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強がりを溶かす雪の粒

雪が混じる空気の粒が、少しづつ僕の中に浸透していく。果てしない時間を感じた。それと同時にどうしようもない不安も。
街明かりの街灯が息を吹き返した頃、スマホが無機質な声を上げました。誰が見てるわけでもないのに、激しく高鳴る胸の鼓動を悟らせないように、震える手で画面を撫でた。
「もしもし?うん、今着いたところ」
君の聞き慣れた声を思い出しながら、ここまで声帯に集中したのは初めてだったよ。
肺に溜まった熱い空気と共にポツリと吐き出す。
「あと5分か…」
待ち遠しさと居た堪れなさが喧嘩をしていたけれど、ヒヤリとした冬の特産物が僕を少し冷ましてくれたんだ。

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