深夜の独り言「白いしるし」
相手の存在さえも狂わしいほど愛おしい。
この言葉がどのようなものなのか、想像ができない人には是非この小説を読んで欲しい。
そしてそれを知っている人にも、その熱い恋を思い出すために読んで欲しい。
全身全霊であなたのことを愛している。
読んでいるうちに、この言葉はまさにこの主人公に与えられた言葉かのように思えてきます。
今回はこの本の魅力を書いていきます。
内容
アルバイトで生活を繋ぐ32歳の夏目の趣味は、「絵を描くこと」。
ある時、友人の写真家に「きっと気に入る」と言われ、16というギャラリーに足を運ぶ。
そこには、真っ白なキャンバスに真っ白な絵の具で描かれた作品が飾られており、夏目は一瞬でその絵に惹かれてしまう。
さらに、過去の恋愛から、恋をすることを遠ざけていた夏目だが、その作品を描いた人物、間島昭史の人柄を知るにつれて、彼にのめり込んで言ってしまう。
しかし、間島昭史には「婚約者」がおり……。
久しぶりの恋の高揚は次第に夏目をむしばんでゆく。
●魅力1(純粋に恋愛小説として読めなくて面白い)
最初にも書いた通り、全身全霊で愛しているという言葉は、この夏目が間島に対して持つ感情のためにこの世に生まれたのではないかと思うくらい、主人公の夏目は間島に特別な感情を抱いてゆきます。
ですが、途中途中で感じるのは、恋愛の甘く甘酸っぱい苦しみや幸せも持もちろんですが、誰かに依存する怖さや苦しみが置いてあることです。
それがあるからこそ、読み手が読んでいて純粋に恋愛小説を読んでいるという気持ちにはなれないのではないかと思います。
でもそれがまたおもしろいんです!!!
●魅力2(登場人物が印象強くて面白い)
この小説に出てくる登場人物はとても少ないのですが、1人1人の人間らしさが存分に出ていて、とても面白いなと思いました。
まず、主人公の夏目ですが、設定年齢が32才であり、そこまで若いとはいえない年齢です。ですが、その設定年齢だからこそ、恋愛に舞い上がる様子や描写がきれい事で収まってくれないのです。
いわゆる「イタい女」が味を出しているのです。
さらに、主人公が恋をする男、間島昭史はこれまた不思議な人物で、人間たらしの要素を持ち合わせているように思えます。また、様々なところからあり得ないものを拾ってくる、ある意味引きがいい人物でもあります。
小説の一説では、占いで使うような球体の水晶を拾ってきます。
どこで拾ってきたんだ!!と読んでいて突っ込みたくなります笑。
そしてその2人を会わせた張本人である瀬田は、売れっ子写真家で、誰からも好かれるこれまた人たらし。それでも、純粋な心の持ち主で、夏目や間島とは違った視点の持ち主です。
また、瀬田の行動がこの小説の核に気付くきっかけをくれるのです。
1回目は小説の内容に、2回目は登場人物に注目して読み進めても面白いと思います。
●魅力3(疾走感があって面白い)
この小説は文庫本で190ページほどであり、隙間時間にも十分読めるというところも魅力だと思うのですが、それ以上の魅力としては、ラストに進むにつれて、疾走感があって、読む手が止められなくなるということだと思います。
まるで坂を駆け下りるような感覚になる人もいるかもしれないと思うくらいです。
私の場合、新幹線でこの本を読んでいたのですが、ラストはのめり込みすぎて、到着駅付近で読む手を止めた時に初めて呼吸が浅くなっていたことに気がつきました笑。
●どんな人にこの小説を(是非)読んで欲しいか
この小説はとても読むのに体力がいります。ですので、
・恋愛がご無沙汰な人
・体力には自身がある人
・時間に余裕がある人
・ちょっと重い小説を読みたい人
・読み応えがある小説を読みたい人
・人間味のある恋愛小説を読みたい人。
・精神的に安定している人
に是非読んでもらいたいです。
もちろん、この小説に興味を持ってくださった方は是非読んで見てください。
是非この小説を読んだ後には、感想を教えてもらえれば嬉しいです。私も新しい発見ができると思います。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
別記事で、この小説をもっと面白く読む方法を掲載しています。そちらも読んでくださったら嬉しいです。
もしよかったら、コメントなどをしてくださると嬉しいです。
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