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那智勝浦ビンチョウマグロ延縄FIP

背景
和歌山県那智勝浦港は生鮮まぐろの水揚日本一を誇る港であり、マグロは古来から地域経済・文化にとって非常に重要な存在であり続けてきました。しかし世界的にマグロ類の漁獲量が減少し、那智勝浦でも2000年代からクロマグロの漁獲量が減少しています。 そこでマグロの買付加工会社である株式会社ヤマサ脇口水産は持続可能な方法で生産された水産物のみを扱う自社独自の調達方針を策定し、さらに2012年にはビンチョウ、メバチ、キハダおよびクロマグロを対象としたMSC予備審査を受けました。

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概要
MSC予備審査の結果、ビンチョウとキハダ延縄漁業においては重要課題が解決されれば認証可能な状況にあることが報告されました。そこでヤマサ脇口水産は、マグロの仕入先である第78海王丸(大分船籍)と、ビンチョウマグロを持続的に利用していくために2017年10月から本プロジェクトを開始しました。さらに、2017年11月からは合同会社西友20店舗でも漁獲されたビンチョウマグロを販売することで一般消費者への認知も図り、同時に一部プロジェクト費用への支援も受けています。最終的には2022年9月までにMSC認証取得可能レベルまで向上することを目指しています。 主な改善内容は非漁獲対象種に関する情報をより確実にモニタリングし追跡するための計画策定、MSC認証の管理規準に沿った漁獲時点から最終販売時点までの試験的な追跡、予防管理の枠組みの実行計画の策定、海鳥やウミガメ類と遭遇した場合の対処記録のモニタリングなどです。

プロジェクト進捗
本プロジェクトは5年間の活動計画に基づき改善を実施し、半年毎に進捗確認と報告を行っています。

2016年3月 MSC予備審査
日本のビンチョウマグロ漁業がMSC基準に対して予備審査を受けた初めてのケースとなりました。

2016年11月 漁業改善プロジェクト開始
MSC予備審査で明らかになった課題に取り組み始めました。例えば、海鳥や絶滅危惧保護種を含む混獲魚種や餌資源などの生態系への影響を最小限に抑える対策の検証と導入、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCFPC)における漁獲制御ルールの策定、管理における意思決定プロセスの明確化などです。

2017年11月〜 合同会社西友での試験販売開始
合同会社西友(20店舗)にて本プロジェクト商品を展開しました。

2018年3月 混獲魚種のモニタリングと対策導入
海鳥や絶滅危惧保護種を含む混獲魚種や餌資源などへの影響を検証し、生態系への影響を最小限に抑える対策を検証、導入しました。

2018年5月 トレーサビリティ審査
漁獲地点から末端市場までの流通経路におけるトレーサビリティの現状把握と課題を抽出しました。

2018年7月 管理当局と協議開始
管理における意思決定プロセスの明確化や漁獲制御ルールの導入に関して協議しました。

2019年4月 地域関係者と意見交換会
ヤマサ脇口水産、和歌山県庁水産課、那智勝浦漁協、町役場関係者などと今後のFIPの広がりについて意見交換会を開催しました。

2019年12月 WCPFC年次会議参加
シーフードレガシー漁業・科学部署スタッフ2名が中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)年次会合に参加しました。

弊社はConservation Alliance for Seafood Solutions 漁業改善プロジェクト支援のためのガイドラインに準拠しております。


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