梅星えあ

キャバクラ屋さんと破滅ロマンス

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最近の記事

音楽始めたこと、後悔してるのでやめます

一年が終わる。 あまりにも早いです。 2023年は【後悔】をした年。 まず「あの時、ああすればよかった」って思うことがない。 最早何かの病気では?レベルの二日酔いで、飲まなきゃよかった〜とは思う。さすがに。 それでも、まあ終わったことだし金なるし後悔しても仕方ないな〜の方が強い。 シングル『鬼』『美醜乱☆レストラン』『ラベンダーハッピーウェデング』『焼肉』『らぶ♡らぶ』リリース。 8月『君と刺激』10月『君のラブカルチャー』12月『君が薬』企画ライブ。 なんかこう書くと

    • 仲良しな友達集めて仲良しなライブするくらいなら鳥貴族に集まって酒を飲め

      10月26日に連続自主企画ライブ中盤。 『君のラブカルチャー』3マンを開催する。 もう明後日。 いろいろ考えてしまって、何回眠剤ぶち込んでもすぐ起きてしまう。 12時間睡眠がベストのロングスリーパーにとって非常にしんどい。 出演してくれるのは二組のバンド。 毎晩揺れてスカート 東京恋慕 最初に毎スカのギターボーカル凛ちゃんに「連続企画の真ん中、10月に呼びたい」て話して、あと1バンド少し迷ってたけど「東京恋慕がいい!」て二人ともなって即オファーして決定しました。 毎スカ

      • 日記『セックスをしたくないなら男の家に行くなという前に』

        生きていれば平等に朝がむかえにくる。 平等な朝なのに、そこには楽しみや嬉しさ、憂鬱や絶望などを含めるので違った朝を迎える。 某日朝、私に刺しかけられた男は恐怖を含めたと思う。 私の倍以上、身体が大きい彼の腹の上に乗り、キッチンにあった包丁を首に突き当てた。 “サイゼリヤデート”や“奢る奢られる論争”に続いて、度々、“セックスしたくないなら女は男の家に行くべきではない”といった議題があがる。 私はこの全てについて特に強い意見はない。 自分が過ごす日常には関係のない話だから。

        • 日記『隣の部屋の男』

          外の世界がとっくに朝に飲み込まれた。 午前七時に隣の部屋のアラームが鳴る。 何か作業をしていれば大して気にならないボリュームだけど、私はその時間、必死に眠りにつこうとしていた。 夏を思い出にしていく秋口。 日中は暖かく、夜は冷える。 人目をはばからずスキップをして帰った深夜の住宅街は私の味方だったのに、行きと帰りでは気温差が出ることを見越した衣に身を包んだ正しい生活の人たちに、その浮かれた足跡は消されてしまっただろう。 今日泣いてた仲が良くも悪くもない女の子のこと。 次の

        音楽始めたこと、後悔してるのでやめます

          日記『歯列矯正の先生』

          新店舗の銀座医院は駅近のビルの12階にある。 今年できたばかりで他のフロアは工事中だ。 「めちゃくちゃいいとこですね。」 座った場所から見える景色に驚くと、 担当の先生ははにかみながら自分が医院長になったことを曖昧に伝えてきた。 私は嬉しくなった。 歯列矯正をし始めて約5年。 東京から板橋、六本木、新橋など担当の先生は何店舗にも移った。 その度にめんどくさいなと思いながらも新しい場所へ毎月通っていた。 通わない月があると結構ちゃんと怒られた。 怒った後に「やりたくないわけ

          日記『歯列矯正の先生』

          携帯小説『私の赤ちゃんへ』

          私の赤ちゃんへ。 世界で一番かわいい子。 料理はあまりやらないけれど まあまあ美味しいご飯を作れます。 おそろいの洋服を着たいです。 趣味が合えば良いな。 性別はあなたがいつか決めてください。 決めなくてもいいです。 優しくなってほしいと願うのは、 正解のようで愚かだと思ってしまいます。 優しい人ほど傷つくから、 賢さも強さも相応に身につけてほしいです。 教えられるものではないので私は願うだけです。 愛します。 とってもとっても愛します。 きっと、今までのは愛じゃなか

          携帯小説『私の赤ちゃんへ』

          携帯小説『コンプレックス』

          トイレの入り口に位置する手洗い場の鏡の前に立ち、歯を磨いていた。歯ブラシの毛先を歯の表面に当て優しく縦に横に小刻みに動かす。 ごめんね、とあまり話したことのない先輩が化粧をしにやってきたので身体を横にずらしてスペースを空けた。口は泡で塞がっているので会釈で返事をする。念入りに歯を磨く私を鏡越しに見た先輩と目が合った。 「歯並び綺麗でいいなあ」 生まれて初めて言われたその言葉に動揺した。 大人の歯に生え変わるときに曲がって生えてきた前歯にずっと苦しんできた。朝から夜までバイトし

          携帯小説『コンプレックス』

          携帯小説『ギフト』

          熱っているのに時々鳥肌が立つような寒気が背中を走る。雛は四十度近い熱にうなされていた。どこが痛いのかも分からない身体の痛みと頭痛。これは流行り病ではないかと思うには十分な症状だった。 一日の疲れを癒すベッドが病床に変わると途端に心細くなる。しかし自分は今、明らかな病人で療養することが唯一できること。到底、いつも通り仕事にはいけない。自他ともに認める外の世界と隔離されるべき存在なのだと思うと心細さは一変して心地の良さになった。 翌日になると微熱は残るがだいぶ回復された。昨

