慢性疼痛の認知行動療法~消えない痛みへのアプローチ~を読んで
はじめまして!
記事を閲覧していただきありがとうございます。
簡単にですが、初めに自己紹介です。
住まい:大阪
年齢:30歳
仕事:医療職
趣味:動画・映画鑑賞、自転車で街をぶらぶら、おいしいものを食べる
現在、医療者として、主に二次予防に携わっています。
日々の毎日に追われていますが、なんとか頑張っています。
僕は元々、色々なことに興味があり、本や動画から何かを知ることが大好きです。
分からないことがあったらすぐに調べてしまうのが、良くも悪くも癖になっています。
今回は、清水栄司先生、斎藤 繁先生、伊藤雅臣先生が編集された「慢性疼痛の認知行動療法”消えない痛みへのアプローチ”」を読んでみた感想をまとめてみたいと思います。
伊藤雅臣,斎藤 繁,清水栄司(編):慢性疼痛の慢性疼痛の認知行動療法”消えない痛みへのアプローチ”.日本医事新報社,東京,2016.
難しいことは記載せず思ったままに書きます。
慢性(疼)痛・・・怪我をしてから、または痛みを感じ始めて3ヶ月以上経過しているが、痛みが残っている状態
この3ヶ月という期間は、腰痛に関してはガイドラインに記載されていますが、その他の部位に関しては、3ヶ月という期間で統一されているかは分かりません。
日頃、「急性痛」や「慢性痛」と呼ばれる状態の方々と多く接しています。
この書籍では、タイトルの通り、慢性疼痛患者に対する認知行動療法について記載されています。
初めに、認知行動療法とは何かを説明しています。
次に臨床で介入、アプローチ方法について解説されています。
最後は何例か実例のワークショップが記載されています。
認知行動療法は、「認知療法」と「行動療法」を合わせた療法です。
「認知療法」・・・感情や行動に影響を及ぼしている自動思考を特定し、より現実的でバランスの良い捉え方(適応的な思考)ができるように見つめ直すことで、不快な感情を軽減し、適切な対処行動を推進することを目的としたもの。
感情や行動はそれ自体によって直接引き起こされているのではなく、その出来事をどうのうに解釈するかによって変化するものと考える。
例)挨拶をしたが返してもらえなかった
➡きっと嫌われているんだ、次から話しかけるには止めよう(ネガティブ)
➡もしかしたら急いでいたのかもしれない、たまたま期限が悪かったのかもしれない、また挨拶してみよ(ポジティブ)
「行動療法」・・・古典的条件づけやオペラント条件づけなどの学習の理論を応用し、恐怖症や強迫症(強迫性障害)といった不安症の症状の消去や、適応的な行動習慣の再学習を目的としたもの
自分がとった行動によって、その行動が強化されたり、無意識的に学習していくこと
古典的条件づけの有名な話が『パブロフの犬』です。
犬に餌を与える ➡ 唾液がでる(生理的な変化)
餌と一緒にベルを鳴らし続ける ➡ ベルの音を聞いただけで唾液がでる
オペラント条件付けは、意識的にとった行動の結果によって、その行動が強化されるか、消去されることを学習するかということです。
スーパーでだだをこねる子供を思い浮かべてみます。
子供はおかしを買って欲しいと思った時、床に座り込んでだだをこねます。
そうするとお母さんはしょうがないなと買ってあげようとなります。
すると、子どもは意識的にだだをこねるとおかしを買ってもらえるという報酬を得ます(ポジティブな行動強化)。
その事実を学んだ子供は、だだをこねるとおかしが手に入るということを学習します。
これを打ち消すには、だだをこねてもおかしを買わないことです。
ただそれではかわいそうなので、、、
優しくすると、だだをこねた時に嫌いなことを克服させると、それも学習になります。例えば、「お菓子を買う代わりに、ニンジン食べれるかな?」という約束をすると、嫌いなニンジンを食べると、お菓子が手に入るという学習が強化されます。
僕の中では、古典的条件づけは無意識下、オペラント条件づけは意識下での学習と解釈していますが、正直、この差がまだ理解できていません。
この二つを合わせたものが【認知行動療法】です。
認知行動療法の主な特徴
①治療の構造化
②心理教育と目標設定
③アジェンダ
④ホームワーク
⑤フォーミュレーション
⑥ソクラテス式質問票
⑦外在化
