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アフリカベンチャーニュース(2019年11月)

アフリカでは今、次々と新しいベンチャー企業が生まれています。世界の投資家からも注目されており、内外からの資金調達も活発です。アフリカならではの事業が発明されていると同時に、シリコンバレーや世界で普及する新しい技術・ビジネスモデルとの時差は確実に縮まっています。

アフリカにおけるベンチャー企業、ベンチャー投資、ベンチャー的な取り組みをまとめました。今月は、アフリカ携帯端末トップシェアの中国トランシオンのモバイルマネー開始や、新たなアフリカのユニコーンの誕生、オンライン決済、モバイル決済、小口融資、ヘルスケアテック、MaaS、AI、IoT、ドローン、eコマース関連の事業を取り上げています。


日本語で報道されない、現地の生の情報を、1カ月単位でまとめます。以下からご覧ください。

なお、10月分はこちら

9月分はこちらになります。

11月分はこちらの記事に転載しています。長いです!ラストに過去のバックナンバーを載せておきますね。バックナンバーにもたくさんの情報があるので、お正月休みにでもゆっくり読んでください。

なお、これらアフリカのベンチャー企業に関するニュースは、こちらの週刊アフリカビジネスをお申し込みいただければ、毎週定期的にお手元に配信されます。ご関心のある方はこちらからお問い合わせください。


【ナイジェリア】アフリカにおいて携帯端末販売台数トップの中国のトランシオンが、携帯決済サービスPalmPayをナイジェリアで開始(11/13)

アフリカの携帯端末市場シェアトップの中国メーカートランシオンホールディングス(トランシオン)が携帯決済サービスをナイジェリアで開始した。PalmPayと呼ぶサービスを、トランシオンと中国ネット大手でNetEaseが英国に設立した合弁企業Transsnetを通じて提供する。両社に加え台湾の通信ハードウエアメーカーMediatekが4,000万ドルを投資した。

PalmPayアプリは、Tecno、itel、Infinixといったトランシオンの携帯ブランドにプリインストールされる。トランシオンは2017年に携帯販売台数でサムソンを上回り、アフリカの携帯端末市場でシェアトップとなった。

同社は2019年10月に上海証券取引所スター市場に上場を果たし4億ドルを調達している。ハードドウェアで成功したトランシオンは、携帯決済サービスに参入することで、販売した端末からの継続的な収益獲得を狙う。ナイジェリアの次にはガーナへの進出が決まっており、2020年にはさらに他のアフリカ諸国への展開を計画している。

ナイジェリアの決済サービス進出により、同じく中国企業が出資するOpayとの全面対決は避けられない。Opayはウェブブラウザなどのソフトウェア開発のOperaが2018年8月に開始した決済サービスで、2019年7月には中国企業のコンソーシアムから5,000万ドルを調達している。


【ナイジェリア】米VISAがナイジェリアのフィンテック会社Interswitchの株式20%を2億ドルで取得と報じられる。アフリカに新たなユニコーン企業が誕生へ(11/11)

米VISAが、ナイジェリアの決済会社Interswitchの株式20%を2億ドルで取得すると報じられた。これにより、Interswitchの評価額は10億ドルとなり、アフリカに新たなユニコーン企業(10億ドル以上の評価額を持つ非上場企業)が生まれることとなる。

Interswitchは17年前に創業された、ナイジェリア最大手の電子決済サービス企業。2020年にロンドン証券取引所への上場を予定しているとされ、その際の企業価値は15億ドルまで上がると考えられている。アフリカを事業地とするテック分野でのユニコーンとしては、すでに2019年4月にニューヨーク証券取引所に上場しているJUMIAに続く。

Interswitchは、アフリカ20カ国以上で事業を展開しており、オンライン決済プラットフォームやPOS端末、1,900万枚に上るデビットカードを提供している。同社は2019年11月初め、ナイジェリアのヘルステック企業e-Clat Healthcareの過半数株式を取得し、2016年には同国の金融サービスのスタートアップ、VANSOも買収した。2014年にも、東アフリカに特化した支払いサービスを提供するケニアのPaynetの過半数株式も取得している。


【ケニア】ケニアの銀行I&M Bankが中国のユニオンペイのケニアにおける独占取り扱い銀行に(11/4)

