日本からボリビアまで66時間の道のり(前編)
毎年ボリビアのウユニを訪れることは、もはや年間行事であるのは間違いないのだが、空路でウユニに入ったことは一度だけで、それ以外は陸路で向かったことしかない。
チリから、パラグアイから、ペルーからとは入ったことあったが、ブラジルからだけ陸路で入ったことがなかった。4つはすべてボリビアの隣国だ。
それで今回はブラジル、サンパウロまでの航空券を買って陸路でボリビアのウユニを目指そうと思った。
1月11日、午後12時半。
チューリッヒ行、スイス航空は遅れて出発した。
チューリッヒで3時間ほどのトランジットの後、サンパウロに向けて再び離陸。
サンパウロに到着したのが1月12日、午前6時半ころ。ここまですでに30時間。普通の人ならこれでもかなりの長距離移動だ。しかしわたしはこの程度なら慣れているので、ここからもうひと踏んばり、できるだけボリビアに近づきたかった。
空港から向かったのは「Terminal Rodoviário Barra Funda」ボリビア方面のバスが出ているターミナルだ。
このルートは情報が少ないので正確な情報が手に入りにくい。それもそのはず、だれが好き好んでこのルートを選ぶんだっての。
シャトルバスがあるはずだった。しかしどこから出ているのかは分からない。到着したロビー、ターミナル3から表に出てみるとバスが1台停まっていた。とりあえず表に停まっているバスに近づくと車体に広告が貼ってあり、「Terminal Barra Funda」の名前も書いてある。近くにいた係りの人に訊いてみるとこれで間違いないようだった。40分待ちだと言うので待つことに。
ブラジル通貨のレアルは一切持っていない。また、できれば持たずにクレジットカードだけでしのぎたいと思っていた。バスはクレジットカードが使えた。料金は39.9レアル、日本円で約1,200円。地下鉄でも行けるようだが、通勤ラッシュ時にこの荷物で乗車するのは厳しい。それにわたしは閉所恐怖症でどのみち混んでいる電車は無理だった。
午前10時、空港から1時間半かけてバスターミナルに着いた。ここまでは順調だった。問題はここからだった。
とりあえず、ひととおりどこ行のバス出ているのか見て回ると、驚くことにボリビアの「Santa Cruz de la Sierra」行のバスがあるではないか。これに乗ってしまえばいつかは「Santa Cruz de la Sierra」に着く。しかし、いくらここら辺の土地勘がないわたしでも、それがどのくらいの距離なのかは想像できた。出発時刻は17時。所要時間を訊いてみると1日半という回答が返ってきた。それはそうだろう……。
さすがにここからさらに1日半バスに乗る体力はない。ちなみに料金を訊くと630レアルと馬鹿高かった。日本円で19,000円近くだ。
「Puerto Suárez」行のバスも見つけた。「Puerto Suárez」はボリビアに越境して2つ目の街だ。ここまで行けるのがベストだと考えていた。
しかし、窓口はあるのだが人がいない。隣の窓口で代行しているのか、手招きしてくれたので尋ねてみると、今日は「Puerto Suárez」行のバスはないということだった。国境手前の「Corumbá」までならバスがあるという。料金は500レアル、日本円で15,000円強。出発時刻は17時15分ということだった。
もっと手前の「Campo Grande」まで行くことも検討してみたが、こちらも16時発で料金は350レアルと、どれも安くはなく、いやむしろ馬鹿高いのだが、これがブラジルの物価かと諦めて17時15分発の「Corumbá」行を買うことに決めた。本当はもっと早い時間のバスがあったのだろうが、おそらくネットで完売してしまったのだろう。しかしなぜ、その方法を見逃してしまっていたのだろうか、普通はオンラインで予約するだろう……。
困った……時刻はまだ午前10時半、7時間待ちだ。
バスターミナルの外にも出てみたが暑くてすぐに引き返した。これからまだ長旅だというのに無駄に汗をかいている場合じゃない。
ターミナル内はクレジットカードが使えそうな店が多かった。食事もそういうところで済まそうと思った。
たまたまSIMを売っている店……というかブースを立てている人を見つけた。もしSIMが安いのなら買ってみるかと思って金額を訊くと、11ギガ使えて15レアル、日本円で約450円。有効期限は20日間。わたしは1日程度しか必要なかったがターミナル内はWiFiがなかったので買うことにした。おかげでだいぶ気が紛れた。
食事はターミナル内のハンバーガーショップに入った。お店の名前が入ったバーガーのセットで35レアル、日本で1,000円強。なんでもかんでも高い。ブラジルの物価はここまでたかっただろうか? 前回訪れたのが2016年……あのときも安くはなかったが、ここまでではなかったはずだ。
(後編へ続く)
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