【エッセイ】睡眠関連摂食障害の可能性

 私は睡眠関連摂食障害では、と思い当たったのが、二〇二一年十二月十四日の夕方になる。

 きっかけは、この一年間、ダイエットを頑張ったのにほとんど痩せなかったなと振り返ってみたことだ。ウォーキング、ストレッチ、食事制限、早寝早起きなどを心掛けていたが、一年間で減った体重は約五キロだった。厳密には九キロ減ったのだが、四キロ程、戻ってしまったのだ。もともとの体重が多いので、もっと大きく体重を減らしたい。そんな思いで頑張った一年間だった。

 だが、と私はふと思ったのだ。自分の食事を書き出してみても、そんなに多く食べている感じはしなかった。友人に見て貰っても同様だ。オートミールを取り入れたり、低糖質な食事にし、運動もしているのに何故、体重があまり減らないのか疑問だった。低体温だから代謝が低いのかなとも思った。それにしても疑問は尽きなかった。

 そして昨日、そういえば、と私は思った。夜中にご飯やお菓子を食べていることがある……と。

 しかし、記憶が朧気だった。確実に食べている、とは言い切れない。しかし、朝に起きるとお菓子の袋が散らばっていることが多々あった。

 私は何となく「夢遊病 食事」で検索してみた。そこで辿り着いた言葉が、睡眠関連摂食障害だった。調べた限りでは、就寝後三時間くらいで覚醒し、意識が曖昧なまま起き上がって炭水化物や甘いものなどを食べてしまい、就寝するが、起床時にあまり記憶に残らないということが書かれていた。まさに私だった。私のことが書かれている、と非常に驚いた。原因として考えられているのは、服薬している薬の副作用、ストレスなどだった。私はこの日、とても元気をなくした。

 良く考えて振り返ってみると、私は夜中に目が覚めることが多い。そして何かを食べている。食べ物が見付かるまで食べ物を探し続け、見付けたら食べ散らかす。そして、寝る。朝に起きて、お菓子の袋などを見て「食べたらしい」とは思うが、ほとんど記憶に残っていないので食べたという自覚が薄かった。故に、問題視出来なかった。

 私は気が付いてみたらこの生活を数年は続けている。だから日中の食事量が少なくても、体重が減らないどころか増えて行ったのでは? そう思うと恐ろしくなった。どうして今まで、その考えに思い至らなかったのか。記憶がほとんどないからだろう。だが、と思う。何故、問題を意識出来なかったのか、本当に悔やまれる。痩せないはずだ。夜中に炭水化物などを食べてすぐ寝てしまう生活を続けて来たのだから。

 夜中に目が覚めた時の「何か食べたい」という感情は異常な程に強い。我慢しよう、などと抑えることは到底出来ない。とにかく何か食べないと、心は落ち着かないし、再び眠る気持ちにもなれない。脱抑制という言葉を調べて知った。医者に聞いたわけではないので、ここでの説明は避けることにする。

 私は深く絶望した。大袈裟ではない。痩せたい一心で頑張った、この一年間がとても無駄に思えてしまったのだ。そして、夜中に起きて意識が朦朧とした状態で食事をしている自分、それを今まで問題視出来なかった自分のことを恐ろしく思った。どうしてこうなったのだろうと、悲しくなった。

 しかし、悲しんでばかりもいられないのだ。気が付いたからには改善に動く必要がある。私は痩せたいのだ。痩せて、化粧や洋服を楽しみたい。街を歩く時に卑屈になる生活から抜け出したいのだ。

 近く、私は病院へ行くことにした。治るものかどうかは今の私には分からない。医者に話すことも不安だ。だが、このまま問題を放置することは私は出来ない。気が付いたからには行動する。それが私にとって最善だろうと思う。

 病気や病状の話をこうして文章にして残すことが良いことなのかどうか、果たして私には分からない。しかしながら、自らの心の整頓の為にここに残す。

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