umi chan

特に意味のない短編小説を書いています。 良かったら暇つぶしにどうぞ。

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最近の記事

エゴ

いつから自分をこんなに偉いと思うようになったのか? 何もなくて、無防備で、ただただ不安の中をさまよっていた私は、不安から逃れたくて、いろんな物をかき集めた。 それは時に お金だった時もある 情報だった時もある 彼氏だった時もある 語学が喋れる事だった時もある 高級な物を所有する事だった時もある そうやって、かき集めたものに囲まれると不安を紛らわす事ができる。 そうやって不安を紛らわすとどうなるか知ってる? 勘違いがはじまるの。 自分はすごいのではないか。とか 特別なの

    • 1つの魂のお話 1

      遠い遠い昔、私は誰かのために一生懸命に働いた。 その方が喜んでいただけるように、辛い仕事も頑張った。 灼熱の太陽の下でも、凍えるような寒さの中でも、その方が喜んで頂けるなら! と思い一心不乱に働いた。 ある日一緒に働いている何百人の仲間と共に、手錠と足かせをかけられた状態で列になって、暗い地下室に並んでいる。 いつもと違う光景だ。進んだ先に何があるのかわからない。 長い列の先頭は、他の部屋のドアがありみんなその中に入っていく。 今からその中に入るらしい。その理由はわからない

      • 1つの魂のお話 2

        <<前のお話   次のお話>> また長い長い時間が経ち、私は地球に生まれた。 今回は、建物の中での労働で前回よりはマシだ。 今回もまた誰かのために働いている。 心を込めて働いた。 しかし、あまり頑張らないようになった。 頑張ったって、報われない事だってある。 だから頑張るけど、そんなに誠心誠意やらなくても良い。 そんな生活を何年も続けていると、世間の情勢が変わって貧困状態が続いた。 私は奴隷として、ある家庭に売られてその家に向かっている。 家の人が良い人だと良いなと、一

        • 1つの魂のお話 3

          <<前のお話   次のお話>> 私は人間に産まれたくないと思っているが ほとんどの魂が人間に生まれたいらしい。 みんな列をなして、神様に懇願しにいく。 私は前回、こんな素晴らしい行いをしました。 人間に生まれたら、こういう事をして頑張ります。 だから人間に生まれさせてください。 このように人間に生まれる事を心から願っている。 なぜなのか全く理解できない。 人間なんてただの苦しみの塊なのに。 なぜ人間に生まれたいのだろう。 確かに、一見人間は、良さそうに見える。 だから、み

          1つの魂のお話 4

          <<前のお話   次のお話>> 私の番がきた。 「神様、私は人間にはなりたくありません。次はてんとう虫にしてください。」 「・・・・・」 初めての要望だったのか、神様は一瞬無言になる。 「いいけど、てんとう虫は、命が短くて生と死が早く来るよ?それでもいいの?」 この世界では生と死の瞬間が最も辛いと言われている。 確かに、生と死は苦しい。 でも人間に生まれるよりはマシだ。 人間で何十年も生かされるより、寿命が短くて生と死を何度も経験した方がマシだ。 「神様、それでもいいです。

          1つの魂のお話 4

          1つの魂のお話 5

          <<前のお話   次のお話>> また生まれる番になった。 「神様、次もてんとう虫になりたいです。」 「それはできません。あなたは、てんとう虫として十分に命を全うしました。全うした生き物には戻れないのです。」 「それでは地面にいる小さな虫に生まれたいです。」 「それもできません、あなたはてんとう虫として命を全うしたので、てんとう虫以下の生き物にはなれないのです。」 「そうですが、では人間以外でてんとう虫の次になれる生き物は何ですか?」 「人間になりたくないのなら、鳥はどうかな

          1つの魂のお話 5

          1つの魂のお話 6

          <<前のお話   次のお話>> 鳥は素晴らしい生き物だった。 次も、鳥に生まれたいけど、同じ生き物になれないから、もう少し大きな鳥に生まれる事はできないかな?神様にお願いしてみよう。 「神様、鳥は素晴らしい生き物でした。愛に溢れていて本当に素晴らしい経験をしました!鳥は人間以上に素晴らしい生き物かもしれません!」 「それは、違います。鳥も人間も同じく尊い存在なのですが、あなた達の魂は人間に生まれる事を目標としています。人間に生まれてから、成し遂げなければならない事がある

          1つの魂のお話 6

          1つの魂のお話 7

          <<前のお話   次のお話>> 人間が行き交う街中。 ジメジメした路地で生まれた。 兄弟がいたような気がするけど、気がついたら自分だけ人間に捕まってしまい。 一人になってしまった。 人間の家に連れて行かれた。 家の端っこで小さくなる。 「あぁ最悪だ・・・また人間に殺されるかもしれない。」 家の中はジメジメしていて、あの路地と同じような感じだ。 家の奥から、色白の女の子が出てきた。 前に経験したことがある人間の人種とは違うように見えた。 肌が白くてふっくらしていて柔らか

          1つの魂のお話 7

          1つの魂のお話 8

          <<前のお話   次のお話>> ある日お父さんの部屋のドアが開いていたので中を覗いた。 また蹴飛ばされたら嫌なので、そっと覗いた。 するとベットに腰をかけたお父さんは両手に顔を埋めて泣いているようだった。 そっと部屋の中に入った。 お父さんはチラリとこちらを見たが、気にする事なく項垂れてため息をついていた。 お父さんはみんなに責められて苦しんでいるのだと理解した。 近くにすり寄って愛情を振りまいてみた。 お父さんは僕の事をチラリと見たが、気にする事なく、そのままベットの横に

          1つの魂のお話 8

          1つの魂のお話 9(ラスト)

          <<前のお話 人間の近くで10年位生きて、僕は思った。 やっぱり人間は苦悩だらけの生き物だ。 人間の心はとても複雑でコントロールが効かないとても恐ろしい機能だと思った。 近くにいて、人間の苦しさを十分理解した。 次の生まれ変わりでは、絶対に人間にさせられる。 あぁ嫌だな。。 嫌だな。。 どうにかならないかな? 神様の列に並んでいる時にあれこれ考えた。 いよいよ生まれ変わりの時がやってきた。 「神様!聞いてください。私は人間にはなりたくないです。人間になったら、心があっ

          1つの魂のお話 9(ラスト)