ケニアの銀行I&M Bankが、1年間のテスト期間を経て、中国のオンライン決済プラットフォームUnion Pay International(UPI)のケニアにおける独占取り扱いを行う金融機関として指定された。

I&M Bankはテスト期間中、UPIカードの国内外決済を処理していた。今後は輸出入を行う企業がUPIプラットフォームを通じて輸出品の支払いを受け取ることや輸入品の支払いをキャッシュレスで行うことができるようになる。同社はEquity Bank、KCB、SBM Bankを利用するUPIカード保有者から決済手数料を受け取る。

UPIは過去9カ月でアフリカのUPIカード保有者を2億人まで増やしたとしている。


【ケニア】中国のスマートフォンメーカーVivoがアフリカ市場に進出、ケニアに地域オフィスを設立(11/5)

世界第5位でアジア第2位のスマートフォンメーカーである中国Vivoは、ケニアに地域オフィスを設立し、アフリカ市場に進出する。

同社は中位機種のスマートフォンに特化しており、スマートフォンの購買力が高い中所得者層が拡大するアフリカ地域のシェアを狙っている。アフリカのエントリーポイントとしてケニアを選んだ理由として、テクノロジー普及率が高いことを挙げている。

Vivoは主力製品である中位機種のスマートフォンの発売と共に、世界初の32MPのデュアルポップアップフロントカメラを搭載したスマートフォンも発売する。これはインドで2019年9月に発売された中上位機種で、Samsung Galaxy A70やOppo R17 Pro、Redmi K20 Proなどに匹敵するスマートフォンとなっている。


【ナイジェリア】オンライン決済Interswitchがナイジェリアの医療施設向けプラットフォームのeClat Healthcareを買収へ(11/6)

ナイジェリアに拠点を置く、アフリカに特化したオンライン決済会社Interswitch Limitedが、ナイジェリアのeヘルスケアスタートアップeClat Healthcareの株式60%の買収を発表した。

eClatは2012年創業。オーダーメイド型ヘルスケアプラットフォームを通じ、250カ所を超えるヘルスケアセンターや私立病院など様々なタイプの医療提供者に対してその業務の計画、設計、運用への支援サービスを提供している。Interswitchのプラットフォームと提携することで、決済ソリューションにつなげることを目指す。


【ケニア】ケニアの4銀行が共同で中小企業をターゲットにした携帯による少額ビジネスローンを開始(11/7)

ケニアの4つの銀行KCB Group、NCBA Bank、Cooperative Bank of Kenya、Diamond Trust Bankから成る銀行グループは、共同で携帯による少額ビジネスローンサービスを開始する。これまで融資の対象としてこなかったSMEs企業に対して100億ケニアシリング(100億円)を提供する。

Stawiという名称で開始されるサービスでは、3万ケニアシリング(3万円)から上限25万ケニアシリング(25万円)の融資を中央銀行の政策金利と同じ9%の年利で受けることができる。返済期間は1カ月から12カ月。5月には試験的にサービスが開始され、すでに10万社に対して合計1億シリング(1億円)を提供している。KCBとNCBAはすでに通信会社サファリコムとともに携帯による個人向け融資と貯蓄を提供している。

※1ケニアシリング=1.0円(モーニングスター、11/7)


【エジプト】エジプトの公共バスアプリSwvlがパキスタンでの事業に2,500万ドルを投資。シード投資の開始も計画(11/7)

公共バスアプリを提供するエジプトのSwvlは、パキスタンでの事業に2,500万ドルを投資する。同社は2019年7月にパキスタンのラホールで事業を開始し、現在カラチ、イスラマバードをあわせたパキスタンの3大都市すべてで事業を展開している。

2023年までに50万人のパキスタン人の移動手段となり、年間1万人の雇用を創出する計画という。また、パキスタンにおいて健全なテックエコシステムを作るために、プレシード期のスタートアップへの投資の開始も計画している。さらに同社は、パキスタンにオフショアサポートおよびエンジニアリングオフィスを開設する予定である。

Swvlのサービスでは、乗客がアプリを利用して公共バスの座席を予約できる。同社はナイロビで6カ月前に事業を開始している。


【ナイジェリア】モバイル決済のOPayがナイジェリア中央銀行から国際送金の認可を取得(11/8)

