【ワットスッターラーム】やっと出会えたバンコクにある看護する仏陀像が残念なことになっていたから心の眼を発動した話
いつか会いたいと思っていた、ピエタ像を彷彿とさせる【病僧を看護する仏陀像】
タイ・バンコクにもある(もうひとつはアユタヤ)とは知っていたけれども、絶妙に駅から遠く、周辺に徒歩で行ける寺院も無くなんとなく後回しになっていた寺院。
ようやく重い腰を上げて仏像に会いに行ってきた、のですが…
バンコクの下町の中にポツンとある寺院
BTSウォンウェンヤイ駅からモーターサイを拾って【ワットスッターラーム】まで行ってきました。
寺院までの道のりは、観光地という言葉からは全くかけ離れた、民家が並ぶ通り。
道はガッタガタで細く、洗濯物は路上に干してあるような、生活感あふれる下町です。
そんな中に忽然と現れたファンシーなピンク色の門。
思ったより小さい寺院なんやなぁと思いながら中に入ってみると、意外と大きい寺院でした。
しかもお昼にも関わらず、たくさんの方がお参りに来ています。
これは霊験あらたかな予感!
タイで一番大きいタオウェスワンが人気
こちらの寺院が人気なのは、このタイ国内最大・約8mもある【タオウェスワン】の像。
タオウェスワンは、日本で言うと毘沙門で北の方角を守る神様です。
ヤックという鬼から派生していて、今までは商売繁盛・金運アップ・厄除けのご利益があると崇められています。
ワットスッターラームのタオウェスワンは、なにやらTikTokでバズったそうで、ご利益を求めるタイ人がたくさん!
タオウェスワンには9本の赤い線香と9本の赤いバラ、赤いジュースをお供えします。
こちらでは、タオウェスワンの像の周りを回ってから、像の足や持っている棒に触れながらお願いごとをします。
お供えセットを買うときに募金箱もあったのですが、ワットスッタラームは、金銭的な事情で治療を受けられない腎臓病患者の透析施設があることでも有名だそうです。
両端にはタイの伝統的な飾り・トゥンを持ったハヌマーンの像がいました。
このトゥンはあちこちに飾ってあります。
雨季にも関わらず、この日はとても良い天気で暑かったのと、タオウェスワンの周辺は大混雑だったので一通りのお参りを済ませて、まずは境内散策を。
古いものが色々置いてある博物館
礼拝堂の2階には無料の博物館があります。
が!めちゃくちゃ期待しないでくださいね。
貴重なものばかりだと思うのですが、あまり人が訪れないようでガラス棚もほこりまみれで曇っています。
もちろん警備の人も、ガイドも不在です。
しかし、誰もいない分じっくりと見物できるという利点もあります。
私は結構楽しめました。
博物館内の展示でひときわ目を引いたのは、木彫りのモチーフです。
細工が本当に素晴らしいですよね!
ハヌマーンの体には猿らしく、ちゃんと毛が丁寧に彫られていました。
ぜひ写真を拡大してご覧ください。
日本でいう所のお守り・プラクルアンもたくさん展示されていました。
写真は一部だけで、もっとたくさんの種類があります。
プラクルアンコレクターには垂涎のコーナーではないでしょうか。
昔の教科書や本、お札などもあり、紙モノ好きにはたまらないです!
僧侶が説法の時に顔を隠すのに使う【タラパット】もたくさん展示してありました。
本堂の入口横の像にも注目
本堂の入口の横には、仏陀とともにひげをたっぷりたくわえたおじいさんの像があります。
この方は仏陀の主治医【シバカ・クマールバッカ】という方です。
(シバカだったりジーヴァカだったり色んな言い方が世の中にあふれていてどれが正解か分かりません)
アーユルヴェーダとかヨガ(ルーシーダットン)の始祖と言われています。
寺院併設の透析施設もあったり、伝説の医師の像があったりと、楽しみにしていた【病僧を看護する仏陀】を拝める気持ちも高まります!
