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「笑いは生活の質を向上させる」という研究を見て私が思うこと

8月3日の読売新聞ネット版に、「がん経験者が『お笑い』見ると、生活の質アップ…近畿大と吉本興業チーム『笑うことはタダ』」という記事が出ていたので、紹介します。
 
この記事は、さまざまながんを経験した人が「お笑い」を見ると、生活の質の向上につながる研究結果が出た、というもの。詳細については記事をご覧ください。短いですよ。


 日本笑い学会とは…


このような結果については、どの研究についてもおおむね賛同します。笑いで病気を改善させる、みたいなことは以前から世間で言われていますし、それを裏付けるような結果のひとつが出た、ということなのでしょう。これはこれでどんどん研究が深まってほしい。
 
ただ、この記事を読んで、ちょっとモヤモヤした気分になりました。それは、「日本笑い学会理事で福島県立医大の大平哲也教授」の談話が掲載されていたことです。ちなみにこの方は、今回の研究の担当者とは別の方だと思います。
 
もちろん、私は大平教授とは面識もありませんし、どんなことをされているのかも知りません。ですので、この方についてどうこう言いたいのではない。この方を批判したいわけでもありません。
 
ただ、日本笑い学会と聞くと、どんな芸人が面白いのかとか、たくさんの芸人があふれている社会とはどういうものかとか、上方の漫才史はどうだったのかとか、そういった研究をされるのかと思いきや、学会には医学系というか生理学系というか、人間が笑うメカニズムとかを研究されている方もいるようです。

「笑い」研究≠「芸人」研究!?


 実際、この種の理系の方が日本笑い学会では強いんだなという印象です。どこでそう思ったかというと、私が2022年に東京都立大学オープンユニバーシティ「『笑い』を考える──なぜ笑うのか・何が笑えるのか」を受講したときです。
 
この講座については改めて言及したいと思うのですが、この講座では芸人論(ダウンタウンの笑いについて、とか)みたいなのは皆無で、「笑いと脳」とか「笑いの起源と進化──ヒトもチンパンジーも笑う」というテーマが見られた。
 
大学の研究だからそういうものなのかもしれませんが、笑いのメカニズムを解明する、笑いで体を改善する、みたいなことを突き詰めていくと、「面白ければ何でもいいんだ」「笑えるなら芸人も素人もみんな一緒だ」みたいなことにならないかな~と考えます。

吉本興業が好きな大学とのコラボ


まあ、私はただたんに「ダウンタウンはなぜ面白いのか」を解明したいと思う人間ですので、「笑いで病気を改善させることができるんだ」と言われても、まあそれはそうだろうなとしか言えません。
 
私としては、もっと深い芸人論が増えてほしいと思うばかりです。そうでないと、芸人と素人の違いが不明確になっていくばかりでしょうし、なんで世の中にこんなにも芸人がいるのか、その存在意義がわからなくなってしまうからです。

しかし、吉本興業も大学とのコラボレーション企画が好きですね。東大との笑いについての共同研究もあった。これは先ごろ書籍化された。

 これも笑いの社会貢献の一環でしょうが、芸人ってそんな社会貢献ができる存在なんでしょうかね…。

ちなみに、先に挙げた大学の公開講座では、ありとあらゆる視点から笑いが研究されています。なんだか難しいものが多いです。ではでは、また次回。(梅)



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