ナイジェリアで携帯を通じた決済、配車アプリ、食品デリバリー、融資サービスを提供するOPayが、ナイジェリア中央銀行から国際送金サービスの認可を取得した。これを受けて同社は、ナイジェリア向けのB2B、B2PおよびP2Pの国際送金サービスの提供を開始する。

世界中の送金サービス企業がOPayと提携することで、ナイジェリアへの銀行口座やOpayウォレット、携帯マネーへ直接入金できるようになる。Opayウォレットを用いれば、ナイジェリアで10万店を超えるOPayモバイルマネーエージェントで現金を引き出すことができる。

OPayは、2018年8月にモバイル決済サービスを開始した。Opayはバイクやタクシーサービス(ORideおよびOTrike)、オンラインフードデリバリー(OFood)、小口融資(OKash)および資産管理サービス(OWealth)を展開している。


【ケニア、ナイジェリア】携帯少額融資のケニアBranchのナイジェリア子会社がプライベートエクイティTLG Capitalから調達(11/11)

携帯少額融資サービスを展開するケニアのBranchのナイジェリア子会社がBranch Nigeriaが、英プライベートエクイティTLG Capitalから出資を受けた。

Branchは、1,000ナイラ〜20万ナイラ(300円~3万円)の少額融資を4週間〜15カ月の返済期間で提供している。同社はケニアで2017年に創業した。

TLG Capitalによるアフリカへの投資は25件目であり、ナイジェリアの金融サービスへの投資は6件目となる。

※1ナイラ=0.3円(モーニングスター、11/13)


【ケニア】デンマークM-PAYGがケニアの漁師を対象に太陽光を利用したオフグリッド発電による冷蔵設備の割賦販売を開始(11/11)

デンマークのM-PAYGは、ケニアの漁師向けに太陽光を利用したオフグリット型の冷却設備の販売を開始した。

ケニア国家統計局によると、ケニアには約15万人の漁師がおり、毎年推定18万7,000トンの漁獲高がある。しかし、冷蔵設備の不足により、推定で3分の1が消費される前に失われている。

M-PAYGは手頃な価格でオフグリッドの太陽光発電による冷蔵設備を提供できるように、割賦払いを導入した。携帯電話を利用して、毎月20ドルから30ドルを24回に分割払いする。支払いが終わったあと漁師は設備を所有できる。この設備は最低6年間利用できる。


【トーゴ】配車アプリGozemとTotal Togoが提携、GozemのデジタルウォレットかとTotalカードを連携させ、ドライバーがTotalガソリンスタンドで直接燃料購入やメンテナンスサービスを受けられるように(11/12)

トーゴの配車アプリGozemとTotal Togoが略的提携を結んだ。GozemのデジタルウォレットとTotalカードを連携させ、GozemのドライバーがTotalカードを使えるようにする。ドライバーはトーゴ全域のTotalのガソリンスタンドで、燃料や関連製品の購入、自動車のメンテナンスへ、Gozemから得た売上からキャッシュレスで直接払えるようになる。

ドライバーがTotalの高品質な石油製品とサービスを受けやすくなることで、自動車の性能と寿命を維持し、ドライバーの生産性や乗客の安全性を向上させることができる。

この提携は、安全の促進のみならず、自動車の寿命を延ばし燃費を向上させることで温室効果ガスの排出削減にも資する。キャッシュレス取引が可能となることで、現金輸送に伴う様々なリスクを回避することもできる。

【ケニア】英Standard Chartered銀行がケニアで携帯少額融資事業を開始(11/14)

英金融機関Standard Charteredがケニアで携帯少額融資事業に参入する。同行の顧客の平均年齢は50歳を超えるといい、若い年齢層の顧客を狙う。

ケニアでは、携帯少額融資のサービスは50以上存在しており、携帯の操作だけで最大で400ドルを借りることができ、多重債務者が多発している。そうだとしても、アフリカは世界のモバイルマネー取引の約半分を占めており、経済成長に貢献している。Standard Charteredはケニアから開始し他の国への展開する予定。同社は、保険会社南アSanlamと提携して、携帯による保険と投資商品の販売はすでに行っている。近くナイジェリアでも同サービスを開始する予定。

