いて付き合うことができないんだよ…!」

俺はやっぱりレミの事を愛していた。

ト書き〈カクテルバー〉

そんなある日、俺は少しやり切れない気持ちを抱え、
会社帰りに1人飲みに行くことにした。
いつもの飲み屋街を歩いていると、全く見慣れないバーがある。

郁也「新装開店かな?」

と思い入ってみると、中は結構落ち着いており、
気に入ったので俺ばそこのカウンターで飲んでいた。

郁也「レミ、頼むからもう落ち着いてくれ…浮気なんかしないでくれ」

そんな事をブツクサ思っていた時…

ノンコ「こんばんは、お1人ですか?よければご一緒しません?」

と1人の女性が声をかけてきた。

彼女の名前は茶房(さぼう)ノンコ。
都内で恋愛コンサルタントやメンタルヒーラーの仕事をしていたようで、
その少し変わった名前もペンネーム感覚で自分でつけたとの事。

郁也「へぇ、ヒーラーさんなんて初めて会いましたよ」

そんな形で暫く喋っていた時、少し不思議な気がしてきた。
まず彼女に対しては恋愛感情が全く湧かず、
代わりに自分の事をもっとよく知って貰いたい…
と言う思いが膨らんでくる。

その上で、
「昔どこかでいちど会った事のある人?」
と言う気持ちが芽生え、そのせいでか心が和み、
彼女と一緒に居るだけで安心できる。

そして俺はその気持ち通りに、
その時抱えていた自分の悩みを全て彼女に打ち明けていた。
彼女は親身になって聞いてくれた。

ノンコ「なるほど、今付き合ってらっしゃる彼女さんとの関係の事ですか?」

郁也「え、ええ、まぁ。あいつが浮気するようになってから何度も心を引き離そうとしたんですけど、なかなかそう簡単にはいかなくて。きっと僕は、やっぱりそんな彼女でも…あいつの事を愛してるんだと思います」

ノンコ「でもそれは素晴らしい事だと思いますよ。どんな状況になっても1度愛したその人を信じる。そしてその愛を守ろうとする。これはできるようでなかなかできる事じゃありません」

郁也「ハハw未練タラタラのような気もしますけどね」

ノンコ「良いでしょう、分かりました。それではあなたのそのお悩みを少しでも解決できるよう、取り計らって差し上げましょうか?」

郁也「え?」

そう言って彼女は持っていたバッグから錠剤のような物を取り出し、
それを俺に勧めてこう言ってきた。

ノンコ「それは『Strength of Belief』と言う特製の錠剤でして、それを飲んで彼女に向かえばきっとあなたの心は彼女を更に強く信じ、ちょっとやそっとの事ではもう怒らなくなるでしょう。その広い心の許容をもって、今後どうか彼女の全てを受け止める努力をしてみて下さい」

郁也「はぁ…?」

そんな信じられない事を言ってきた彼女だが、
やっぱり不思議な魅力の持ち主だった。
彼女に言われた事なら何故か信じてしまう。
俺はついその気になって錠剤を受け取り、
その場で一気に飲み干していた。

ト書き〈数日後〉

それから数日後。
俺は確かに変わっていた。

レミは相変わらず浮気をしているような
そんな男の影を俺にちらつかせたが、俺はそれを余り気にせず、
ただ彼女を信じる事に徹するようになっていた。

どんなに他の男の所へ行ったと思えても、
最後には必ず俺のもとに戻ってきて
2人一緒に過ごす時間を大切にする。

これはまぁ昔から変わらなかったが、
俺は彼女にとって安心の砦のようになっているんじゃないか?
とも思えるようになり、それを心の土台にして
その後も彼女を変わらず愛するようになっていく。

ト書き〈トラブル〉

でもそんな時、また新たなトラブルが起きたのだ。
それは俺から隠れてレミが他の男と電話していた時。

レミ「まぁ大丈夫よ。彼、アタシのこと信じてくれちゃってるから♪え?あ、ごめんね〜。それでも彼から離れる気は無いのよ。だって彼、結構な資産家でしょ?」

(陰で盗み聞きしながら)