本堂は中も外もとても簡素な作りですが、お供えや花輪がたくさんあって、観光地化されていない昔から地元の人に愛されてきた寺院なんだなというのがよく分かります。
丸顔のとても優しいお顔の仏陀で、何でも相談にのってくれそうです。
本堂の窓枠も凝っています。時々こういう窓枠の切り絵のような装飾を見かけるのですが、どうやって作ってるんやろなぁといつも感心しながら見ています。
そういえば、ブログの写真の背景にこの窓枠が写ってた!
ということは、あの仏像にもうすぐ会える!
横の鐘楼を見物し、いそいそと本堂の外周へ。
本堂工事中で仏像がまさかの事態に
サイドに回ってみたのですが、本堂周りは工事中で一体も仏像が無い!
工事しているおにいちゃんに、写真を見せながらこれどこにある?と聞いたら、タオウェスワンの方を指差すではないですか。
もう一度タオウェスワンの祀られている場所に戻り、周囲を見渡すと
いました!いましたーー!!
ええ…こんな雑な移動のさせ方ある?
本堂周りの仏像は全てこちらに移動していました。
雨晒しでおいてあるから頭からは石灰が溶け出し、病僧の目には鳥のフンがたらーりと。
いや、待て。ここはタイ。
こういう野晒し仏像はあるあるやから期待しすぎた自分が悪い。
ここは心の目を発動させて、仏陀からのメッセージを受け取ろう。
胃腸の病気で誰からも見捨てられた修行僧を、雨の日も風の日も、暑い日にも看病した仏陀。
そこには先ほど本堂前に祀られていた、シバカもいたかもしれません。
糞尿まみれになった自分を嫌な顔ひとつせず、洗い清めてくれた仏陀とその弟子。
見捨てられた自分を救おうとしてくれている仏陀を見て泣いているようではありませんか。
優しく手を差し出す仏陀の手のひらはとても暖かかったに違いありません。
今回の教訓ですね。この寺院に呼ばれた真意はここにありました。
何ごとも最初から期待しすぎるのは良くないです。
ありのままを見て感じなさいと仏陀もおっしゃっていますからね。
しっかり手を合わせ、会えたことに感謝。
サートゥ。
その横には、お目々くりくりのかわいいプラ・ウパクットがいらっしゃいました。
プラ・ウパクットは仏陀の弟子のひとり。
普段は海底の神殿にいますが、満月の聖なる日に若い修行僧に変装し地上に現れて、夜明けに托鉢をしにくるそうです。
彼にお布施をした人は、繁栄し豊かになれると言われています。
仏陀の教えを守り、実践する下町の寺院
【病僧を看護する仏陀】に会いたくてやってきたワットスッターラームですが、寺院内に看護に関する仏像が複数あったり、透析施設があったりと、昔からの仏教の教えに則った寺院の役割である【心の看病】と【身体的な看病】を実際に見ることができてよかったです。
タオウェスワンばかりが注目されがちなワットスッターラーム。
きっともうすぐ本堂もきれいに改修され、移動していた仏像たちもきれいになって元の場所に祀られると思います。
最寄り駅にはBTSウォンウェンヤイ駅だけでなく、マハチャイ駅行きのタイ国鉄・マハチャイ線ウォンウェンヤイ駅があります。
ツアーを使わずに有名な観光名所・メークロン市場に行くには、タイ国鉄・マハチャイ線ウォンウェンヤイ駅から終点のマハチャイ駅まで行き、メークロン線に乗りかえる必要があるので、そのついでに寄るのもよいと思います。
ウォンウェンヤイ付近は、本当に下町情緒あふれる地域なので、朝夕の市場や屋台も活気があります。
もっと地元の雰囲気を味わいたい!という方の観光の拠点にするのにもおすすめです。
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