Standard Charteredは160年前からアフリカ大陸で事業を行なっており、現在アフリカ16カ国で事業を展開している。アフリカの12億5,000万人の人口の60%は25歳以下であると推定される。


【ケニア】ケニアの公衆Wi-Fiサービス会社BRCKが南アへ進出。Googleの無料Wi-Fiグーグルステーションとの競争へ(11/14)

ケニアに拠点を置くハードウェアおよびインターネットサービス会社BRCKは、同社の無料公共WiFiサービスであるMoja WiFiで南アフリカ市場へ進出する。

同社は2年前にMoja WiFiサービスを開始し、これまで東アフリカ市場の公共スペースやバスの中に3,000近くを設置した。利用者には無料で提供され、代わりに企業に有料サービスを提供することで収益を得てきた。月間セッション数は700万に達しており、アフリカの公衆WiFiプロバイダー大手となる。

南アフリカでは先日、米グーグルがローカルISPと提携して西ケープ州の100カ所に無料WiFiサービスGoogle Stationを立ち上げている。


【ナイジェリア】ナイジェリアのフィンテックスタートアップOPayが、ソフトバンクや中国系ベンチャーキャピタルからシリーズBで1億2,000万ドルを調達(11/18)

ナイジェリアのフィンテックスタートアップOPayは、シリーズBラウンドとして1億2,000万ドルを調達した。ナイジェリアでの規模拡大と、ケニア、ガーナ、南アフリカへの事業拡大に用いる。今回のラウンドでは、中国のベンチャーキャピタルであるMeituan-Dianping、GaoRong、Source Code Capital、GSR Ventures、日本のSoftbank Ventures Asia、米のベンチャーキャピタルやスタートアップであるBAI、Redpoint、IDG Capital、Sequoia Chinaが参加した。同社は2019年6月にも5,000万ドルを調達している。

ナイジェリアのオンライン決済・携帯決済領域は、米VisaによるInterswitchへの2億ドルの投資や、中国のトランシオンが主導するモバイルマネーアプリPalmPayへの4,000万ドルの投資など活発化している。2019年はまた、中国系投資企業がアフリカのスタートアップに張った年といえ、OPay、PalmPayに東アフリカの物流会社Lori Systemsを加えるとこの短期間で15の中国投資家が合計2億4,000万ドルを投資している。

OPayは、ノルウェーのブラウザ会社Operaが中国の投資家に買収された後、2018年にナイジェリアで創業された。OperaのウェブブラウザはアフリカではChromeに次ぐ利用率となっている。同社はOPayの決済サービスを中心に、バイク配車サービスであるORideや料理配達サービスであるOFood、中小企業マーケティング支援のOLeadsなど、多岐にわたる事業をナイジェリアで展開している。OPayは現在、14万人のアクティブエージェントと1日1,000万ドルの取引額にまで拡大している。


【チュニジア】仏配車サービスHeetchがチュニジアの投資会社からシリーズBで400万ドルを追加調達、2020年にはチュニジアやセネガルを含む6カ国に新たに進出へ(11/18)

チュニジアの投資会社AfricInvestが、フランスの配車サービススタートアップHeetchのシリーズBラウンドに400万ドルを投資した。Heetchはこのラウンドで4,200万ドルを調達したこととなる。シ11リーズBラウンドの投資家にはCathay Innovation、Idinvest、Total Carbon Neutrality Ventures(前Total Ventures)が含まれている。

HeetchはフランスではUber、Kaptenに並ぶ配車サービス大手で、競合他社に比べて低いコミッション(15%)を設定している。フランスでの規制を経て、現在はプロドライバーや現地のタクシードライバー、バイクタクシーとの提携も行っている。

フランス語圏を中心にアフリカにも進出しており、現在モロッコ、アルジェリア、カメルーンで事業を展開している。モロッコでは、タクシー組合と連携することで、アプリを使って予約ができる唯一の合法な配車サービスとなっている。カメルーンではバイクタクシーサービスを展開している。

同社は2020年には、チュニジアやセネガルを含む6カ国に進出する予定である。


【ナイジェリア】音楽・ストリーミングアプリBoomplayを提供する中国Transsnet Musicが、ソニー・ミュージックエンタテイメントとライセンス契約を締結(11/19)

