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アフリカにおける日本企業の動き(2020年3月)

毎月、アフリカにおける日本企業の動きをまとめています。

3月は、日本企業のどんな新しいアクションがあったでしょうか。

2月分までは、こちらにアップロードしています。

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なお、以下のページからは、過去のバックナンバーをすべてみることができます。2012年以降の日本企業のアフリカでの動きが蓄積されています。右上の検索窓から、国名や企業名での検索も可能です。


1本目は、三菱商事です。
日本の商社は、アフリカのオフグリッド発電に出資している企業が多いです。というより、7大商社中6社が出資しています。出資先は、家庭用太陽光発電キット割賦販売事業(SHS事業)のスタートアップか、太陽光ミニグリッド事業を行う企業です。

三菱商事はフランス電力公社EDFとともに、主として西アフリカでSHS事業に出資しています。今回のニュースは、同社出資先のNeoTが、コートジボワールでSHS事業を行うZolaの売掛債券証券化を提供するというものです。

これはとてもおもしろいニュースですね。SHS事業は、非電化地域の家庭に太陽光発電装置と電気を使う道具である電灯などをセットした一式をまず貸し出し、毎日の使用量に応じて少しずつ返済を受ける仕組みとなっています。返済期間は1年程度で設定されていることが多いです。つまり、売掛金の回収期間が非常に長く金利負担が重いビジネスモデルなのですね。そのことが、事業を拡大する足かせになっています。

事業拡大のための資金の必要性がまず先にきて、あとからゆっくり少しずつ回収していくモデルのため、SHS事業のスタートアップは、エクイティで巨額調達をしているところが多いです。今回の売掛債権証券化は、ビジネスモデルにもフィットしたキャッシュフロー改善、事業拡大のための方法です。

【コートジボワール】三菱商事が出資するNEoT Offgrid Africaが、家庭用太陽光発電キット割賦販売(SHS)事業をコートジボワールで行うZola Electricity Cote d'Ivoireに対して売掛債権証券化を提供へ(3/2)

アフリカのオフグリッド電力事業に投資するNeoT Offgrid Africa(NOA)が、オフグリッド事業を行うZola Electricity Cote d'Ivoire(ZECI)に、売掛債券証券化サービスを提供する。

仏電力公社EDFとZola ElectricとのジョイントベンチャーであるZECIは、コートジボワールにおいて10万家庭以上に太陽光発電キットを販売することを目指している。NOAには仏投資会社Meridiam、フランス電力公社EDF、三菱商事が出資している。NOAは、アフリカのオフグリッド電力事業に対して売掛債券証券化サービスを提供する初めての企業である。

ZECIは、顧客に太陽光発電キットを貸し出し、レンタル料金を受け取りながら、払い終わって初めて所有できる「rent to own」モデルを採用している。ほとんどが銀行口座を持たない人々であるため、モバイルマネー介して支払いが行われる。

NOAは、この支払い期間中の金融リスクを引き受ける。Crédit Agricole CIB (CACIB)やSociété Générale CIB並びに Société Générale Côte d'Ivoire (SGCI)といったコートジボワールの銀行を介して融資する。アフリカ開発銀行(AfDB)とCACIBが債務を保証する。


コロナ関係のニュースが、このころからでてきます。豊田通商は、Sendyという、配送するドライバーさんと配送を頼みたい人をマッチングするサービスを提供するスタートアップに出資しているのですが、そのSendyがスーパーチェーンと提携して、スーパーのオンライン配送を請け負うというものです。

記事にあるように、ナイロビでは主としてSendyの他、GlovoやUber Eats、その他小さい企業や個人が、デリバリー事業を行っています。

いま、スーパーにいくと、これらの会社のバイクがたくさん出入りしています。所得が高い人が住むエリアに行くと、明らかにデリバリーのバイクの数が増えたのがわかります。とくにGlovoのバイクをよく見かけますね。

