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【「うみとろん」とは? Vol.4】 海の匠を支える画期的なテクノロジー ①

シーフードアクションは、水産養殖の生産者、流通、小売業、外食業、消費者などさまざまな人々と連携して、海と魚の未来を考え、共に行動していく活動です。水産に関わる人々の役割は皆違いますが、それぞれに熱い想いをもって自分たちにできる形で貢献をしています。

ウミトロンが開発し、提供するテクノロジーやデータ解析もその一つ。シーフードブランド「うみとろん」としてお届けする魚を育てている生産者も、ウミトロンが技術面で陰から支えています。水産養殖に関わる技術は日進月歩。「海の匠」である生産者の皆さんは、それぞれに工夫を凝らし、手間と労力を惜しまず魚を育てていますが、そこには従来の方法に加えて最先端技術も柔軟に取り入れられています。今回は養殖の生産現場をサポートしているウミトロンの技術についてご紹介します。

生産現場を訪れると、生け簀に設置された白いボックス状のものが目を引きます。これがウミトロンの開発したスマート給餌機「ウミトロンセル」。IoTとAI技術を活用した給餌機で、スマートフォンなどから遠隔操作で魚に餌を与えることができます。画期的なのは、この給餌機自体がいわばコンピュータであるということ。魚に餌をやるだけでなく、通信機能やカメラを備え、海や魚の様子からさまざまな情報を読み取って自らデータを収集し、魚の食欲の解析までします。生産者はウミトロンセルのカメラを通して生け簀の中で魚が泳ぐ様子を、スマートフォンからライブ映像で見ることができ、その状態から与える餌の内容や量、タイミングなどを判断するわけです。遠隔で操作できるため、悪天候の際も海に出ずに魚を観察したり、餌をやったりすることが可能になりました。また、データが毎日収集されて増えていくに従って、食欲解析の精度も上げていくことができます。これらの情報すべてが養殖に活かされていくのです。

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ウミトロンのエンジニアは、養殖の現場に足を運んで生産者と話し合い、生け簀の魚を観察し、時には作業の手伝いをして、課題を見つけ、海の匠と一緒になって解決策を探ります。ウミトロンセルもそうやって生まれました。水産養殖の生産者にとって、一番大変な仕事は魚の餌やりです。毎日定期的に繰り返される絶対必要な作業であるにも関わらず、重労働なうえに時間もかかります。嵐など悪天候の時には、海に出れば危険もあるでしょう。また、水産養殖にかかるコストの約6-7割が実は餌代です。しかし、魚の食欲がどの程度かわからないまま餌をやれば、食べられず無駄にしてしまうかもしれません。食べられなかった餌は溶け出して海の汚染の原因になります。このように労働力、生産者の経営、自然環境にいたるまで悩み多き給餌問題を解消するために開発されたのがウミトロンセルなのです。

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ウミトロンセルの導入によって、まだ課題は多くあるものの、導入先の養殖現場は少しずつ変化が見え始めています。魚が食べていないときに餌をやっていたことに気がつくことができたなど、餌やりが効率化したという声も寄せられています。実際に使ってみたことで新たな発見があり、それが次の工夫や気づきへと繋がっていきます。餌のやり方をさまざまに変えて試したところ、魚が早く成長し、出荷が早められたというケースもありました。ウミトロンセルは生産現場とそこで働く人々に寄り添う技術の一形態です。一方、地球全体を鳥瞰する、スケールの大きなテクノロジーもあります。その話は次回ご紹介しましょう。

▼運営会社 ウミトロン Webサイト

▼シーフードブランド うみとろん Webサイト


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