コラム 「ドラッグストアで買ったあれを植物に使う」
家庭菜園で農薬を使いたくない人もいるでしょう。私もそのひとりです。
植物がすくすくと育てばいいのですが、もしもの時の為に手軽に購入できて、植物の健康維持に使えそうなものはあるでしょうか。
一般的な農業資材を使う
植物は抗原抗体反応のような獲得免疫や、体内をパトロールする免疫細胞を持ちません。病害を発生しにくくする予防的な対策が重要になるでしょう。
被害が出てしまったら、手を尽くすか・見捨てるか、畑全体に広がる前に心を決めましょう。
農業用資材
農薬は明確な効果が立証されている物です。症状や被害が始まる初期段階で使えば、適切に対応できる利点があります。
滅亡の危機を迎えた頃ではすでに遅いので、ウジウジ悩むのをやめて割り切って農薬でさっと進行を抑えるのがポイントです。
農薬登録されていないような、作用機序や具体的効果が書いていない(書けない)農業資材は、シャーレ実験では検証できたけど、生産現場では効果が見られないといった事例がありますので注意が必要だと思います。
無駄な出費になる可能性もあるので、わざわざ買って使う気になりません。
民間療法的なもの
ストチューや、なんちゃら菌の自作の発酵菌液は作る手間が面倒だったり、臭いが近所迷惑にならないように気を使うので、これも使う気にはなりません。
マンションのベランダ栽培なら尚更のこと、臭いに気を使うでしょう。
”何となくいつもより調子が良いような気”がする程度の代物が多い菌液の中で、私が唯一継代している菌液はメダカ用の光合成細菌ですが、かなりドブ臭いので家庭菜園には散布していません。
ドラッグストアで買ったあれを使う
どうせ同じ民間療法的な対処方法なら、そこらのドラッグストアにあるもの使う方が、すぐに手に入って普段使いもできるので便利だと思っています。
私はまだ日本の家庭園芸ではメジャーではないものを実験的に使っています。(効きめなど農薬効果的なことを書くことは出来ませんので、興味があれば御自身で確かめてみてください)
頭痛薬(アセチルサリチル酸)
頭痛薬で有名なアスピリンをジョウロに溶かしてトマトに与える海外の動画を見て、まじか?と調べてみたところ、どうも作用機序が存在しそうなので真似しています。
ビルの中(植物体)で「火は直接見ていないけど、なんか天井のスプリンクラーから水(サリチル酸っぽいもの)が出てるし、これ火事でしょ。消火に備えなきゃ」→抵抗力高まるという理屈だと思います。
アセチルサリチル酸がストレス耐性を高め、病原体への殺菌剤の代替として使える可能性が、トマト(Horotanら 2015)やルピナス(El-Metwallyら 2015)を使った研究で示唆されています。
植物ホルモンの一種であるサリチル酸がトマトかいよう病への抵抗力を高める役割を担っているという研究(Yokokawaら 2023)も発表されており、構造的に類似する頭痛薬を予防的に与えることと病害抵抗性には関係性があると睨んでいます。すごいぞ頭痛薬。
ビタミンC(アスコルビン酸)
ウイルス側の感染戦略であるウイルスサイレンシングサプレッサー(RSS)を阻害する化合物の研究(Shimuraら 2008)の発展形で、ビタミンC誘導体を抗ウイルス剤として使う研究があります。
ウイルスを弱毒化する可能性が示唆されており、酸化型アスコルビン酸がRSS阻害剤として機能しそうです。
ビタミンCがお肉の発色剤に使われていることに着想を得て、錆びた水道水にビタミンCを加えることで、三価鉄を還元させた二価鉄+酸化型アスコルビン酸が入った農業資材として使えないか実験をしています。
大腸菌のような通性嫌気性のものにも抗菌作用を示している研究もあるので、もう水にビタミンCを溶かして撒いときゃ、土壌中の鉄や銅と反応して勝手にいろいろ効くんじゃないのかと思えるほどです。すごいぞビタミンC。
人の手助けは悪なのか?
無農薬・無肥料で現代の野菜品種を育てることは、医療支援も食糧支援も無しに現代っ子をジャングルの生存競争に放り込むチャレンジに似ていると思います。
「無農薬野菜を食べたいあなたがもし病気になったら、薬なしで我慢するか?」
自分自身にこう問えば、答えは「いいえ」です。
野菜が全滅してしまったとしても、ゲームのように時間を巻き戻すことはできません。私に食べられる為に植えられた野菜たちなのですから、必要な時には手を差し伸べて天寿を全うさせてあげる方が良いと思っています。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?