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BEAT〜社会起業家の事業推進と資金調達〜 登壇レポート(後編)

『BEAT』は株式会社talikiが主催する、起業家のためのイベントシリーズです。
3月21日(土)の『BEYOND2020』まで行われ、毎回豪華ゲストをお迎えしトークセッションを行なったり、起業のヒントになる情報をお届けしています。

追記:コロナウイルスの影響で『BEYOND2020』の開催は延期となりました。最新情報はこちらから https://www.facebook.com/events/510763719563277/

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本イベントでは一般社団UMF 代表理事の高村治輝が登壇し、社会課題の発見〜分析〜解決・事業の進め方・ 社会動向についてお話をさせていただきました。


〜 本文中の表記 〜
中村多伽さん(株式会社taliki CEO):多伽
原田岳さん(株式会社DADA CCO 、株式会社taliki CCO):岳
高村治輝(一般社団法人UMF 代表理事):高村


前半の記事はこちらから
中編の記事はこちらから


一般社団法人UMFの手掛ける選挙投票率向上プロジェクト『#vote_forプロジェクト』についてはこちらをご覧ください。



助成金について

岳)はるくんは日本財団から助成金をもらってるよね?そこの話も聞かせて欲しいな。

高村)そうだね。日本財団を知らない人もいると思うので説明をしとくと、日本財団はボートレース(競艇)の主催者で、その売上の一部(年間 約300億円)を使って、ソーシャルセクターに助成を行っている日本最大規模の財団ですね。

その日本財団が手がけたabemaTV『10億円会議で合格をもらったことから助成金をいただける運びになりましたが、この取り組みも含めて意欲的な若者を中心に支援先を探しているんだなと感じましたね。

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引用:日本財団 HPより

ただ、みんなが助成金をもらおうと普通に応募するだけではおそらくダメで、僕たちも政治/選挙というセンシティブな事業テーマということもあり、約1年間議論と細かな調整をした上で助成金が決定しました。その中で言語・価値観の違いをすごく感じて、具体的には僕たちは事業性に関すること(何を行ってどれだけコスパよくお金を使うか)を重要視していたんですが、先方は課題の特定と解決策の有効性に対して明確な答えを求めていました。

僕も申請中は論文を書いてるのかな?というくらいたくさんの事例やデータを調べ尽くしました(笑)そのおかげで課題の全体像が見えてきたのでよかったなとは思うんですが、この調査・分析・デザインを知識もないところからはじめるとめちゃくちゃ時間も労力もかかるし、ちゃんとしないと否決されるということもあるので、助成金を取るのにもしっかりとしたサポートが必要だと感じています。

そのために、まずは僕たちが結果を出して推し進めていく。そして次世代にもどんどんこうしたお金が回っていくような、そんな社会をつくっていきたいですね。

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質問コーナー

岳)ぜひやろう。ここで一旦、会場のみなさんからも質問があれば受けつけたいんですけど、いかがですか?

客)はい。そもそもなんですけど、「ソーシャルセクター」とはなんですか?

高村)ご質問ありがとうございます。公益(広く一般に享受される利益)を生み出す組織のことですね。NPOとか行政はわかりやすいですが、これには社会的企業も含まれますね。


客)行政と組む強みって何ですか?

高村)国や地方自治体に協力してもらえるとなると、国民みんなが受益できるようにしてくれるのがソーシャルセクターの良さですね。

例えば大阪市の教育委員会が後援についてもらえる場合なら、告知ビラを大阪市の小学校に通う全生徒(約11万人)にホームルームで配布するということも可能で、これはつまりローコストで全家庭にサンプリングができるということ。
こんな壮大な告知、なかなかひとつの会社ではできないですよね。でも、ソーシャルセクターによる公益活動が、社団法人や・NPOならできる。強いですよね。

行政はいま若い力を求めている。わかりやすいところでいうと関西の都市ではどこでも起業家支援してますしね(笑)

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客)NPOと一般社団法人はどちらがいい(?)んですかね?

