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サラリーマンこそワーケーションをしよう|はじまり編(会社に提出した企画書付き)

NAD (Nikken Activity Design lab)の梅中です。

NADは、日建設計の新規事業チームとして8年目を迎えた2020年、ダイレクターとして新たに勝矢武之を迎えました。

これからNADでメンバーとともにやっている活動と、建築や場のデザインから見た世界の現在を発信していきます。

私は、世界102ヶ国を旅をしながら働いてきた経験をもとに、今の時代を生きる上での「ワークスタイルデザイン」と、近年テーマにしている「エスノグラフィー」という調査手法を中心にお伝えしていきます。(ときどきしょうもないことも言います。)
私の最近の生態は下記を参考にどうぞ。

「旅をしながら働く」実験をはじめたときの話


2017年の年の瀬。
評価コミュニケーションで当時のNAD室長と会話していたときのこと。

サラリーマンらしく、
今年の業績評価によるボーナス額、来年の目標設定、
昇進時期の展望なんかを上司と話す例のやつ。

多分に漏れず、組織設計事務所に所属する私も、
サラリーマン人生において、毎年行ってきた年末の通過儀礼だ。

忙しくて二人きりでゆっくり話すことも出来ていなかったので、
ここだ!
とばかりに私は切り出した。

「半年ぐらい休んで南米に行きたい・・・」

煙に巻かれるか、窘められるのか、
はたまた呆れられて干されてしまうのか、
いくつかのパターンは想定していたが、

室長の回答は、斜め上を行っていた。

「それ、おもしろいから研究業務でやんなよ。」

・・・

すぐさまに勢いよく研究計画書を書き上げた。


研究計画書のタイトルは『Working Travel』


計画書には下記の内容を、夢中で書きなぐった。
内容は適当に省略しているけれども、いたって真面目に書いた。

・目的
 リモートワークの可能性と限界の間で、望ましい働く場やツールや
 ワークスタイルそのものをデザインしてプロジェクトに実装するよ

・仮説
 旅に仕事持ち込んだ方が絶対クリエイティビティ上がるっしょ
 あともう、じっとしているだけじゃ会いたい人に会えないっしょ

・ベースとなる教養
 考現学とか文化人類学とか(とにかく今和次郎になりたい)

・射程としている社会課題
 テレワークの可能性と限界、副業、発展途上国のイノベーションとか

・目的地候補先
 まずはバリとかカンボジアとか、かわいい(?)ところからスタート

・梅中がやる優位性/必然性
 シェアオフィスプロジェクト主担当、イラストと文章でアーカイブできる
 フィールドワークとかエスノグラフィーの手法開発できる、などなど

・すでにあるプロトタイプ
 たぶん建築業界では現時点でないけど…
 ベンチマークは78歳現役女性バックパッカーの久保木武子さん

・体制
 すぐに1人ではじめられるけど、、
 研究として被験者=1でいいのかが問題。。。

・スケジュール
・費用(仮)
・アウトプット(想定)

などなど。

一見ばかげているようだけど、
私のサラリーマン人生のすべてをかけて、
クソがつくほど真面目に書いた。

★200608_NAD梅中_ページ_05

★200608_NAD梅中_ページ_20


真剣にやれよ!仕事じゃねえんだぞ!


タモリさんの大好きな名言に
「真剣にやれよ!仕事じゃねえんだぞ!」というのがあるのだけど、

しょうもないな、とか、くだらないな、とか思っている、
書類や申請や上司確認&承認などハンコリレーの類ほど
徹底的にまじめにやった。

仕事だったらどうだろう、ちゃんとやっただろうか。
いや、仕事なんだけど。

■仮説

これは記念すべき第1回目の実証実験で東ティモールにいたとき、
ゲストハウスの庭でふとイメージがまとまって、熱狂的に書いた初期仮説。

朝から晩まで、ニワトリの鳴き声が響くテラスのボロボロの机で
がむしゃらに仕事をしていた私を見た通りすがりの欧米人に、
「ワーカホリック・・・」と蔑まれたのは、いい思い出。