ただ、いまの段階だと、スーパーに行くのを避けてデリバリーを頼むのはまだ一部のエリア、一部の人です。今後、一般の人にもデリバリーや日用品のオンライン購入が普及していくきかっけになるか、注目です。

【ケニア】ケニアのスーパーTuskysが豊田通商が出資する物流スタートアップSendyと提携し宅配事業を強化。コロナにより宅配市場の拡大を予想。Uber Eats、Glovoにも追い風(3/17)

新型コロナウイルスの感染拡大により、eコマース、特に家庭向けの配送が伸びる可能性がある。すでに複数のスーパーマーケットは配送会社と提携している。

ケニアのTuskys Supermarketはケニアの物流スタートアップSendyと提携した。顧客が買い物リストを店舗に電話、SMS、WhatsAppで送ると、同社から同じ連絡方法で請求と配送に関する詳細が送られてくる。同社はまた、惣菜の配達をUberが展開するフードデリバリーUber Eatsと提携して開始する。

同じくスーパーマーケットのNaivasは、食品・日用品配送スタートアップのスペインGlovoと提携した。オンラインデリバリープラットフォームから購入した場合、購入価格が1,000ケニアシリング(1,000円)以上の場合配送コストを無料とする。ケニアにおいてeコマースの普及はゆるやかだったが、今回のコロナパンデミックは、特に都市部における普及が加速する可能性がある。

カフェチェーンのJava HouseはUber Eats、eコマースJumiaのフードデリバリーJumia FoodならびにGlovoと提携すると発表した。
※1ケニアシリング=1円(モーニングスター、3/21)

商社含め、日本企業がアフリカで何をしているのか、どういう日本企業がアフリカで事業を行っているのか知りたいときには、以下がとても便利です。



【ケニア】UDトラックスがケニアでのトラックの組立生産を再開(3/9)

スウェーデンの自動車メーカーボルボグループの子会社で日本のトラックメーカーUDトラックスがケニアにおいてトラックの組立生産と販売を再開する。

UDトラックスは、ケニアにおいて長年組立生産と販売を行ってきた。2020年2月に改めてノックダウン生産を開始し、2020年2月末に最初のトラックを納入した。大型トラックのQuesterと中型トラックのCronerが組み立てられるという。

自動車ディーラーCMC Motorsが35%、ケニア政府が32.5%を保有するKenya Vehicle Manufacturers(KVM)の工場で組み立てられる。KVMは1976年に開始されたケニアで最初の自動車組立工場で、現在は年間6,600台の車両の生産能力を持ち、290人以上を雇用している。


【モザンビーク】商船三井がモザンビークに駐在員事務所を開設(3/10)

商船三井は、4月にモザンビークに駐在員事務所を開設する。モザンビークと南アフリカを担当する地域代表として設置する。

モザンビークは天然ガスなど資源に恵まれた国であり、商船三井は同国で発電事業に参画している。南アフリカは、サブサハラアフリカを代表する経済国であり、今後は自動車完成品の輸送や原材料の輸出が見込まれている。


【アフリカ全般】アフリカで普及する携帯ブランドTECNO Mobileが、カメラにソニーの最新チップを内蔵した機種を発売へ(3/17)

アフリカおよび世界で普及している携帯ブランドであるTECNO Mobileが、発売予定のCAMON 15シリーズで、ソニーのスマートフォン用カメラの最新チップを内蔵する。ソニーのこのチップを搭載した携帯電話が発売されるのはアフリカで初めてとなる。

ソニーのカメラ用チップの最大の特徴は、ピクセル単位の細部にまで多くの情報を詰め込めることで、これにより同じピクセル数の他のチップより、良質な写真が撮れ、暗がりの写真でも鮮明に撮ることができる。CAMON 15シリーズは、2020年代のスマートフォンの技術革新において鍵となる64メガピクセルカメラを搭載するという。

写真はモザンビークのマプトです。

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