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パイロットフィッシュ

パイロットフィッシュとは、立ち上げたときに最初に水槽に入れる熱帯魚のこと

パイロットフィッシュは、小説を沢山読み始めた当初購入した本でとても思い入れがある。

人は、一度巡り会った人と二度と別れることはできない。
なぜなら人間には記憶という能力があり、そして否が応にも記憶とともに現在を生きているからである。

人間の体のどこかに、ありとあらゆる記憶を沈めておく巨大な湖のような場所があって、その底には失われたはずの無数の過去が沈澱している。

何かを思い立ち何かを始めようとするとき、目が覚めてまだ何も考えられないでいる朝、とうの昔に忘れ去っていたはずの記憶が、湖底から不意にゆらゆらと浮かび上がってくることがある。

p9

上の文が書き出しの文章で、その当時は意味を理解していなかったけど、この一文は私の中に残り続けて歳を重ねるごとに色濃くなっていった。

誰かの影響がすっかり自分の一部分になってしまっていることもある。
本意だろうが不本意だろうが、それは自分にはどうにも出来ないことなのだ。

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