記憶のメカニズム②
本日は、記憶のメカニズムの続きのお話をしていこうと思います。
失われた記憶
せっかく覚えた記憶も、保存方法や引き出し方によって中々思い出せないことがあります。
ここでは主な例を見ていけたらと思います。
◎メモリーブロック…喉まで出かかっているのに、思い出せない!
どうしても人の名前が思い出せない、という経験はありませんか?
これをメモリーブロックと言います。
メモリーブロックは、緊張している時や疲れている時に起こりやすいと言われています。
若者より高齢者に起こりやすく、もしこれが起こった場合は無理に思い出そうとせず、気楽に待ったほうがいいそうです。
◎アルコール・ブラックアウト…酒の失態は酒の席で思い出される
飲み過ぎた次の日に起きてみると、飲んだ時の記憶がすっかりなくなっていた、という経験がある人は多いと思います。
深酒によって記憶を失うことを、アルコール・ブラックアウトと言います。
空腹時に強いお酒を短時間で飲み終え、酔いが回ったところで、地図の路線を覚えるという実験がありました。
その結果、酔った状態で記憶したものをしらふの時に思い出そうとすると、記憶の再生能力は落ち、逆に、しらふの時に記憶したものは、酔った状態では思い出しにくくなることがわかりました。
この実験から、嫌なことを酒で忘れようとするというのも一理ありますよね。
ところが、酔った時に記憶したものを再び酔った状態で思い出す場合には、記憶の障害はほとんどありませんでした。
つまり、酒の席での失敗は酒を飲むと逆に思い出してしまうので、お気を付けください。(笑)
記憶力を良くする方法は?
実は、心理学の研究では、生まれながらにして、人間の記憶に差があるという結果は出ていないんです。つまり、記憶力が良いと言われている人たちは、皆それぞれに独自の記憶術によって、まるで生まれつき記憶力が良いように見えているのです。
皆さんも聞いたことがある記憶法を本日は3つ紹介致します。
◎物語構成法
記憶しなければいけない事柄をつなげてストーリーにまとめて記憶する方法です。歴史などは、単語を一つ一つ覚えるより、ストーリーで覚える方が効率が良いでしょう。まんが日本史や日本史のアニメ映像などはとてもオススメです。
◎チャンキング
数字の羅列などを記憶する場合、記憶に残りやすいように3つ〜7つに区切りを入れて覚える方法です。
アメリカの心理学者ミラーは、実験の結果、この最大量を3〜7程度であるとし、マジカルナンバーと名付けました。
例えば、携帯電話番号をそのまま覚えるのは難しいため、〇〇○ー〇〇〇〇ー〇〇など区切って記憶します。このように覚えやすく区切られた意味のあるまとまりを【チャンク】と呼びます。
◎場所法
これは場所と記憶しなければならないことをセットで記憶する方法です。
「対連合学習」という学習法の1つです。
学習の場所を変えて、ここでは英語、ここでは国語と決めるのも記憶を想起する際に良いかもしれませんね。
人はどのように他人の顔を識別し、記憶しているのか
最後に、我々人間はどのようにこのほとんど同じような顔をしている人間同士を識別し、記憶しているのだろう?というところをお話しできればと思います。
いったい私たちは、どうやって多くの人の顔を記憶をしているのか、顔の記憶には3つの特徴があげられます。
◎孤立効果
他の人とは違った形状を持つ顔は記憶に残りやすいです。
もちろん、魅力的な顔は記憶に残りますが、お笑い芸人アインシュタインの稲田さんはとても記憶に残りやすい顔をされています。
◎意味処理優位性効果
顔から受ける印象を性格特性と結びつけると記憶しやすくなります。初対面でこの記憶法は難しい気がしますが…
◎既知性効果
これは当たり前だと思ったのですが、初めて会う人よりは、見たことある人の顔の方が思い出しやすくなります。
でもこれは子どもと大人では全く効果が違うのが面白いところです。
子どもと大人では、人の顔の識別能力が違います。その人の顔を再認するという能力は10歳くらいになるまで、完成されません。
そのため、子どもに、いつもメガネをかけて会っているのに、メガネをその日は外して会った場合は、あなただと認識してもらえないことが多いのです。これは、10歳以下の子どもは目や鼻や口などの顔のパーツに着目して、人を判断しています。これをモンタージュ(再生)と言います。
本日はここまでにしますね。
次回は残像現象と色について心理学と絡めてご紹介致します!
ぜひ見てください♪
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