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《転載》 国旗にハマったこども時代

※この記事は、2016年に以前のアカウント「まいにちアスパーガール!」で掲載した記事からの転載です。


いちばんスキな本は『こっきのえほん』でした。

とてもありがたいことに、教育熱心な両親のもとに育ったわたし。
家にはもちろんたくさんの絵本がありました。
兄と一緒に、母の読み聞かせを聞きながら、ねむる日々。
「林明子さん」や「安野光雅さん」の絵本、
「てんぐちゃんとだるまちゃん」シリーズ、
「エルマーの冒険」シリーズ、
「ぐりとぐら」シリーズ...。

スキな絵本はたくさんありましたが、そのなかでも一番わたしが繰り返し読んで大好きだったのは、母が兄に買っていた戸田デザイン研究室さんが出版された『国旗の絵本』です。

内容は超シンプルです!
・1ページに1つの国旗
その下に
・国の名前(日本語と英語)
・首都の名前
・世界地図の中の場所

が書いてあります。

表紙の裏には世界地図が大きく書いてあるページが、
いちばん最後には、全世界の国旗が地域毎に並んでるページがあります。

・パターン的な絵がすき。
・地図がすき。
・色、かたちにそれぞれ意味がある。
・地域、旧植民地、宗教など共通のルールがある。

ルールをみつければみつけるほど、ハマっていくのでした。

そして、気づけば丸暗記。

アスパーガールの多くは、スキなことになると、すごい集中力を発揮するらしく、わたしも気づけば、全部の国旗の国名がわかるようになっていました。
国名と一緒に、首都も、場所もわかりました。
絵本に載っていない国の国旗も知りたくて、どんどん調べました。

ストーリーも、お姫様も、ヒーローも、事件もなにもない絵本ですが、
わたしにとっては、国旗毎の共通点や相違点、そこに込められた思いや歴史をみつけるのがすごく面白くて、繰り返し読めば読むほど面白かったのです。

誰かがつくったひとつの物語を読むよりも、ものごとの中に、なんらかの規則性をみつけていける国旗に興味があったのだと思います。

そして、国旗はそのビジュアルで多くを語ります。視覚情報の処理が得意なわたしとしては、文字よりも具体的な絵よりも、その象徴的なデザインに込められた神秘性が、知的好奇心をそそる存在だったのです。

当時のいちばんのお気に入りは「パナマ」の国旗♡
国名の響きでスキだったのは「アンティグア・バーブーダ」と「セントクリストファーネイビス」です。

国旗への興味は、地理や世界地図、世界史への興味へ。

ちいさい頃に国旗の絵本に出逢ったのがきっかけなのか、
その後も世界地図や、地理、各国の成立ちや宗教や文化の分布、民族など、
そういう分野はとりわけスキでした。

よくも悪くも、国境はいまでも変化しているし、
国が増えたり、合体したり、独立したりしています。
わたしが覚えた「国旗の絵本」には載っていなかった国が
この20年間ほどでずいぶん増えています。
わたしが読んでいた頃の「国旗の絵本」はロシアが超巨大です。笑
首都の場所も変わっちゃっていたりするので、
わたしの記憶は今ではもうほぼ拍子抜けです。

成長と共に特定の分野への興味は薄れるのか?

たとえば、わたしの国旗のように、アスパーガールの多くは、特定の分野へ強い興味を注ぎます。
幼い頃は、とくに熱中しているように見えるかもしれません。
わたしも以前の方が興味の幅が狭かったように思います。

では、成長するにつれて、その「強い興味」は失われてしまうのでしょうか。

必ずしもそうではないとわたしは思っています。
年を重ねるにつれて、いろいろな分野への知識量が増えていくのは当たり前のことです。まちがいなく総知識量が増えます。そうなると、「総知識量」あたりの「特定の分野への知識量」の割合は少なくなるでしょう。
そうして、目立つことが少なくなるだけで、「スキなものへの執着」は変わらないんじゃないかと思います。

とことんスキなことしていいじゃん。ね?

こども時代のアスパーガールがもつ興味は、一般的な女の子がもつ興味対象とは違うかもしれないし、なんで、そんなものに興味がわくのかと不安に思う親御さんもいるかもしれません。

でも、その子なりに、なんらかの理由があるはずなんです。
その「ものごと」を調べていたり、触れているだけで、わくわくしたり、どきどきしたり、キラキラしたり、つまりは至福なのです。
人権に関わることじゃないかぎり、スキなだけやらせてあげてほしいなって思います。

「なんで?」「どうして?」と思う力って、すごいエンジンです。ひとが与えられる力じゃありません。その子からしか出てこない力です。
その力は、将来、その子を助けてくれるものかもしれません。
たいせつにすべきです。
ふつうにしようとしないでください。特別にする必要もないけれど。

その子が「たいせつにしていること」を見守ってほしいんです。
その子のペースを侵さないように。
転ぶ前に助けないように。
だいじょうぶです。スキなことなら、何度でも立ち上がりますから。

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