転職=『裏切り』なのか?『逃げ』なのか?

アラサーバリキャリ女(営業職)が10年間勤めた大企業から異業種への転職活動中です。

転職=裏切り  なのか?
無論、憲法のもと、すべての人は職業選択の自由を有しています。
つまり、転職は裏切りではない。
しかし、自分の身近な社員が転職することを知ったとき、ネガティブに捉える企業人が多くいるのが現実。(特に歴史ある大企業に多い印象。)

私は、いわゆる大企業に10年間勤めていて、身近な人が何人も転職したのを見てきたし、引き留めたこともある。一方で、今、自分が転職しようとしている。
両方の立場になって見えてきたことがあるので書き留めておく。

引き留める人は何を考えているのか?
中には部下が辞めることで自身の評価に影響があるから引き留めるという上司もいると思いますが、これは論外で、気に留める必要はありません。

むしろ厄介なのは、本気で相手のことを思って引き留めをしてくる人です。

『今より給料が下がるよ。』
『福利厚生がこんなに良い会社はないよ。』
『隣の芝生は青く見えるものだよ。』
『せっかく今まで頑張ってきたのに、もったいないよ。』
『こんなにいい会社、他にないよ。』

こんな風に声をかけられます。
でも、これって、本気で相手に対してかけている言葉でしょうか。
私には、その人が自分自身に言い聞かせている言葉に聞こえました。
自分が『辞めない理由』を、押し付けられているように感じたのです。

もちろん、当人は本気で相手のことを思って発している言葉だと思います。
でも、『いい会社』の定義って、千差万別で、一人も同じ価値観を持っている人っていないんです。さらに、『いい会社』の定義は、年齢やライフステージとともに変わっていくものだと思います。

恋愛に置き換えるとわかりやすいと思いますが、
意思が強くて引っ張っていってくれる男性が好きな人もいれば、
優しくて、なんでも自分の意思を尊重してくれる男性が好きな人もいます。友人が、『その人を辞めて、他の人を選びなよ』って言ったとしても、当人にその気がなければ不毛、ということは、言われるまでもなくわかりますよね。
(書いてて思いましたが、人の恋愛についてもこういった意見を述べる人っているんですよね…。それも、自分の価値観や生き方を肯定したいだけだな…。と、今、気づきました。)

つまり、引き留めをする人は、他人の価値観を受け入れられない未熟な人なんですね。

私は転職の意思を伝えたときに、ありがたいことに何人もの人から引き留めを受けましたが、引き留めを受ければ受けるほど、むしろ辞める意欲が高まりました。
とくに、会社の経営中核層の立場の方からも引き留めを受けたときには、自分の中にわずかに残っていた会社への愛着がしぼんでいくのを感じました。

私がその時にかけて欲しかった言葉は
『どういう会社・組織だったら、辞めなかったですか?
この会社・組織は、これからどう変わっていく必要があると思いますか?』
という言葉です。
小手先で、傷口にバンドエイドを貼るようなことではなく、もっと本質的な課題として捉えてほしかった。
身近な人がそんな言葉をかけてくれる人が多くいる会社だったら、また違った未来もあったかもしれないと思うのです。

違う話をします。

今、転職前提で入社してくる新卒者が増えていると聞きます。
『第二新卒』という言葉まで巷にはあります。
一方で、辞めていく若手が口にする理由は、『成長実感がない』という理由が大半を占めるそうです。

私は、『成長』って、痛みを伴うものだと思うのです。
自分の価値がわからなくて、組織にいる意味がないような気がして、苦しくて苦しくて、逃げたくてたまらなくてもがいている時に、人は成長しているのではないかと思います。(そしてそのことには後で気がつく。)

自分が役に立てることはあるのか?
環境のせいにばかりしていないか?
自分が変わらないと、結局なにも変わらないのではないだろうか?

そこに気が付けるかどうかが運命を分かつと思います。

学生から社会人になるって、人生の中でもかなり大きい変化だと思います。
『消費者』から、『消費される側』に立場が逆転するのですから、痛みを伴って当たり前なんです。時には理不尽なことも、納得がいかなくて机をたたき割りたくなることも、人目をはばからず泣いてしまうこともあるでしょう。でも、それが『成長している』ということなんだと思います。

大事なことは、その苦しみから『逃げないこと』。逃げなかったら、かならず成長があるはずです。

転職=逃げ なのか?
これは、辞めていく人自身にしか分かりません。
成長に伴う健全な痛みに対して、自分が逃げてしまった思いが少しでもあるのなら、それは逃げなんだと思います。
気づかないふりをして、会社のせい、環境のせいにしていても、自分の中の自分は本当は気づいていると思います。
(逆に、周りが『逃げ』と思っていても、本人が自分と向き合った結果、自分の価値観のもとに辞めるのであれば、それは逃げではない。)

企業がやるべきことは、『パワハラ撲滅』とかそんな短絡的な話ではなく、この痛みを乗り越えた先に成長があることを教えてあげることなのではないでしょうか。
そのためには、時には厳しい言葉、耳の痛い言葉を言ってあげることだって、必要だと思うのです。
若い人を辞めさせたくないばかりに、過保護になり、逃げ道をつくってしまうから、逆に逃げてしまうという実情もあると思います。

でも一方で、教育が行き過ぎてパワハラに発展することは、企業を潰しかねない重要な経営課題ですね。

では、企業はどうすればいいのか。
これは難しい課題ですね。

異業種の別の組織に入ることで、見えてきたものがあれば、また書いてみたいと思います。



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