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普段本を読まない自分が小説を読んでみた(2冊目『方舟』)

今回はミステリー小説を読みました。


基本情報の記録

タイトル

方舟

著者

夕木春央

出版社

講談社

あらすじ

大学時代の友人、従兄で山奥の地下建築を訪れた柊一(主人公)たち7人と、偶然山奥で迷ってしまっていた3人の家族と出会い、その地下建築の中で夜を超すことに。

しかし、翌日の明け方、地震が起きて出入口の扉が塞がれてしまう。
さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめ、いずれ地下建築は水没することになると予見される。

そんな中で殺人が起こる。
地下建築の構造から、地上に出るためには、だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。その生贄には、その犯人がなるべきだと犯人以外の全員がそう思った。

タイムリミットまでおよそ1週間。それまでに、僕らは殺人犯を見つけなければならない―。

読み終わって感じたこと

オチとなる最終段階(エピローグ)に、思わず『えっ!?!?!』と声を出し、寝転んで読んでいたベッドから起きあがりそうになったほど驚いた結末でした。

いわゆる"どんでん返し"のわくわくを楽しみたい軽い気持ちで挑んだものの、まさかこんな結末になるとは・・・
自分のある程度の感覚的予測を、身構えていた方向からではない方から攻撃されたような気になりました。"そんなことやってたのかよ・・・"と、若干悔しさに似たような気も。

また、単に結末でやられたというよりも、"思い込み"にやられたようにも思いました。結末に至るまでいつの間にかその思い込み(或いはそれに似た感覚)を知らず知らずのうちに纏ったままの自分自身が、まさにやられてしまいましたね。

この本と自分の考えや経験との関連性

なかなか特殊な環境設定ではあるものの、この空間に自分が身を置いたなら、とイメージするのは苦しい感じがしました。

思えば、外を元気よく駆け回っていた小学生の時、バランスを崩してこけて転がって倒れたところが丁度自分の体の幅の側溝で、はまり込んでしまって身動きが出来ない状態になって焦った記憶があります。
側溝からは数秒で抜け出せたものの、仰向けになってはまったことによって、視界に映った空と間近に映った左右のコンクリートの情景は今でもよく覚えています。
この物語とは比較にならない情景ですが、恐怖感としては少し似ているかもしれないと思いました。

物語の中では自由に身動きがとれる状況とはいえ、地上の新鮮な外気に触れられない、自然な光を感じられない、しかも確実に迫りくる水とタイムリミットがありながらも冷静に行動できる精神力を保てる自信は、自分にはないですね。

あと、どんな風に死ぬのが嫌か?と物語の中で問うているところがありましたが、どんなもなにも、"もがき苦しむこと"は避けたいなというのが正直なところです。
まだ死んだことがないのであくまで想像の範囲ではありますが、今ある記憶や感情がどうなるのかわからなくなる直前に、もがき苦しむようなことにならないよう祈るばかりです。

総合的な感想

あり得なくもないユニークな設定環境故に、自信の想像構築する力量が不足した部分もありましたが、比較的一気に読むことができた面白いストーリーでした。
結末に至るまでは、一人一人の性格をはじめとした細かな人生解説がそれほどないので、テンポよく読み進められたと思います。

やはり最終段階での"どんでん返し"の部分が、私があまり本を読まないからこその衝撃だったのではないかと思います。

ご高覧ありがとうございました。

今読んでいる本、感想予定の本など

『アリアドネの声』『レインツリーの国』『俺ではない炎上』『正欲』・・・
※今後読みたいものも含みます

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