KILIG:おなかに蝶が舞うような『翻訳できない世界の言葉』

五月晴れーーー!!と叫びたいようなお天気。
はた、と立ち止まる。

Q:「五月晴れ(さつきばれ)というのは、「梅雨の晴れ間」のことだと聞いたことがあるのですが…

もともとはそうだったらしい。「五月雨(さみだれ)「五月闇(さつきやみ)」なる言葉もあって、こっちはやはり梅雨どきのころに使われると。
▼NHK文研:https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/gimon/097.html

さつきやみ、か。知らなかった。語彙を増やすことは、すなわち世界の彩りを増すこと、素朴に楽しいね。

この本も、モノの見方のメガネをたくさん増やしてくれる。たいへん有名ですが。

上記リンク「内容紹介」から、一部ページが見られます。


タイトルとおり、なかなか翻訳が難しい言葉がイラストとともに収録されている本。
日本語だったら「KOMOREBI」「WABISABI」「TSUNDOKU」などが掲載。
木漏れ日。さすがの目のつけどころ。「木の葉のすきまから射す日の光」って意味が書かれているけど、字義以上にたくさんの意味が含まれているよね。
昼下がりの満足感とか、うたたねしたくなる安心感とか、自然に抱かれる心地よさとかさ、そんなものも込みで「こもれび」って言ってるんだなってことを実感しますね。


好きなのはこのあたり。

●GURFA(グルファ) アラビア語
片方の手の平にのせられるだけの水の量

…水が少ない文化圏だからこそ出てくる目盛り。

●ポーレッグ ノルウェー語
パンにのせて食べるもの、何でも全部

…「ご飯のお供」の北欧版!

●イクトァルポク イヌイット語
だれか来ているのではないかと期待して、
何度も何度も外に出て見ること

…「センター問い合わせ」を思い出して、カルピス原液を吸いこんだような甘酸っぱさ。。


この本は、プレゼントにもってこいじゃないかな。
そうだなあ、対象は、英語を学びはじめる10歳くらいから、大人だったらおじいちゃんおばあちゃんまで。

・絵が多くて美しい
・字が少なくて負担が少ない
・そのうえ、人生を味わう見方を増やしてくれる

まったく違う文化圏に触れる楽しみもあるし、逆に、年齢性別国籍を超えた「あるある!」に出会えるのもうれしい。

●「直訳すると『龍の餌』。夫が、悪いふるまいを妻に許してもらうために贈るプレゼント」(Drachenfutter ドイツ語)
●「シャツの裾を、絶対ズボンの中に入れようとしない男の人」(cotisuelto カリブ・スペイン語)
●「直訳すると『言葉の階段』。あとになって思いうかんだ当意即妙な言葉の返し方」(トレップヴェルテル イディッシュ語)

なんか、世界の人と仲良くなれそうじゃない?

うめざわ
*KILIGとはタガログ語の「おなかの中に蝶が舞っているような気分」

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