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――君に伝えたメロディーが、今も何処かで響いていますように。 話し相手を探していた…
土地を相続したの、これでお金の心配をしないで小説を書くことに集中出来るわ。そう言って、…
人の話を真面目に聞く気はあるのかと、ついに彼が私のイヤホンをそれでも気を遣ったのか片方…
――時々、君が闇夜に沈んで溶けて行く。 付き合って五年目になる彼女からの、メールの返…
僕は、君を探して夢をみる。いつも、いつまででも。 ――ふと、思った。気付いた、と…
「今日が重たいんだ」 吐き捨てるように君が言った。僕はそれを聞きながら中空に浮かぶラグ…
朝が来た。私にとってはいつも通りの朝だ。だが、今日はとても気持ちのいい風が吹いている。風が気持ちいいと思ったのは、久しぶりのことだ。珍しく、空を見上げてみる。晴天。雲ひとつ、なかった。風だけが、そよそよと私を揺らし、木々を揺らし、駆けて行く。 私は失恋したばかりだ。七年、付き合った相手に別れを告げられて約三日間が経過している。三日ぶりの外は、全く以て、いつもの通りだった。昔ながらの商店街も、公園も、デパートも、何も変わった感じはしない。ただ、私にとってはの話だが、風だけ
「これ、チョコチップクッキー」 「お、ありがとう」 今日も一花は俺にクッキーを焼いて持っ…
明け方の白い月を見ていた。まだ寒い時間。窓辺に座っていると何処までも行けそうな気がした…
「だってクリスマスなのよ、ケーキくらい食べなくっちゃ」 そう言って隣を歩く僕の彼女――…
――いわゆる、恋ってやつ? 私の思いってやつを友人に話したら、そう言われた。 恋…
壊れかけのノイズが耳から遠くで鳴る。壊れかけの愛はとても脆く儚く悲しかった。夜明けの空…
切り取られた真夏の空が浮かぶ。僕はそれをぼんやりと眺め、流れる汗を拭うことなくそのまま…
たとえば傘のない日に雨に遭うように、偶然のように私の記憶は思い出に出会う。傘を持たない私はかつての記憶を色鮮やかに脳裏に蘇らせてしまい、立ち尽くす。それが、ほんのついさっきのことのように思い返す。懐かしさと苦みを以て私を苛む。点となった思い出はいつまでも私の中にあるのだ。 網戸に雨が当たっている。網目に雨粒が引っ掛かって行く。そして消えて行く。そしてまた別の雨粒が引っ掛かって行く。その様を、アポトーシスやネクローシスのようだと思う。ああ、そんな私の明日はどんな色になるだ