アフリカ10カ国で展開し、ユーザー数が6,000万人を突破した音楽・ストリーミングアプリBoomplayは、ソニー・ミュージックエンタテインメントとライセンス契約を結んだ。2018年のユニバーサルミュージックグループ、2019年のワーナーミュージックグループに続く提携で、世界3大レーベルを網羅したことになる。

Boomplayは、アフリカで最大シェアを誇る中国の携帯電話メーカー、トランシオンホールディングスと中国のネットコンテンツ大手NetEaseによる合弁会社Transsnet Musicが提供している。現時点でカメルーン、ガーナ、コートジボワール、ケニア、ナイジェリア、ルワンダ、セネガル、タンザニア、ウガンダ、ザンビアで提供されている。

同社はアフリカ全土で毎月約200万人の新しいユーザーを獲得しており、中国TikTokと並ぶ急成長中の音楽アプリと評される。同社は2019年初頭には、アフリカでのビジネス拡大のために2,000万ドルの資金を調達した。ユーザーは、無料の広告付きプラン会員か、月額約1.5ドルのプレミアムサブスクリプション会員を選べる。


【カメルーン】アフリカでeコマースを展開するJumiaが、カメルーンでのeコマースサービスを終了(11/19)

アフリカでeコマースを展開するJumia Technologies(Jumia)は、カメルーンでのeコマースサービスを終了した。クラシファイドサービスJumia Dealsは継続する。

カメルーンは、中央アフリカにおいて経済規模の大きな国の1つであるが、北西の英語圏と南西の仏語圏間での2年に渡る分離闘争によってその経済成長は打撃を受けている。2019年4月にニューヨーク取引証券所に上場したJumiaの株価は、公開価格14.50ドルから下落している。第3四半期の業績は3期中2回目の売上未達成となった。カメルーンのeコマース事業の終了のニュースを受けて、Jumiaの株価は4.96ドルという最安値を記録した。

IMF(国際通貨基金)によると、カメルーンの2019年のGDP成長率は、石油部門以外の不調により、2018年の4.1%から3.9%に減速する可能性が高いとしている。また、米トランプ大統領は10月、分離闘争における治安部隊の人権侵害を理由に2020年1月から特恵関税AGOAを中止すると発表している。


【ケニア、ウガンダ】AIトレーニングデータ生成Samasourceが、Ridge Ventures率いるシリーズAラウンドで1,480万ドルを調達(11/20)

サンフランシスコを拠点とするAIトレーニングデータ生成のSamasourceは、Ridge Ventures率14いるシリーズAラウンドで1,480万ドルを調達した。他の投資家はSocial Impact Ventures、Bestseller Foundation、およびBluecrest Limited Capital。同社はケニアとウガンダにオフィスやチームを持つ。

Samasourceは自立輸送、eコマース、通信、メディアなどの分野において、Fortune 100の企業にAI向け学習データ生成と検証サービスを提供している。顧客には、Google、Continental、Walmart、Fordなどが含まれる。東アフリカにおいては最大のAIトレーニングデータ生成企業である。


【ケニア】タスカーで知られるケニアの最大手ビールメーカーKBLと最大手通信会社サファリコムが提携、ビール流通にIoTを導入(11/21)

ケニアの最大手ビールメーカーであるKenya Breweries Limited(KBL)と、最大手通信会社サファリコムが提携し、IoTを利用した新たなビールの販売方法を導入する。

全国の小売店や販売店にあるKBLの冷蔵設備を接続し、センサーを用いてデータを収集する。これによりメーカーから消費者までの流通を効率的にし、遅延や廃棄を減らして最適化することができる。既に2,000台以上の冷蔵設備が接続されている。

KBLはすでにディストリビューターと小売業者間の取引に、モバイルマネーM-pesaを通じたキャッシュレスを推進するためにサファリコムと提携している。

※1ケニアシリング=1.0円(モーニングスター、11/23)


【ウガンダ】ドローンサービス会社Flexdroneが医薬品のデリバリーについてウガンダ政府と交渉中、早くて3月からのサービス開始を見込む(11/22)

