イクメン夫がいても産後うつになった話する?
死にたい。
これは希死念慮だと思った。
ベランダから落ちたら死ねるかな、1階の人に迷惑だな、近くの線路に飛び込んだ方がいいかな、でも人身事故で電車止められるのは自分がやられるとムカつくよな、赤ちゃんは簡単に死ぬだろうな、今ここでベランダから落とすのも、線路にそっと置くのも私の手でできるな、でも赤ちゃんが死ぬよりは私が死んだほうがいいな、そんなことを考えるようになった。
やっぱり来たか、と思った。一度仕事関係で「うつ一歩手前」をやらかしており、産後うつのリスクはあると思っていた。案外、産後半年間は元気でやってこれた。
しかしとうとう、食べれない、眠れない、やる気がない、しんどい、どうしたいかわからない、涙が止まらない、赤ちゃんがかわいくないフェーズが来た。そして、死を考えた。
今回も「うつ一歩手前」だと思う。病んだ期間は短かったし、今は赤ちゃんが可愛いと思えるし、育児してるし。
自他ともに認めるイクメンの夫がいて、外部の手を借りることもできる私でもこうなるのだから、いわんや他のママをや。
育児がスタートして半年、蓄積したダメージがあった。赤ちゃんからの攻撃である。
赤ちゃんの体重が10kg近くなり、抱っこが本当にきつい。骨盤に疼痛が走る。
加えて、一度は一晩通して寝てくれるようになったのに、また寝てくれなくなった。一方で成長したのか赤ちゃんの昼寝が短くなり、気が休まる時間がほぼなくなった。自分の時間は前にも増してなくなった。
引き金を引いたのは夫だった。この人は、仕事をしながら育児に積極的に参加し、大人用の料理を全部作ってくれる。控えめに言って超イクメン。
しかし人間、長所ばかりではない。この人の短所は、大事なことを話せないことだった。産前からそうで、指摘したこともあった。
大事なこと、たとえば知育とか離乳食とかについて話したくても、どーでもいい話ばかりされてタイミングを逃し、もういいや私が決めてやればいいや、となってしまう。
「しんどい」と言いたかった。でもまたどーでもいい話ばかりされて、話す機会がなくなった。
もう一つ、夫は私のペースを乱していることに気付いていなかった。
夫はテレワークの合間に来て、赤ちゃんと遊んだり離乳食をあげたりする。私は、見てくれるのかと思って洗い物をしたりする。夫は次の会議が始まると途中で部屋に帰る。赤ちゃんがほったらかしになる。私は慌てて手を洗って赤ちゃんのところへ行く。
出社の日は、寝かしつけや片付けがひと通り終わり、ふぅやっと今から自由時間、というタイミングで帰ってくるので、今日の出来事を話したりご飯食べるのに付き合ったりして、私の時間が消える。
他にも諸々が半年間積み重なって、夫はもはや「私のペースを乱す存在」になっていた。
ある日、夫が私のペースを大きく乱す出来事があり、その日を境に転げ落ちた。
典型的なうつ病の初期症状が出てきた。子が私にダメージを与えてくる存在にしか見えなくなった。
とうとう子のギャン泣きに耐えられずキレた。夫が慌てて赤ちゃんをかっさらっていった。
●うつ病のスクリーニング
以下①~⑨のうち5つ以上が存在すると、うつ病かもしれない。
自己評価してみると
①抑うつ(憂鬱な気分)
朝、ため息で起きる。また大変な1日が始まる。
涙が止まらなくなった。外を歩いていても涙が止まらない。
笑えなくなった。すると赤ちゃんも笑わなくなった。
②興味や喜びの減退
何にも興味が持てない。
③体重減少または増加、食欲減退または亢進
急に3kg痩せた。食欲なし。
④不眠または過眠
子どもが寝てるのに自分が眠れない。夜中ミルクあげたあと、自分だけ眠れないまま朝を迎える。
⑤精神運動焦燥または制止
何も考えられない。
⑥疲労感
疲れしかない。もう疲れた。重い赤ちゃん、抱っこしんどい。寝てないから回復してない。
⑦無価値観、罪責感
子に罪はないのに、夫は協力的なのに、私がこんな状態で申し訳ないと思う。
⑧思考力の減退
何も考えられない。どうしたいかわからない。頭が止まった。
言葉が出てこなくなった。語りかけもできないし、夫とも話せない。
⑨希死念慮(死にたい、自殺の計画)
前述のとおり。
産後うつの重症度は3段階に分けられている。自己評価は軽症~中等症くらい。
●産後うつ、自分で治療するしかない
今は落ち着いているから冷静に振り返ることができるが、渦中の間は頭が動かなくて、どうしたらいいのかわからない、わからないわからないわからない、という感じだった。
病院に行きたかった。治療の基本は、環境調整+投薬だ。仕事で「うつ一歩手前」になったときは病院に行けた。環境調整という名のもと仕事を剥がされた。睡眠薬も処方してもらえた。
しかし今は病院に行けない。環境は調整できない。育児は剥がせない。自力で治療するしかない。そんなしんどいことある?