治療の構造化では、基本的に1回50分のセッションを16~20回ほど行うとのことでした。(根気がいるな、、、)
これを慢性疼痛者に対して行っていくということです。
近年、慢性疼痛者に対する認知行動療法の論文は増えてきており、実際に介入効果も認められています(100%ではない)
認知行動療法のアプローチ
① 認知の歪み・・・
不安や恐怖心などから過剰に意識してしまうこと、または捉われている状況や刺激についての解釈
② 回避行動・・・
①をもつことによって、避けてしまっていること
③ 安全行動・・・
①、②の結果、本人がとっている行動
この3点を確認します。
よく仕事場で遭遇するエピソードを例にします。
腰痛があり、整形外科を受診。
レントゲン撮影によって、骨が曲がっている、変形していると言われる。
⇓
動くことでさらに腰が曲がるのではないか、骨がずれるのではないかと解釈する(歪んだ認知)
⇓
その結果、普段行っていた趣味、運動をやめてしまう。ひどい場合、仕事をやめてしまう(回避行動)
⇓
そして、極力、腰に負担がかからないように、衝撃がかからないように家でじっとしている時間が増える(安全行動)
本当に本当に本当に本当に多いエピソードです!!
まず、レントゲンでは、骨と骨の間(関節)の隙間や骨自体の形は分かりますが、それが痛みを引き起こしているかどうかはわかりません。
世の中には変形が強くても痛みを感じない人はたくさんいます。検診で指摘されるまで気づかなかったという人はとても多いです。(変形が関係ないとも言い切れません)
そして、日常生活、運動によって変形が進むということは確たる証拠はありません。
安静にすることで、痛みが治るのならば慢性痛のように長引かないと思うのですが、、、
現在の証拠としては、緊急入院しないといけないレベルの腰痛(内臓関係、癌など)以外は、比較的日常生活や運動を実施した方がよいということが推奨されています。※本当に安静にしないといけない人もいます
この「安全行動(対処行動)」が「歪んだ認知」を維持させる要素となります。
ちなみに僕はカウンセラーではないので、この考えをすぐに修正するということはしませんし、できません(関係性ができてから行う場合が多い)。
徐々に修正するか、運動をする中でいい変化がでた時や変化がでない時に説明することが多いです。
この話をすると、とても納得される方もいますが、全然納得されない方もいらっしゃいます。
痛みを患っていた期間が長ければ長いほど、この信念は根強いです(私の痛みはこうだから、こうしてるんです!だって、本当に痛くなるから!)。運動を行うということに対してもとても抵抗感をもたれます。ここを一緒に紐解きながら進めていければ理想ですが、まだまだ難しいです。。。
なので、急性期=痛いがでたころ、からいかに正しい情報を提供できるかが大切と考えております。
この書籍では、様々な疾患の方に対して【認知行動療法】の実践が記載されています。
別に疼痛神経科学教育(Pian Neuroscience Education)という用語もありますが、これはまた別物です。痛みの機序を正しく生理学的に説明するというものであり、CBTのセッションの中に取り入れるもののように解釈しています。
また認知行動療法はその人が準備期に入っているとより効果を発揮するとされています。
それまでは動機付け面接などにより導くことが重要ともされています。
僕は実際の職場は1人あたり20分で仕事をしているため、この認知行動療法を正しく時間をとることは不可能です。
ただこの考え方を知っておくことはとても大切だと思います。なぜなら、がむらしゃらに運動をしていただければいいかと思うと、そうではないこともあります。
なぜ行うかという過程を理解することが回復を早める第一歩だと考えています。
もちろん、まずはやってみましょう!という、進め方も大賛成です。
【認知行動療法】+【疼痛神経科学的教育】の2本柱はどんな疾患の方にも必要な方法だと実感しています。
これからも勉強を続けていきたいと思います。
伝いない文章でしたが、もしも読んで下さった方がいらっしゃいましたら、心より感謝申し上げます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?