ウガンダ人とドイツ人が設立したドローンサービス会社Flexdroneが、ウガンダ政府との間で、ドローンを使った血液パッケージや医薬品、医療機器の公共ヘルスケア施設への運搬に関して交渉を行っているという。ガーナやルワンダでZiplineが行っているのと同種のサービスとなる。同社は政府との交渉がスムースにいけば、2020年3月には輸送を開始したいとしている。

ウガンダの公立病院は、しばしば血液、医薬品、注射器、ガーゼ、手袋などの必需品の不足に直面するが、それは、首都の交通渋滞や、地方の未舗装の道路といったあてにできない物流のためである。

Flexdroneはすでに情報通信技術省の承認を得ており、保健省の承認を待っている状況である。また、同社は、ウガンダの新興企業Sysimo Technologiesと提携し、オンデマンド配信サービス用のモバイルアプリを開発したという。1機5kgを運ぶことができるドローンの配備を計画しているが、需要の増加に応じてより大型のドローンを使用することも可能だという。


【南アフリカ】南アのオンライン旅行代理店Travelstartがバス予約のオンラインプラットフォームを立ち上げ(11/22)

南アフリカのオンライン旅行代理店Travelstartは、オンラインでバスを予約できる新しいプラットフォームbus.travelstart.co.zaを立ち上げた。同社はこれまで13年間にわたり航空券予約に特化したオンラインサイトを運営していた。

Greyhound、Eldo Coaches、Citiliner、Eagle Liner、Intercity Xpress、Intercapeなどの主要バス会社のバスチケットを一括検索し、予約と支払いができる。各種クレジットカード払いのほか、同国で約1,600店舗展開するスーパーマーケット大手Pick n Pay店舗での支払いも可能である。

南アフリカのバス旅行者にとって最も人気のあるルートは、ヨハネスブルグ・ダーバン間で、南部アフリカ地域で最も需要の高いルートはヨハネスブルグとジンバブエのハラレ間だという。


【ルワンダ】伊フードッテックSeed&Chipsがルワンダに食品イノベーションハブを設置する計画、アフリカ10カ国への展開を目指す(11/22)

イタリアのフードテック企業Seeds&Chipsが、5,000万ドルから1億ドル規模を投資してルワンダに食品イノベーション拠点を設置する計画を発表した。

拠点では、テクノロジー、食料生産、精密農業、および食品加工を対象とする。ルワンダ、ガーナ、ナイジェリア、エチオピア、モザンビーク、アンゴラ、モロッコ、南アフリカ、エジプトのアフリカ10カ国それぞれに食品イノベーションハブを設置することを目指しており、第一弾としてルワンダからスタートする。

世界銀行の報告によると、アフリカの食品市場は、2013年の3,130億ドルから2030年までには年間1兆ドル規模に達すると予測されている。


【エチオピア】中国アリババグループとエチオピアが、アリババが推進する世界eコマースeWTPの導入に関する覚書を締結(11/25)

中国アリババグループは、同社の推し進める電子貿易プラットフォームeWTPをエチオピアへの導入に関して覚書を締結した。アフリカにおいてはルワンダに次いで2番目の導入となる。

eWTPは、世界の国をつなぎ、中小企業を含めた企業の国家間貿易を可能にする電子商取引である。eWTPを使用する利点には、迅速な通関や物流サポート、関税の最小化などが含まれる。最初のeWTPハブは中国杭州市で創立され、その後はタイやマレーシア、ルワンダにも展開している。エチオピアは、中国との貿易のゲートウェイとして、またアフリカ内での越境eコマースとして活用する。


【ケニア】米テック企業Boloro GlobalがケニアのICTサービスBCK Kenyaと提携し、決済認証システムの販売を開始(11/25)

ニューヨーク拠点のテック企業Boloro Globalは、ケニアのICTサービスBCK Kenyaと提携して、デジタル決済認証システムをケニアで販売する。

ウェブやモバイル上でのキャッシュレス取引需要は伸びており、また、ハッキングやマルウエアの高度化により、ユーザー識別と信頼性を高める製品が求められているという。Boloro Globalの特許取得済み認証システムは、インターネットから離れて、携帯にテキストで送られる認証を用いて認証を行う。