立ち直るきっかけをくれたのは1冊の本だった。
産前に夫が買っていた。産前にも読んで、良い本だと思ったが、今読むと言葉の一つひとつが物凄い重みをもって胸に刺さった。
ほんそれ。
赤ちゃんの発達スピードが鈍化し、体重だけは増え続け、育児のモチベーションがなくなった。
ほんそれ。
相談したかったのにできなかった。
夫は批判的思考の塊のような人なので傾聴が下手。
求めてるのは「でも」じゃなくて「じゃあこうするのはどう」という建設的な議論。
本文に出てる通りの警報を発していた。
この警報は、お疲れさまの言葉やスイーツでは解除できない。
私が育休の間は、
私の仕事=育児+家事
夫の仕事=会社の仕事+家事
と思っていたが、うまくいかなかった。
よく考えれば2人の子どもなので
夫の仕事=会社の仕事+育児+家事
であるはずだった。
夜いくら赤ちゃんが泣いていようと、すーすー寝息を立てて寝ている限りこの人は「手伝い」の域を脱しない、育児してないと思った。
洗濯機を回し終わって、あと絵本3冊読んだら洗濯物畳もう、と思っているのに先に来て(仕事の合間にも関わらず)洗濯物畳みだして、なんか申し訳ないから一緒に畳む、みたいなことが多発していた。
非常に効率が悪い。
ほんそれ。
自分がどうしたいかわからない。
本の読み合わせをしながらすれ違いを解消した。
夫は「甘えててごめん」と言った。私が潰れるまで負担をかけたのが「甘えていた」ということらしい。でも私も自分の業務量を適正見積もりできていなかったので、別に夫が悪いわけではない。二人三脚で転んでも、一緒にもう一度立ち上がれればいい。
今、夫は夜起きられるようになった(起きれるんかい!)。私のペースを乱さないよう動いてくれるようになった。家事はプロジェクト型にした。料理は夫、掃除洗濯は私。互いに口出ししない。大きな谷を越えて、今やっと家族になった気がする。
●産後うつの解決策はないに等しい
産後うつ、タチが悪すぎる。育児中に精神科や心療内科にかかるのはほぼ不可能だ。核家族で、どこからも見えない状況で、潰れてるママさんいっぱいいるんだろうなと思った。自力で治療するしかない、となると医療の限界を見ているような気がする。
どんな病気もまず予防。人と会う予定を入れておく、本音を言える家族や友人を見定めておく、赤ちゃんから離れる時間を作っておく、など。
でも、予防しても、超イクメンの夫がいても、外部のサポートがあっても落ちるときは落ちるのだ。どうしたらいいのかね。誰か教えて。
●切実に「ごきげんなママ」でいたい
話し合いの中で、夫に「夜起きることより、あなたが不機嫌でいることの方がしんどい」と言われた。苦笑。家族全員がごきげんでいるために、互いに痛み分けが必要だ。ごきげんなママでいたい。
画面の向こうのあなたは……
今しんどいママさんかもしれない。しんどいですよね。とりあえず『ふたりは同時に親になる』はおすすめですよ。
元気なママさんかもしれない。私も基本元気ですが落ちるときは闇落ちしたのでお気をつけて。
先輩ママさんかもしれない。しんどくなかったですか? 他の人がどうやって乗り越えたのか聞きたいです。
妊娠中の方かもしれない。この記事を読むと怖がらせてしまったかもしれないけど、ごきげんな日は赤ちゃんめちゃくちゃ可愛いですよ。出産頑張ってください。
パパさんかもしれない。自分が育児してると思っても「手伝ってるだけ」かもしれませんよ。気を付けて。転んだらパートナーと一緒に起き上がりましょう。
行政や医療職の方かもしれない。産後うつの支援、無理ゲーな気がしますがいかがでしょう? 妙案があるなら聞きたいです。
読者が誰であれ、何か気づきがあったら嬉しいです。何故わざわざこんなことを書き残すのかというと、同じ状況の人絶対いるなという確信があるから。これを読んで「しんどいの私だけじゃないな」「周りのサポートがあるのにしんどいって言いにくいけどしんどいよな」「私も産後うつかもな」とか、ちょっとでも救われる人がいると公開した甲斐がある。
お疲れさま! 育児頑張ろ! 頑張れ! という方は♡押して行ってもらえると喜びます。最後までお読みいただきありがとうございました。
《終わり》
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