郁也「…なん…だと…?」

レミの狙いは俺の資産、貯金、ステータス。
確かに俺は都内で会社を設立した親父の一人息子で、
世間的には御曹司で名前が通る。

こいつの狙いはそれだったのだ。
俺を愛していたからじゃない。
俺の財産が目的で近づいていた。

だから俺のもとから離れず、他の男と好き勝手に遊んだ後は
まるで小遣いでも貰うかのようにして俺のもとへまた戻ってきて、
改めて騙す姿勢で俺に良い顔をする。

俺はこれまでレミと付き合ってきて、1番落ち込んだ。
殺してやろうかとも思ったほど。

ト書き〈カクテルバー〉

でもそんな事はできず、俺はやっぱり落胆を抱え
又あのバーへ立ち寄っていた。
すると又あのノンコさんが前と同じ席に座って飲んでいた。

俺はすぐ彼女の元へ駆け寄り、とにかく話を聞いて欲しかった。
彼女にはそうさせる魅力がある。

ノンコ「そうだったんですか…」

郁也「ええ。もうダメですよ。あいつは絶対その浮気癖を直さない。浮気を楽しんでるんです。全く馬鹿な女だ。そんなバカな奴を愛してしまった俺は…」

とにかく落ち込みながら、酒をがぶ飲みし、
もう立ち直れないほどになっていた。
でもそんな俺をノンコさんは優しく抱擁するように…

ノンコ「郁也さん、大丈夫ですよ。また立ち直る事は必ずできます。ツライのは今だけ。人にとってこういうツライ事は、その後、必ず大きな心の糧になるものです。どうか、世間を余り狭く見ないようにして下さいね。そのレミさんの他にも、あなたにとって良い女性は沢山居ますよ」

ノンコさんは精一杯、俺を慰めてくれたんだろう。
でも俺の気持ちはまだレミに残っていた。未練だ。

付き合った時は本当に彼女を愛していた。
彼女も初めはあんなじゃなかった。
その時の事を思い出し、
俺はその思い出にしがみつくようにして、
まだ彼女の事を忘れられない。

そんな形に悩んでいると…

ノンコ「…彼女の事、忘れられないようですね。では、そのあなたの夢を叶えて差し上げましょうか?」

郁也「…え?」

そう言って彼女はまたバッグの中から今度は液体薬を1本取り出し…

ノンコ「これは『Obedient Puppet』と言うこれもまた特製のお薬で、これを彼女に飲ませてみなさい。そうすればきっと彼女はあなたの元から離れる事なく、ずっとその後も一緒に居る事ができるでしょう」

郁也「…は、はぁ?」

ノンコ「…フフ、あなたはもう、本当は解ってるんでしょう?この薬が持つ効果の事を。使うかどうかはあなた次第。あなたはまだ引き返す事も出来ます。それは彼女から離れる事。もしそれが出来なければ、そのお薬を飲ませてみると良いでしょう。あなたの人生です。あなたがお決め下さい」

不思議な事を言うが、彼女の言う通りだった。

ト書き〈郁也の部屋でオチ〉

そしてある日の夜。
レミはまた外で遊んできて、いつものように俺の元に帰ってきた。

適当に俺を安心させて、また外へ羽ばたいて行く為の準備だろう。
彼女の策略のようなものである。

その夜に俺はノンコさんから貰ったあの薬を
コーヒーに混ぜてレミに飲ませた。

確かにこの薬の持つ効果が俺には解っていたようだ。
うっすらだが、解っていた。
解っていながら飲ませたその薬の効果は、その後、
俺の期待通り、予想通りに、レミを或る状態に落ち着かせていた。

(手足が無くなりダルマの様に成った従順なレミ)

郁也「へへ…レミぃ…。これじゃぁもうどこにも行けないよなぁ?他の男ン所に行く事もできないwもっと早くからこう成るべきだったんだよお前は。いや、俺達は…かw」

薬を飲ませたそのすぐ後に、レミは手足が無くなり、
ダルマのようになって俺の部屋の床に転がった。
そして俺はそのダルマになったレミを大事に抱えて寝室へ行き、
ベッドの上にレミをセットするように置いた後、
そう言って2人の愛をもう1度確かめ合った。

手足が無ければどこにも行く事は無い。
そしてこのレミは、俺にひどく従順だったのだ。
そんな状態になっても、俺への愛は更に強まったらしい。

レミ「郁也様、私、あなたの言う事なら何でも聞きます。だからどうか見捨てないでね。ずっと愛して下さい…」

ト書き〈郁也のアパートを外から眺めながら〉

ノンコ「私は郁也の理想と欲望から生まれた生霊。その欲望を叶える為だけに現れた。前にあげたお薬は現実の恋に強くなる為、そして最後にあげたお薬はレミを従順なピエロに仕立て、その愛した人を確実に自分の元から離さないようにする効果を持っていた。あんな形でね」

ノンコ「その上ダルマにされたその人は、その薬を盛った人に従順で居続ける。そんなふうに効果が調節されたお薬だったのよ。とは言え、人の愛は強制からは生まれない。レミはあんなにされたから内心恐怖の余り、暴力に恐れる形で従順なだけ」

ノンコ「これも薬の効果で、それ以上取り乱さないようにレミはされて居るけど…郁也、今のあなたの姿はまるで独裁者よね。自分の思い通りに1人の人間を操り、その運命を決定づけてしまう。郁也の中には強靭なまでの独裁者が住んで居た。欲望を引き出す事は、その独裁の心を引き出す事に同じだったのよね。今度は正義に裁かれないように気をつけないと…」

動画はこちら(^^♪
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