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(夢中で書いていたらビーサンを猫に取られていた…)

そんな一見面倒そうなことをクリアにすれば良いので、
実はサラリーマンの方が新しい働き方にチャレンジしやすいのでは
と思っている。

というよりも、
自分らしい働き方を模索できる社員の選択を認め、
さらには、
そういった人材を評価していく方向転換をしなければ、
企業が生き残れない時代になった。
という方が正しい。

生まれた時から携帯電話があった世代が入社してきたときのように、
オンラインネイティブ世代が、未来を担っていく時代がすぐに訪れる。


増大する「選択肢のパラメータ」を泳ぎ切れるか


勤務”時間”と勤務”場所”を企業側がコントロールしてきたこれまでは、一般的にオフィスに行けば働いている状態だとされてきた。

しかし私が言うまでもなく、近年の『働き方改革』によって、
”時間”に関しては、フレックスタイム制や多様な休暇制度の導入
”場所”に関しては、サテライトオフィスの充実やシェアオフィスの整備
が浸透しつつあった。

そして世界に訪れた急激な変化により、
・距離を取ることが正義(むしろ離れている方が良い)
・自らの健康を最優先して、その日に働く場所を決断することが正義

となり、

オンライン会議や在宅勤務が一気に市民権を得たことにより
”時間”の選択肢が解放される世界が突然訪れた。

ワーケーションという概念も政府の発言により広く浸透したことで、
早々に地方移転を決定したり、オフィスを解約してフルリモートに移行する企業も出てきたが、ルールがないからと二の足を踏む企業もまだまだ多い。
より一層、その二極化が今後進んでいく予兆さえある。

この”時間””場所”の両者を常に選択し、
仕事の成果と自らのコンディションをコントロールすることは、
ときに面倒だったりする。

こんな私だって、無性に、受動的に、
ルーティーンワークをしていたくなるときがある。
(大きな声で言えないけれど。)

でもやっぱり、極限状態に身を置くことは楽しいし、
もうそうしていないと生きている実感が得られないのかもしれない。
(そのあたりは次回以降に詳しく書きたいと思います。)

★200608_NAD梅中_ページ_06


3年間、世界中をワーケーションをしてみた結果


私がこだわってきたのは、
ノマドワーカーとして独立&起業し各国のコワーキングで働くのではなく、あくまで日本企業のサラリーマンとして「決められた制度の中で」自分の技術・成果により研究費を捻出しながら『旅をしながら働く』というもの。

3年間「選択肢のパラメータ」を泳いできた中で、現れた成果がある。

・常に決断の連続なので、決断力が上がる
・常にリスクと隣り合わせなので、リスク回避力が上がる
・結果的に、プロジェクトマネジメント能力が格段に磨かれる
・終業したら1歩で見知らぬ街でインプットできる
・思わぬひらめきが降りてきて、一気に仕事が片付くことが多い
・ワークとライフのスイッチが自在にできるようになった
・おもしろい人と出会ってつながれる
・部下が成長する

・・・などなど。

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2017年末に書いた研究計画書の最後に、こんな文字があった。
「サラリーマンが世界を旅しながら働く時代は、すぐ目の前にきている。」

新しい働き方…

やってみたいけど、自分にやれるかな?と迷っている人は、
騙されたと思って一度企画書を書いてみることをおすすめします。

自分らしいやり方で、自分ができる方法で、
「ワークスタイルデザイン」をするきっかけはたくさんある。
その入り口はすぐ目の前にある。

以上、越境デザイン集団NADでたくさんの国境を越えてきた梅中が「はじまり編」をお送りしました。

次は、枠組みを越境する男・後藤崇夫(幅跳びインターハイ出場経験者)の投稿をお楽しみにどうぞ。


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