誰かに盗まれることを期待して
常に何か足りない日常にも慣れてきてしまったので、新しい自分の一部を探してみることにしよう。僕の心を奪い去ってしまうのを期待して、SNSの波に乗ったのはいいけれど、僕の心は頑なに僕の中だけに留まっていた。今流行りの曲でも、全米が泣いた映画でも、オリンピック決勝の舞台でも、全く響かない。ちっともワクワクしないんだ。そりゃあそうだ。この世の全てを見たとして、どこに欠片があるものか。僕は欠けてなどいないのだ。歪んで元の形を忘れてしまっただけでした。足りないモノは僕の中に埋まっていて、