ケニアにおける携帯決済は、主に電子商取引の成長により、2019年の1月から9月までで3,071億6,000万ケニアシリング(3,000億円)増加し、前年同時期の2兆9,300億ケニアシリング(2兆9,000万円)から3兆2,400億円(3兆2,000億円)へと過去3年で最高となる10.48%の伸びを見せた。

※1ケニアシリング=1.0円(モーニングスター、11/27)


【南アフリカ、ウガンダ、マラウイ】南ア太陽光発電デバイススタートアップのYellowが72万ドルを調達しウガンダとマラウイへ進出(11/25)

南アフリカのプリペイド式太陽光発電デバイススタートアップYellowが、南アフリカのプライベートエクイティと米国および南アフリカのエンジェル投資家からなるシンジケートから72万5,000ドルの資金を調達した。調達資金で家庭用太陽光発電割賦販売事業をウガンダとマラウイで展開する。

調達の直前には、スウェーデンのクラウドファンディングサイトTrineを通じて200万ユーロを得て、米クラウドファンディングサイトKickstarterを活用し、米国国際開発庁(USAID)からは助成金100万ドルを調達していた。同助成金は、デバイスの目標発行台数6万7,000台を達成した際に支払われるもので、現在までに4,000台を販売している。

同社はマラウイの目標販売数を200万台、ウガンダを700万台と見積もっている。マラウイではすでに7,500台を設置しており、ウガンダへは2020年1月までに進出する。

照明、スマートフォンの充電、ラジオがセットとなった機器の価格は150ドルで、返済期間は24カ月、返済利子は月2.5%から3%となっている。現在タンザニアから150個の拡張パックを出荷準備中で、これによりテレビへの電力供給も可能になる。


【ナイジェリア】ナイジェリアのEdTechスタートアップuLessonがTLcom Capital率いるシードラウンドで310万ドルを調達(11/26)

ナイジェリアのEdTechスタートアップuLessonが、シードラウンドでTLcom Capitalをリードとする投資家から310万ドルを調達した。

uLessonは2019年創業で、創業者のSim Shagaya氏はナイジェリアのeコマースKongaや広告ベンチャー企業E-motionの起業家として知られる。

人口が急速に増加するナイジェリアにおいて、生徒と教師の比率は70:1と言われており、そのギャップを埋めるべく、同社はアプリベースで中等教育向け自宅教育キットを展開する。前払いの年間受講料は70ドルで、スターターキットには、SDカード、Androidデバイスに接続するためのヘッドフォンが含まれる。アフリカにおけるAndroidの高い普及率を活用しながらデータストリーミングのコストを最小限に抑えるべく、SDカードと組み合わせ、レッスンの大半はオフラインで実行できる。現時点で数学、物理、化学、生物学をテーマとする動画を3,000本製作しているという。

現在は開発段階で、英語を話す西アフリカを対象として、2020年2月にはガーナ、シエラレオネ、ガンビアに進出を予定している。その後は東アフリカも視野に入れていると同社は述べた。


【南アフリカ】南アフリカスーパーマーケットチェーンCheckersがアプリで注文し1時間以内に配送するSixty60というサービスを先駆けて開始(11/26)

南アフリカの大手スーパーマーケットグループShoprite HoldingsのスーパーマーケットチェーンCheckersは、南アフリカ初となる1時間で食料品を配送するサービスを先駆けて開始する。成長するオンラインショッピング市場でのシェア獲得を狙う。

このサービスはSixty60という名称で、アプリ上のボタンをタッチするだけで、60秒で顧客は食料品や飲料を注文でき、わずか60分で配達する。Western Cape州とGauteng州の一部店舗の配達エリアですでに開始している。

Chekersは、競合のWoolworthsが優位に立つより高級で利益率の高いニッチ市場で競争するために、店舗をアップグレードし、高級で健康的なブランドや高級コンビニエンス食品を導入していた。

南アフリカのオンラインショッピングでは、アパレル、家庭用品、電子機器、電化製品、チケットの販売が主流を占める。食料品のオンラインショッピングはまだ初期段階にあり、WoolworthsとPick n Payのみがサービスを提供しているが、南アフリカの従来型の小売事業者はここ数年、小売のオ10ンライン化に対応するためテクノロジーや物流にますます資金を投入している。2019年の同国のオンライン小売売上高は140億ランド(1,000億円)を超え、小売総売上高の1.4%に達する見込みである。