高村)何もないところから始めてとにかく法人格が欲しいなら一般社団作ってみてもいいかもね。2週間くらいですぐできるし。NPOはすぐに名乗ることはできるけど、法人格を取得しようとするなら半年くらいかかるし、初期の動きとしてはめんどくさいよね。

あと、NPOでも認定特定非営利活動法人制度というものがあって、個人・法人の寄付が税控除を(より)受けやすくなるんだけど、寄付を狙うならこれも知っておくといいと思います。

ただ、寄付は普通には集まりません。「日本は寄付文化がない」と言われますが、その裏側としてまだまだメリットが作れてもいないなという実感があります。なので「NPOをつくれば寄付が集まる」というのは「クラウドファンディングしたらお金集まるよね」くらい考えが浅いと思うのであまりオススメはしません。

付け加えるとするなら今後、助成金市場はめちゃ拡大するわけではありませんし、めちゃくちゃその市場が大きいわけでもありません。例えばアメリカと比べても助成金の規模は桁が2,3つ違うわけで日本だと日本財団だけが助成額が突出しているという状況です。なので、いまこの波に乗り込むならOKだと思います。ただ、飽和してきたら意味がないのかなと。

ひとつ希望としては休眠預金をソーシャルセクターに回そうという法律が可決されたことですね。これが年間約700億円で、銀行から国に行って、管理団体、分配団体などを通じてソーシャルセクターに行きます。

日本財団の助成金と合わせて1,000億円の市場です。これは新しい資金調達の仕組みになり得ますが、現状では実績などがある「声が大きい人」しか取れない状況です。これが僕たちみたいな次世代の「声が小さき者たち」に回る社会にすること。これが運命の分かれ道になると思っています。大袈裟な言い方に聞こえるかもしれませんが。

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客)「音楽フェスのために投票いく」という動機は不純にならないのか?

高村)確かに聞こえは悪いですよね(笑)これも内部や日本財団でもすごく議論しました。でも、調査すればするほど適当に投票するひとって少ないことがわかります。例えばabemaTVが行った調査では毎日ニュースを見ているという若者(15~19歳の男女1,000名)は約70%、逆に全く見ないという若者は4%しかいません。他にも日本財団『18歳意識調査』などからも適当に投票を行う人の存在が極めて少数であることがわかります。

その一方で、義務投票制や投票しないと懲罰を受ける国すらありますからね。必要なのは投票したいと考えている人に対してどう情報提供を行うかです。僕たちも1→10を担う選挙の専門家たちと手を組んで情報提供をしていくのですが、そうした横断的なコミュニティ形成こそ重要で、ひとつのソリューションで解決できるほど社会課題はシンプルではないということだとも考えていますね。


客)夢を追える若者を増やしたいと起業を考えているんですが、起業が適しているのかがわからないんです。

高村)その想いの背景に何があるのか、何が必要なのかは洗い出した方がいいと思いますね。ほんまに自分が変えたいと思う意思があるかどうか?自分の中で命を張れる確固たる意志があるかどうか。そして社会の流れにマッチするかどうか。

そんでもって課題解決に対して優先順位が一番高い要素が何なのかを考えた方がいい。儲けることなのか、自分を表現することなのか、そして課題を解決することなのか?

課題を解決したい場合は僕らのやってきたことが役立つと思うので気軽に相談してくださいね。


おわりに

岳)最後にキャッチアップしておいた方がいい情報ってあるかな?

高村)助成金や休眠預金などについても話せたので満足してます(笑)

あえて言うならこれからはタブーが大事だと思います。これからのブルーオーシャンはタブー。具体的に言うとSDGsもそうで、例えばLGBTなども僕らの子供のころは「ゲイだー!」とかって友達をおちょくっていたけど、今ではテレビにもオカマタレントが出るのが当たり前になっているし「ゲイだー!」なんて言ってる方が白い目で見られますよね。

そのくらい社会の概念って変わる。それに対して新たな市場も生まれくるので、ぜひ皆さんにもタブーに挑むことを大事にしてもらえたらなと思います。

そしてお金は後からついてくる。若い僕たちだからこそ、声のでかい人たちがやらないことが狙い目になってくる。「そんな金の使い方」こそ僕たちができることじゃないですかね。


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前・中・後編と3章にわたる長編を読んでくださったみなさん、ありがとうございました!

社会課題の解決に挑むということは長く厳しい道を歩むことになるのですが、その中であなたの生きがいがみつかることを願っていますし、僕たちがサポートできることがあるのであればぜひ気軽にご連絡いただければうれしいです!

シェア・いいね・コメントも大歓迎ですのでよろしくお願いします!🙌

「つい、やってみたくなる」をつくる。#vote_forプロジェクト で #政を祭に 。abemaTV『10億円会議』https://youtu.be/MdQtYgSohoU いただいたお金はプロジェクトに使わせていただきます!