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UYUNI 40日目

自分でも「どうした?」と思うのだが、今年はウェディングフォトの受注が主だ。
正直、昨年まではあまり積極的に撮りにいきたいジャンルではなかった。
撮ってはいたが、決まったポーズも知らなければ、わたしの世界観は一般的なウェディングフォトのそれとはだいぶずれていたと思う。
ずれてはいたが、しかしそれはそれでというものだった。
ところが今年は、どうしたものか順調に撮影できている。何というか一般的なものに近づいた気がする。
それがいいのかどうかと自分に問うなら……うーん、どうだろう、だがしかし楽しくはある。
そう、思った以上に楽しい。
ウェディングフォトというのは実に綺麗だ。

先日、YouTubeが見られる部屋から見られない部屋へと移動した。
わたしの定宿には各階にシャワーとトイレがあるのだが、その階のシャワーがしょぼすぎて、例えるなら小雨で
髪の長いわたしは、それでは髪の毛が体に纏わりつくだけで、下の階のシャワーを使っていたのだが、そこもなぜかお湯が出なくなってしまいストレスが溜まっていた。
それで階をひとつ上げた。
そこは毎年滞在していた階なのだが、毎年使っていた部屋は今年先客が月単位で借りていて、そこには入れなかったのでその隣へと引っ越した。
YouTubeが見られる部屋というのは壁掛け薄型テレビがあったのだが、今度の部屋には今では懐かしい箱型テレビが置いていある。
当然YouTubeは見られない。彼らが現役で動いていた時代にはYouTubeの「Yu」の字もなかった。
まぁ、元よりテレビは見ないので箱型テレビだろうがそこは問題ない。
問題はWiFiがまったく入らないことだ……。
知らなかった、この部屋がこんなにも電波が悪かったとは。
キッチンは目の前になったが、これはこれで頭を悩ませる。

ウユニは非常に小さな街で、ウユニ塩湖に行かずして他に何をするのだと言われるほど、確かにやることは多くないのだが、ここに長くいるとそれなりにいろんな人に会う。
そして彼らのライフスタイルからわたしも自身のライフスタイルについて考えさせられる。
これだけ長く海外にいても未だにわたしは安定して収入を得るための手段を持っていない。
確かにこの時期は撮影を生業にしているがそれも今年を最後にしようと思っているわけだからますますまずい。
決して多くはないが、収入を得ながら旅をしている人たちはいる。
わたしももっとたくさんの収入を得ながら旅を続ける方法を、いい加減見つけなくてはならない。

今、ひとつ心配事がある。
日本人の一般的な常識、行動、考えかたが理解できないということだ。
元よりずれてはいたが、いよいよ本当によく分からなくなってきた。
別に理解できなくて問題ないのだが、これが仕事となると少し困る。
一般的な日本人の期待には応えられそうにないからだ。
だからせめて仕事の前には一度顔を合わせたい。
双方納得した上で撮影へと移りたいと思う。
自分はこんな奴だけど大丈夫? っていうのを確認してもらいたいわけだ。

昨日、今年初めてここでワインを飲む機会があった。
滞在中めったに友達はできないし、飲む機会があるとすればホダカの従業員とくらい。
そんな中、珍しく昨日はここで知りあった気の合う男の子と、元から彼が約束をしていた女の子と3人で飲んだ。
ふたりともホダカの脇のアヴェニダに滞在していたので、わたしもそちらへお邪魔した。
実はアヴェニダに入るのは初めてで……いや、正確に言うなら入ったことはあるが、それはいつもアヴェニダのおばちゃんに通訳として呼ばれるときだけで、こうして普通にお邪魔するのは初めてだった。
ふたりとも翌日、つまり今日ウユニを出ることが決まっていて、楽しい時間を過ごしたが、せっかく仲良くなれそうだったのにもうお別れかと思うと残念だった。
会話の中で男の子が、「見送るのも辛いけど、見送られるのはもっと辛い」などと格好いいことを言っていたが、確かにそれは共感できる話だった。
この先もしばらくここにいるわたしは、意識的に人と深く関わろうと思っていない。
みんなのようにここで一緒にご飯を食べに行くこともないし、「次どこ行くの?」みないな話をすることもない。
これは少し寂しい気もするが、ここに旅行に来ている者と、ここで生活している者の違いだということにしている。
それでも仲よくなる人ができるというのは不思議なことだ。
旅は出会いと別れの繰り返し、それは旅の醍醐味であり、旅をした者にしか分からないだろう。


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