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独立したばかりの僕へ

最近、独立した友人が「梅木さんのようなスタイルの、仕事についての話に興味がある」と言っていたので、会社員から独立して一歩を踏み出した人たちにとって、少しは参考になる話ができればと思い、この記事を書いた。

僕は、2011年11月に独立した。

2020年の11月には、独立10年目になった。

10年間、いろいろなことがあったけれど、多分来年も再来年も同じような感じだと思う。

「起業 10年 廃業率」でググると、様々なデータが出てくる。

生存確率は20%とも、6%程度とも言われる。

ただ、そんな統計は本当にどうでもいい。

独立したばかりの僕へ、言い換えると独立したばかりの人たちへ、独立10年後の僕から見たメッセージを、綴りたいと思う。

1.独立すると、3つの路線に分かれる


社員を雇い、急成長を目指す「スタートアップ企業」となるか。

社員を雇い、急成長を目指さないが、確実に利益を得る「中小企業」となるか。

社員を雇わず、一人で生計を立てるか。

人間のマネジメントが不得手で、かつそれをやりたいとも思わない僕は、最初から「一人で生計を立てる」路線を選んだ。

同年代の起業家たちのIPOが最近増えてきたけれど、10年前に「IPOを目指さない道」を僕は選んだ。

そして僕は、自らの生存戦略として、それが一番最適な路線だと考えた。

2020年現在「個人をエンパワーメントする」ことを掲げる企業も現れているし、10年前と比べると、会社という形態ではなく、個人として独立性を保つ働き方をすることは、珍しくなくなったと思う。

しかし、大抵の「一人で生計を立てる」路線を選んだ人は、ある罠にハマってしまう。

2.「コンサルティング」は互いに都合の良い関係、あなたの資産にはならない


独立した個人が真っ先に手掛けやすい仕事は、企業のコンサルティングだ。

独立前から、関係値のあった知り合いが、あなたの頭脳を少し貸して欲しいと、ご祝儀がてら依頼してくれる場合もあるだろう。

僕自身、TheStartupを独立前から運営していたので、ありがたいことに何社かオファーをいただき、独立時から複数のコンサルを受け持った。

成果のあったコンサルもあれば、正直あまり価値を出せていないと感じたコンサルもあった。

本質的には、コンサルティングとは「顧客企業のビジネスを手助けする」ことであり、「私はトヨタのコンサルをして、売上を2倍にしました」と言っても、本人は悦に浸っているかもしれないが、ビジネスオーナーは違う。

独立したばかりの個人にとって、コンサルティング業はラーメン代稼ぎに過ぎず、自らの実績として主張するには、厳しいものがある。

そのことを独立当初から薄々感じていたものの、決定的にこれはまずいなと思ったのが、東京カレンダーWEBのプロデューサー業を不本意な形で退陣させられたことだ。

結局は、クライアントの事業資産の積み上げに貢献することを、比較的高額なフィーで請負っただけである。

クライアントからすると、金で時間を買う。それだけのことだ。

コンサルティングは雇用でもない「契約」なので、雇用関係より、整理は楽だ。契約を更新しなければ良い。

コンサルタントとしても、クライアントとしても「都合の良いところ取り」ができるのである。

あなたがコンサルタントとして価値を提供し、その結果、クライアントのビジネスがヒットしても、それはビジネスオーナーの資産であり、あなたに資産は残らない。

「資産価値とは何か」

独立して仕事をする人々は、この現実から目を逸らすべきではない。

3.「資産」を作ろう


独立したあなたの仕事が、コンサルティング一辺倒だった場合。

最初は引く手数多だったものの、案件数が減ってきたらどうなるのか。

営業してコンサルティング契約をまた受注していくのだろうか。

苦労して勝ち取ったコンサルティングビジネスは、あなたの時間をお金に変える以外の、何者でもない。そこで得た知見や人脈が資産になると思い込みたい人もいるだろうが、それは幻想に過ぎない。都合良く、そう思い込みたいだけだ。

コンサルティングだけで生計を立てることは危険だ。

独立したばかりの僕は、そのことには気付いていた。

だからこそ、オンラインサロンや、noteにいち早く取り組み、サブスクサービスとして成立させ、現状はその仕事だけで生きていけるよう整えた。

厳密には、2017年からはクライアントワークはほぼゼロとなった。

独立直後の2012年は売上のほぼ100%だったコンサルティングから、自社事業100%に転換したのだ。

しかも、コンサルティングもしていた時代と比べて、時間が有り余る。その結果として、暇の研究などという、いつ書籍化するかも全く不明な本的なものを、自称天才編集者に書かされてしまう笑

コンテンツビジネスはレバレッジが効くので、購読者が増えれば、同じ労力でも利益率がグッと上がっていく。

売上の増加にさほど興味がなかったこともあり、一定の売上をキープしつつ、自由な時間を確保することに優先順位を置いた。

4.独立後に最も後悔したこと


もっと忙しく働けば良かったとか、もっとコンサルティングの仕事を増やせば良かったとか、10年間を振り返ると、そんなことは全く思わない。

今思い出せる最大の後悔としては、YouTubeへの参入が遅れたことだ。

気にはなっていたが、フォーマットを見つけ出せず、見送ってしまっていた。

僕のような個人として生きる仕事は、SNSの波には出遅れてはいけない。

SNSの波とは、4年に1度くらいしかこないものであり、僕はYouTubeの波には出遅れつつも、今必死にその波を掴もうともがいている。

2012年のオンラインサロン、2016年のnote、これは僕はほぼ最速で参入した。

2020年にYouTubeに参入したが、これは本来2018年くらいに参入すべきだった。

そう捉えると、次は音声であり、podcastに早く参入しなくてはならない。YouTubeもままならないので、podcastを見送っているのが今の現状であり、2025年から振り返ると、podcast対応の遅れを後悔している可能性は高い。

以上です。

独立したばかりの僕へ、ひとこと言うならば

「コンサルティングではなく、自分の資産構築に時間を投下しろ!」

となる。

そして、この言葉は、多くの独立して働く人にも当てはまるだろう。

厳しい言い方をすると、コンサルティングとは、他人が資産を築くために時間を差し出す代わりに、ラーメン代を得ているようなものである。

クライアント側は、もちろんそのことを知った上で、あなたにコンサルティングを依頼している。

あなたの時間を、他人の資産構築のために使いたいですか?自分の資産構築のために使いたいですか?

言い換えると、他人がお客さんを増やすために時間を使いたいのか?自分のお客さんを増やすために時間を使いたいか。

「自分の資産」が何になるか、見つけるのは容易ではない。

だからといって、コンサルティングに逃げていたのでは、一生「他人のお客さんを増やすことに時間を使う」人にしかなれません。


すごい昔の話ですが、気になる方はおまけでどうぞ。


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