マガジンのカバー画像

転送少女症候群、もしくは黍島柘十武の長い回想【完結済】

16
「君に恋をしてもいいかな?」 生きる理由も希薄な「僕」の前に、ある日突然現れた少女がそう問いかける。強引に始められた同居生活の中で、彼女はその能力(転送)によって辿った奇妙な自分…
運営しているクリエイター

2023年5月の記事一覧

【連載小説】転送少女症候群、もしくは黍島柘十武の長い回想 #05

 次の日、大教室の隅の方に座っていた僕に、志伊理美が近寄ってきました。  おはよう、と彼…

1

【連載小説】転送少女症候群、もしくは黍島柘十武の長い回想 #06

 その日、大学の授業はまるで耳に入りませんでした。  志伊理美の頼み事など、忘れていま…

1

【連載小説】転送少女症候群、もしくは黍島柘十武の長い回想 #07

 次の日も僕は普通に家を出ました。遊は、そんな僕に、待ってる、どう話せば良いか、何度も…

2

【連載小説】転送少女症候群、もしくは黍島柘十武の長い回想 #08

「『あなたは世界とうまくやれない――』  それは、折に触れミツウラがわたしに言い続けて…

1

【連載小説】転送少女症候群、もしくは黍島柘十武の長い回想 #09

 大学に行っても、僕は、まるでうわの空でした。  授業では、講師がいつもの真面目そうな…

1

【連載小説】転送少女症候群、もしくは黍島柘十武の長い回想 #10

 思考の焦点が合いませんでした。ぼやけているのじゃなく、遊のこと、氷井のこと、どちらか…

1

【連載小説】転送少女症候群、もしくは黍島柘十武の長い回想 #11

 ふう、と遊はひとつ息を吐きました。そして、僕を見詰め返すと、疲れないかい? と遊は微笑みました。大丈夫だよ、お前は? と僕は返しました。いや、わたしは大丈夫、でもツトムは……そして、覗き込むように僕の表情を確かめると、わかった、続けるよ、と呟きました。 「でも、まあ、どうやってやったかって話は大して重要じゃない」 「ん?」 「少なくともわたしにとって」 「……うん」 「聞きたい?」 「遊が話したいなら」 「話したいわけでもないけど……うん、わたしは、ある少女専門の信用あ

【連載小説】転送少女症候群、もしくは黍島柘十武の長い回想 #12

 次の日、学校に行くのが、相当に嫌でした。  僕はどうしても遊のそばにいなければならな…

2