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スプートニクの恋人 村上春樹 講談社

オススメ度:⭐️⭐️⭐️   ※4星評価

3星評価の理由:宇宙に放り出されたライカ犬の身になるといたたまれない。きっと宇宙への知的好奇心はなかっただろうな。

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ストーリー

22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋だった。それは行く手のかたちあるものを残らずなぎ倒し、片端から空に巻き上げ、理不尽に引きちぎり、完膚なきまでに叩きつぶした。

恋の物語 僕の愛する人すみれは17歳年上で結婚している同性に初めて恋心を抱き、初めて性欲を感じる。

しかし、その恋はやがてあちら側へ彼女を運び去ってしまう。ギリシャの地で姿を消した彼女を求めて、僕は向かう。

あちら側とこちら側。一体彼女はどこに行ってしまったのだろうか。

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こんな方におすすめ

孤独感、寂寥感、空虚感を唐突に感じたときにこの物語は読まれることを待っています。そのままの気持ちを大切にしたいなら手にとってみてください。

読むスポットについて

一人で緑の深いベンチや、最終電車を待つホーム。放課後の図書館。うらびれた路地裏のカフェ。

知り合いの多い場所は極力避けて、孤独らしさがある場所か、雑踏の中の孤独を味わえる場所。

※出来れば時折、空を眺められる場所。

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作品

ノーベル文学賞候補。直木賞・芥川賞を与え損ねた、と言わしめる村上春樹。

この作品は他の村上作品と比較すると、世間の評価は見劣りしてしまう。しかし、この作品には当時の村上さんの、ある種の集大成に近いものがあると感じる。

比喩。あちら側とこちら側。喪失と孤独。

なにより文章が素敵だ。

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赤線箇所

わたしたちがもうたっぷり知っていると思っている物事の裏には、わたしたちが知らないことが同じくらいたくさん潜んでいるのだ。 理解というものは、つねに誤解の総体に過ぎない。

この作品では、冒頭の一文(上記に引用)とこの文章を取り上げなくてはならないと思う。でも、あまりに取り上げられすぎているので詳細は割愛します(°▽°)

「性欲というのは理解するものじゃない」とぼくはいつもの穏当な意見を述べた。「それはただそこにあるものなんだ」 そう言うと、すみれはなにか珍しい動力で作動する機械でも見るみたいに、しばらくぼくの顔を検分していた。それから興味を失ったように天井を見上げた。話はそこで終わった。たぶんぼくとそんなことを話してもしかたないと思ったのだろう。    P14

この文体に鳥肌が立つ。恍惚とする。

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最後に一言 本音

実は個人的にストーリーはそれほど入り込んでません。キャラクターにも共感をしてはいません。村上春樹作品のほとんどに!

(嫌いではありません(゚∀゚))

だけど、だけど、僕は村上さんの言葉が好きだ。とてつもなく大好きだ。

だから映画化とかで観たいとは思わない。(ごめんなさい🙇‍♀️。誤解のないように補足すると、別の作品として捉えています。)

僕は村上さんの言葉を読みたい!溺れて息苦しいぐらい悶えていたい!

はじめて読んだとき、衝撃だった。ああ、これが小説家の書く言葉かってため息がでた。

だからいまも、読む本に困ると村上作品を手に取り、適当に開いたページを読む。そしていつも、興奮する。

なので、作品の伏線とかなにを意味してるのかってことに僕はうといです。

ただただ村上さんの言葉が好きです!LOVE×100です。

生まれ変わるなら、村上さんの言葉になりたい❗️

ちょっと興奮しすぎました。失礼しました(*´∇`*)

ちなみに村上作品「1Q84」を読んだとき、膝から砕けました。ああ、まだまだ知らない村上言葉があったんだと。










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