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嚥下造影検査の活用方法

皆さんの施設ではVFは医師が主導で実施しますか?

STが主導で実施していますか?

中には、医師が主導で実施してSTが見学する医療機関もあれば、STがメインで実施する施設もあると思います。

VFって緊張しますよね?(;'∀')私もです!

ただこれまで多くのVFに(年間100件以上)携わって少しずつ分かってきたことがありますので実施の工夫や考え方、ST側の姿勢について話していきたいと思います。

※お役に立てれば幸いです。


1 本当は丁寧に把握、理解しておく必要がある重要情報

VF実施前にどんなことについての情報を確認しますか?

疾患、食事形態、ムセ込み、血液検査データ‥よりも大切な情報があります。

それはなぜVFを実施する運びになったのかです。

こんな経験ありませんか?

以下に臨床あるあるを掲載します。

新人ST「医師の指示でVFを実施することになりました」

先輩ST「なんで実施することになったの?」

新人ST「最近食べられるようになってきたのですが、時々ムセたりするので安全確認です。」

先輩ST「ムセ?病棟で食事の様子を看護師に確認して下さい」

・・1時間後

新人ST「最近はムセていないそうです」

先輩ST「じゃーなんで実施するの?」

新人ST「一応、誤嚥性肺炎を発症した経緯があるので・・・」

これでは何を目的に検査を行うかわからない為、手順や検査食の選択、実施内容が不明

確になりその状態で実施するとVF中にSTはフリーズしてしまい、終わり方がわかりません。


また、医師への報告は説得力に欠けるものになり、このようなことを続けていると

 STの食事形態や姿勢の提案はきっと、今後は院内で通りにくくなると思います。

看護師「STはこう言っているけど本人しっかりしている人だから常食を出そう」

栄養士「水分はST評価でトロミがついているけど牛乳だったら好きで飲めているから提供しよう」

STの役割って・・・( ;∀;)

働きにくくなる前に以下の点を抑えることが必要です。

2 VFの発信者と意図の評価

VFは話の出どころが特に重要です。

「透視指示箋を医師が記載するので医師が発信者」ではありません!!

誰がなぜ医師に指示箋を依頼したのかです。

また、細かい話ではなくコミュニケーションが上手なSTは必ず当たり前に抑えている情報です。

発信者は4パターンに分類されます。

①医師

②看護師

③ST

④患者

⑤家族 です

次になぜ発信に至ったのか情報収集や評価を行います。

・そもそも医師に誰か打診した?

・病棟はムセを問題視しているがSTが解決策を提示していない為、医師に指示を依頼する

・ST評価では「経口は難しい」。しかし、医師は食べれると評価している

・医師は食べることが難しいと判断しているが家族から詳細に評価してほしいと訴えがあった為にSTにVFの指示を出したのか?

・STの嚥下評価について信ぴょう性が乏しい為、VFで確認したい

・STから食事の評価報告が挙がってこない

などなどです。

これらによって実施方法や報告の仕方が大分変ってきます。

3 検査前から終了後に医師へどんな報告をするか考える

VFは結果を想定して実施する必要があります。


やって終わりではなくミニカンファレンスや方針決定の場となり、多くのSTは意見を求められるのではないでしょうか?

約5分~10分の検査でベストアンサーをはじき出すには、あらかじめ結果を予測し、必要な姿勢、必要な検査食、必要な嚥下方法をスピーディーに、スリムに実施しなければなりません。

その為には

①スクリーニング

②食事場面の観察評価

③日々の状態観察

④入院経緯などから、実施後の医師への報告や病棟への介助方法の伝達など決めておく必要があります。

逆に考えずに実施するとやっぱり検査中にフリーズします(私はよくしていました)

つまりVFはただの機能評価ツールではありません。

食べられる姿勢評価や

トロミの粘度評価

ゼリーから開始しましょうでもありません。

誰に何を理解させるかです!

ST一人が食べられるとか食べられないとか言っているとチームでの食支援が成立しません。

つまりSTの食べさせたい思いや誤嚥性肺炎を避けたい思いは患者には届きません。

チームに(医師や病棟など)理解が得られ、はじめてSTのやりたいことや気持ちが現実のものになると私は考えています。

「VFで誤嚥を確認する」ではなく

「VFで食べれることを確認する」でもなく

「患者にとって望ましい形をSTから強力に発信するツール」として実施しましょう!!

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