※1ランド=7.3円(モーニングスター、11/27)


【セネガル、南アフリカ】セネガルの配送スタートアップYobante Expressが南アフリカへ進出(11/27)

セネガルの配送スタートアップYobante Expressが、アフリカ諸国への進出戦略の第一歩として、南アフリカへ進出した。

Yobante Expressは2018年11月に創業した。配送者と企業をマッチングするオンラインマーケットプレイスで、国内配送、海外配送およびラストワンマイル配送に対応している。発注者である企業がアプリで配送を注文すると、配送者は規定の小包に入れてトラッキングバーコードが記載された配送ラベルを貼付する。機械学習アルゴリズムにより最適ルートを導き出した上で、バイクやバス、トラックドライバーは中継地点まで配送し、これを繰り返すことで最終目的地まで配送する。受取人は4桁のPINコードを入力し受け取り確認を行う。これにより、既存の配送よりも2倍早く、コストは40%安くなるという。

すでにセネガル国内で、250カ所の中継ポイントと300人の配送者を配置し、eコマース大手Jumia含む90を超えるクライアントから、毎月8,000小包以上を預かり配送しているという。配送料と貴重品に対する追加保険料により、月におよそ5万ドルを売り上げている。

南アフリカでは、ChihwaとDeltaと提携する。中継地点として南アフリカ全土から小売店150店舗を中継地点として使用する。

ガーナとナイジェリアでの事業開始も準備中で、マリにも進出が決定している。ガーナでは23カ所、ナイジェリアではラゴスに168カ所の小売店をパイロットとして設定している。現在50万ドルの資金調達を行っており、2020年1月までにクローズを予定している。


【ガーナ】ガーナ中央銀行がデジタル通貨の発行を検討していることを明らかに(11/27)

ガーナ中央銀行は、デジタル通貨の発行を検討していると明らかにした。近くパイロットプロジェクトを開始し、ガーナセディのデジタル通貨の発行を検証する。

ガーナではモバイルマネーが普及しており、2018年の取引回数は、前年の9億8,200万回から14億回に増加している。


【ケニア】ケニア通信最大手サファリコムが郵政公社と提携して、MPostサービスを活用し郵便局の私書箱をeコマースに活用へ(11/28)

ケニア最大の通信会社サファリコムは、国営郵政公社Postal Corporation of Kenya(Posta)と提携し、デジタル私書箱サービスMPostの使用を開始する。500万人の顧客獲得を目指し、サファリコムが手掛けるeコマース事業Masokoのためのインフラ強化を行う。

今回の提携で、PostaとMPostは、携帯番号を媒介に物理的な私書箱をサファリコムユーザーに提供する。全国625の郵便局が加わり、従来の私書箱使用料の4分の1で貸し出す。利用者は郵便物が私書箱に届くとSMSを受け取り、最寄りの郵便局カウンターで受け取る。自宅のドアまでの配達を希望する場合には追加料金が必要。

同社は2017年にeコマースプラットフォームMasokoをローンチしたが、最大手Jumiaが市場を支配しており、シェアは予想より広がっていない。


【タンザニア】アフリカのeコマースJumiaが、カメルーンに続きタンザニアでeコマース事業を閉鎖(11/28)

「アフリカのアマゾン」と呼ばれるアフリカ最大のeコマース会社Jumia Technologiesは、ポートフォリオの見直しを行い、タンザニアでのeコマース事業を閉鎖したと発表した。クラシファイドポータル事業は継続する。11月18日にはカメルーンでのeコマース事業の停止も発表している。

Jumiaはアマゾンのような自社で在庫を抱えるeコマース事業と、アリババのようなクラシファイドポータルの両方を運営している。まだ黒字化しておらず、売上予測は直近の3四半期のうち2回にわたり未達となった。

2019年4月にニューヨーク証券取引所に上場後、同社の株価は下落を続けている。公開価格7は14.50ドルだったもの、11月27日の株価は6.31ドルまで下がった。今後はより収益性が高い国に経営資源を集中する。


以下、バックナンバーです。情報量が多いので、お正月休みにでもゆっくり読んでください。


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