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【演劇】【稽古の仕方改革 草の根プロジェクトの検証結果発信_No.5】稽古のシフト参加を極力受容しつつ、計画的な稽古予定組みが可能か検証



(1)当検討のねらい

◇当プロジェクトからの『成果発信No.5』におきまして、香盤表を活用することにより、役者の稽古への参加度合いを調整することが一定程度可能だという検証結果が得られました。
『発信No.4』のまとめに書きましたが、「稽古に参加しても、その日自分の出るシーンの稽古はなかった」といった弊害の低減につながると思います。

◇それでは、各役者の稽古への参加可否の事情をできるだけ汲みつつ、なおかつ最大限計画的な稽古予定を組む、という事はできないものでしょうか?

◇もし上記が可能だとすれば、役者・稽古参加者にとっての「ワークライフバランス」がより図られた稽古が可能になると思われます。
(その他にも、より密な役者活動を行いたい方にとっては、『参加公演のかけもち』が現状よりもっと可能になる状況が得られると思われます。もちろん、通し稽古期間や本番日程が重なることは難しいかと思いますが。)
次のセクションより、上記が可能かどうか、実際に検証してみたいと思います!

(2)当検討の設定条件

◇当プロジェクトの【成果発信No.4】にて模擬的香盤表を作成しましたが、そのうち「戯曲B」の香盤表は役者の出番にやや差がありましたので、当検証でも引き続き「戯曲B」をたたき台に検証したいと思います。前回の検証詳細は【成果発信No.4】の文章をご参照いただければと思いますが、本検証はできるだけ【No.4】を読まなくても分かるような内容とするよう心がけます。

◇上記「戯曲B」において、シーンによって出番がないキャストが4人おられましたので、この方々の稽古シフト参加を受容するものと想定します。また、稽古後半は通し稽古等、全員参加が求められる時期になると思いますので、稽古期間前半をシフト参加受容可能期間と見立てます(期間の詳細は(3)と(4)に記載します)。

◇上記の受容可能期間に、「対象の各キャストにおいて、稽古予定日1日毎に20%の可能性でお休みが発生する」という条件を想定します。その想定によって発生した「稽古参加NG日」を稽古スケジュールに反映したうえ、各日どのシーン区切りが稽古可能かを検証します。

◇上記の模擬的NG日の設定について・・・以下の乱数生成ツールサイトを、同じく以下の条件で活用しました。
http://mpnets.net/rand/index.cgi? …「各日毎に20%の可能性でお休みが発生する」状況を再現すべく、各キャスト・各稽古日毎に0~4の数値をランダムに生成し、「0」が出たらお休みだと想定する事とします。こうすることで、お休みの確率が1日あたり20%という状況となり、また、稽古運営側ではお休みの発生頻度を読めない状況も一定再現しました。

◇上記までの条件設定にて検証した結果が、次の(3)のとおりとなります。

(3)実際の検証結果

※表の詳細説明は(4)をご参照ください。また、上記表はクリック(タップ)して拡大できます。

(4)当検証から得られる事

◇当模擬稽古日程の期間のうち、稽古4日目から17日目までまでを稽古のシフト参加受容可能期間と想定しました。稽古18日目は通し稽古1回目であり、それ以降も本番直前となり、全員参加が望まれる稽古になっていきますので、一定程度妥当な期間ではと思われます。

◇キャスト5・6・8・9の方々に対し、乱数生成サイトを使って(2)の条件でお休みを仮想的に設定した結果が(3)のとおりです。「1日毎」に20%の確率ですので、期間中お休みが多い人もいれば、少ない人もいらっしゃいます。この点も、稽古前半別公演に参加している等々、実態に近しい部分があるかと思われます。

◇上記までをふまえ、当プロジェクトの【成果発信No.4】で作成した香盤表をベースに、各日いずれのシーン区切りが稽古可能か確認したところ、1日だけはどのシーン区切りの稽古もできない(そのシーンの役者が揃わない)日がありましたが、その日以外はいずれかのシーンの稽古が可能であるとの検証結果が得られました。(3)の稽古日程表の右端にその詳細を記載しています。

◇この検証結果の結論として、香盤表を稽古のスケジューリングに活用したうえ稽古予定組みを行うと、ある程度の役者のお休みを受容しつつ、それでいてなお各シーンの稽古を一定程度計画的にすすめることができる、という事が言えそうです。

◇今回はお休みの設定に乱数生成サイトを使いましたが、実際のお休みをヒアリングする場合でもプロセスは基本的に同じです。お休みの度合いが期待値より多い場合、当初申告以上の稽古参加を勧奨するというケースも想定されるかも?と思われますが、いずれにしても、漠然と全ての稽古日程に参加してもらう方式よりはぐっと効率的・戦略的かつ、福利厚生の意味合いも備えた兼ねた稽古の仕方ではないかと思います。
参考になりましたら幸いです。

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