          携帯小説『ギフト』

          携帯小説『Blue Berry』

          古着屋やブランドショップ、カフェが並ぶ道を抜けると住宅街が見える。この先には何もなさそうだ、と引き返していくモッズコートとMA1を着た二人の若者たちとすれ違い、数メートル進むとベビーブルーの扉の店にたどり着く。苺花はミトンの手袋を外して首にぶら下げた鍵を慣れた手つきで鍵穴に差し込み回すと店内に入った。 扉と同じベビーブルーに彩られた壁と床の狭い店内には一点ものの洋服や靴が陳列している。鎖骨まで伸びる赤い髪を大ぶりなピアスが揺れる耳にかけるとポケットから出したジッポを擦った。

          携帯小説『Blue Berry』

          携帯小説『みーちゃん』

          住宅街に構える茶色い屋根の一軒家。深夜二時の蒸し暑いリビングで美智子は受話器を片手に愚痴を漏らしていた。 「誠さんがね、帰ってこないの。早くて二十三時。ありえないよね。ほぼ毎日だよ。 次の日が休みだと朝まで帰ってこないの。浮気してるよね。絶対。ね?」 肯定も否定もしてほしいような気持ちで聞く。曖昧な返答があったのか納得いかない様子で話を続ける。 「同棲してた時の方が幸せだった。うん、二十代の時の。そうそう、あの狭いマンション。」記憶を蘇らせながら笑った。 「アイスクリーム屋

          携帯小説『みーちゃん』

          携帯小説『リリィ・シュシュのいちぶ』

           日中は蒸し暑さが続くがもうすぐ夏の終わりが近づいている。未だにオレンジに染まりきらない夕方の時間帯はぬるく過ごしやすくなっていた。公園では下校後の小学生たちが乾いた土の上にランドセルを放り投げ、解放された身体で走り回っている。 パスを回した相手のコントロールが悪いのか自分の足が遅いのか、とにかくサッカーボールは蒼太の目の前を勢いよく通り過ぎ白と黒を混ぜながら回転していく。勢いを失っていくボールはベンチに座り本を読むセーラー服を着た人物の黒いローファーのつま先に当たり停止した

          携帯小説『リリィ・シュシュのいちぶ』

          携帯小説『人魚姫』

          ブロンドの柔らかい髪は背中の真ん中あたりまで伸び、耳たぶには真珠のイヤリングが揺れていた。腰から生える力強い尾鰭には藍色よりも濃く緑がかかった鱗が幾つも重なり合っており、リリーの気まぐれで妖艶に動かされるとグリッターが混じる水は小さな気泡を作り出しながら波を打った。 成人男性二人でも簡単に包み込む巨大な金魚鉢がリリーの部屋。床には宝石が敷き詰められており、時折それを口に含んでは吐き出す遊びをしていた。 金魚鉢のガラス越しに見える重厚な扉が開くのが見えるとリリーは金魚鉢の外に身

          携帯小説『人魚姫』

          携帯小説『給食着』

          燃えるように赤くなった空に目もくれず未羽は運動会よりも体育の時よりも速く走っていた。吐いて出ていく白い息をまた肺に吸い込むと喉をヒリヒリと痛くする。未だ柔らかに降り積もる雪を新しい足跡で潰していく。明日は土曜日で学校は休みになる。今週は未羽の班が給食当番で、休み中に家で給食着を洗濯をして次の当番の班の子たちに渡さなければならない。未羽はその給食着を学校に忘れてきてしまった。 気がついたのは家に着いてランドセルを放り投げてからだった。寒さで骨まで痛くなった手をストーブで温めてい

          携帯小説『給食着』

          携帯小説『果実を食べた天使の世界で』終

          昨日から停泊している海辺の旅館は洋館ともいえそうな趣きのある建物で廊下を歩くたびにキシッと木の音がした。ここは高層ビルが立ち並ぶ都会とは違った静けさを持っている。その一室にて海に溶けていくオレンジ色を眺めていた。一人、感慨深くなっているところをまたも部屋のノックにて打ち切られる。 「ジュース、厨房にありました」 レトロな瓶のジュースを抱えた彼を迎え入れる。 それを私がいた窓際のテーブルの上に並べて「どれにする?」と聞いてきたのでオレンジジュースを指差すと部屋に置いてあった簡素

          携帯小説『果実を食べた天使の世界で』終

          携帯小説『果実を食べた天使の世界で』11

          電気屋に特設されているミニシアタールームは映画館さながらの臨場感を演出している。世界にたった二人になっても趣味は変わらず、数あるジャンルの中から地球が滅亡の危機にさらされる洋画のSFを選んだ。佐藤修二もまた天変地異によって人類の存続が危ぶまれるジャンルを好んでいた。彼とは映画だけではなく服も音楽の趣味も似ている部分がある。これも一緒にいる居心地の良さを感じる理由にもなるのだろうか。長いエンドロールがあけると、凝った身体をソファーで伸ばす。佐藤修二はiPhoneの電源を入れて画

          携帯小説『果実を食べた天使の世界で』11

          携帯小説『果実を食べた天使の世界で』10

          午前七時。冷え切ったデパートの紳士服売り場でハイブランドのセットアップに身を包んだ佐藤修二を褒めちぎっていた。 「似合う。君のための洋服だ」 百八十センチを超えた背の高さに加えて整った顔は、緑ががったブルーのジャケットとパンツをさらりと着こなした。言い過ぎですよと満更でもない様子ではにかむ彼の細くなる目を見ると私の心が満足になるのが分かった。ヒールの高いオープントゥパンプスで歩き出すと同時に足首まで落ちる黒いドレスの裾が揺れる。めかし込んだ二人のつま先はとある宝石店に向かって

          携帯小説『果実を食べた天使の世界で』10