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【オリジナル小説】金の麦、銀の月

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【金曜日更新】オリジナル小説「金の麦、銀の月」のまとめです。 地道に連載していく予定です。
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2021年9月の記事一覧

金の麦、銀の月(7)

金の麦、銀の月(7)

第六話 幕開け

待ちに待ったステージの幕が上がった。

装飾も何も無い舞台の真ん中には、光沢のある茶色い椅子がぽつんと一つだけ置かれている。そして、こちらに背中を向けて座る女性。呼吸音と共に肩が僅かに動く。泣いているのだろうか。長い髪がするりと肩から落ち、彼女はゆっくりと空を見上げた。すると、彼女を照らすスポットライトの中を、細く長い糸が静かに降りてきた。彼女はしばらくそれを見つめると、酷く緩慢

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金の麦、銀の月(6)

金の麦、銀の月(6)

第五話 文化祭二日目

朝、夜勤の父と入れ替わる様に早めに家を出た。急ぐのには理由があった。朝一番で演劇サークル公演の整理券が配られるのだ。文化祭でも人気の高い演劇サークルの公演は、一般のお客さんの席確保のために学生の席は全て整理券で管理されている。整理券がなければ、体育館後方で立ち見をするしかない。

途中でサークルの友人・堀と合流し、整理券配布会場に向かうとすでに二十人ほどが並んでいた。整理券

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金の麦、銀の月(5)

金の麦、銀の月(5)

第四話 広がる世界

夏休みが終わり、二学期が始まった。
大学生活にも慣れてきた頃、心待ちにしていたイベントが近づいていた。大学の一大イベントであり、文芸サークルでは文芸誌が発行される日でもある文化祭である。

文芸誌に載せる作品は、学年ごとに詩篇と短編・中編・長編の小説が一作ずつ選出される。私は長編にエントリーしてみることにした。と言っても、各学年四、五人しか所属していないため、同級生とジャンル

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