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住友商事がアフリカの通信事業に参入、日本企業ではじめて

エチオピアが行っていた通信自由化にともなう初の外資への通信ライセンスの提供、英ボーダフォンのグループが勝ちました。住友商事が25%を出資しています。入札金額約900億円。

日本企業ではじめて!といっても、よく考えるとアフリカ14カ国で通信事業を行うAirtel Africaにソフトバンクが出資しているので、2番目ですかね。ただ、今後も3割近くは出資するでしょうから、そのシェアを持って参入するのは初めてでしょう。

英ボーダフォンは南アボーダコム、ケニアのサファリコムの親会社で資本関係があります。CDCはイギリスの開発金融機関です。

住友商事は、昨年11月に英ボーダフォンと業務提携を結んでおり、これがほぼ最初の案件です。マダガスカルなど大変なプロジェクトもありますが、これで社内におけるアフリカのポジションが激上がりしますように!

前回の記事でも書きましたが、エチオピアには通信会社が1社しかありません。国営のエチオテレコムが、人口1億人の通信事業を独占しています。

他のアフリカの国々は、3社4社入り乱れ競争している中、エチオピアは人口が多いのにライバルが少ない、いまから参入して採算の合う事業ができる可能性がある、残された市場なのです。

まさに最後のフロンティア、外資開放するときにはぜひ参入したい国だったところ、2018年から始まった経済自由化で、上限2社の外資に対して通信ライセンスを発行することが決まりました。

通信ライセンスの入札には、関心表明時点では仏オレンジや、ソフトバンク出資のAirtelなど10社以上が手を挙げたのですが、通信塔の整備からはじまる負担が大きく、最終的に札を入れたのは2社だけでした。

ひとつは南アに本社を持ち、アフリカ17カ国で事業を行う、アフリカ最大の通信会社MTN。もうひとつが、今回勝った、英ボーダフォン、南アボーダコム、ケニアサファリコム、英CDCのコンソーシアムです。

札を入れる企業が少なかったのは、将来のキャッシュカウであるモバイルマネー事業のライセンスが含まれていなかったこともあります。ただ、入札後、1年後に提供を開始する可能性も示唆されました。

サファリコムはいわずとしれた、ケニアの、いや世界においてモバイルマネーを普及させた立役者です。

経緯はこちらからどうぞ。

外資ライセンスは2社に出すと行っていましたが、結局獲得したのは、英ボーダフォン・住商コンソーシアムだけとなりました。たぶん、MTNが落ちたのは、他の要素というより金額だと思います。外資不足が経済に大きなネガティブインパクトを与えており、外資が絶対的に必要なエチオピア政府は、安売りはしない、金額が低ければ誰にもライセンスはださない、とさかんに事前に言っていました。

住友商事がエチオピアの通信事業に参入することで、日本の通信機器やサービスがエチオピアに入るきっかけになるのではないかと期待されています。なにしろ、エチオピアは外資規制がきつく、こうでもしないと入るの大変なのです。。

いちばん期待されているのはNECですね。すでにアフリカ各国の通信塔に対して、通信システムを販売しています。マイクロ波通信システムは、アフリカ40カ国以上に納入実績があります。

NECがアフリカで何をしているか、また住友商事が何をしているかは、こちらに詳細があります。

巨額の負担に対し、MTNは、中国の一路一帯構想に基づくインフラ投資を行う国有ファンドであるシルクロード基金(Silk Road Fund)からの資金提供を手当てしていました。通信塔を整備する際には当然中国機器を入れてきたでしょう。

現在エチオピアでエチオテレコムが入れているのはZTEです。

通信機器のファーウエイVS世界の文脈でいうと、今回英ボーダフォンコンソーシアムがライセンスを取りMTNが落ちたことは、ファーウエイ回避と言えるかもしれません。ただ、5Gに関してはアフリカでもファーウエイが回避されている中、唯一ファーウエイを起用しているのが、今回のコンソーシアムの筆頭であるケニアのサファリコムなんですよね。


サムネイルの写真は首都アディスアベバでインジェラを食べる女子。インジェラ、ヘルシーフードだし、日本でも流行りませんかね。私が撮った写真、相変わらずピントがあってません笑

週刊アフリカビジネスではこのニュースをずっと追ってきました。アフリカのビジネスニュース、日本企業が無関係なわけでもないし、けっこう面白いんですよ。そのわりには、日本語ではほぼニュースになりません。住商のエチオピア外資ライセンスも、今回勝ってはじめて報道されました。関心のある方はこちらから詳細ごらんください。


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