インダストリー・ワンが那須塩原市立黒磯中学校でSTEAM教育授業を行いました
みなさま、こんにちは。株式会社インダストリー・ワンでDesign事業部長をしている梅澤と申します。先日、那須塩原市教育委員会の方々とのご縁により、企業や地域との関わりを積極的に行っている那須塩原市立黒磯中学校にて授業を行いました。今回は、そのSTEAM教育授業の内容をご紹介したいと思います。
STEAM教育とは
インダストリー・ワンのDesign事業部は、STEAM教育における「A:アート」に着目し、これまでも複数の大学や団体、企業の方々とのワークショップを行ってきました。
芝浦工業大学デザイン工学部
一般社団法人ナスコンバレー協議会
株式会社ホームサーブ
STEAM教育のうち、「アート」だけは定性的、いわば「数えられない」領域です。その数えられない領域をどう教えていくかを重要視しています。
というのも昨今、コンサル事業を営む中で痛感しているのが、顧客やエンドユーザーのニーズ、サービスやテクノロジーの多様化です。これにより「数えられる」サイエンスや「形式化できる」フォーマットに則った手法だけでは、解決できない問題がたくさんあると考えられます。
我々インダストリー・ワンのコンサル事業は、サイエンス・アート・デザイン・テクノロジーを掛け合わせ、統合的なアプローチで社会課題を解決することを強みとしています。STEAM教育の「アート」のアプローチは我々Design事業部が担うコンサル手法の1つであり、企業、行政、教育機関向けに、幅広くご支援させていただいております。
自身の"気づき"をスケッチし、理想の体験に落とし込む
インダストリー・ワンのSTEAM教育授業では、主観を大切にします。「自分自身が何を思ったのか」「何に気づいたのか」「どうしたいのか」という、自分自身に問いかけるアプローチを導入しています。
今回は、黒磯中学校の生徒さんが普段の日常の景色の中で「違和感」を感じるシーンを事前に各自のタブレットで撮影してきてもらい、それを他人に伝わるようスケッチしてもらいました。
更にそこから、「どうしたらその違和感を払拭できるのか?」「理想の体験は何なのか」「それを実現するには何が必要か」と段階的に記述してもらいます。
自身の"気づき"を他人に説明し、共感を得る
次に、自身の"気づき"を他人に説明し、共感を得ます。ここで生徒さんにとって難しいのは、他人に伝わるように自身の言葉を使い分けることです。また、説明した途端、自分の気づきが他人に伝わらないことに"気づいた"り、他人の"気づき"に感動したりします。
このように、自身の内在する気持ちを「絵」にすることで多くの"気づき"をを得られ、自身の考えや思考をアップデートできます。
このような思考プロセスを、インダストリー・ワンのデザイナーは日々実践しています。顧客の構想や企画をすぐに目に見える形にし、複数のステークホルダーを跨いだ共通認識を素早く醸成します。また、最終成果物を最初から形にしてしまうことで、早い段階で「失敗」に気づくことができます。
私たちは、デザイン思考の本質とは「早めに失敗を繰り返すこと」であり、それは「目に見える形にすること」で実現できる、と考えています。このような思考と行動をSTEAM教育の「A:アート」に応用しています。
"理想の体験"を具現化する
"理想の体験"をスケッチした後には、「その体験がいつ行われることなのか」「誰が登場し、誰が嬉しいのか」「どんな道具を活用するのか」「ユーザーインターフェイス(UI)はどんなイメージなのか」といったように、「体験」という漠然としたコトを具現化していきます。
また、具現化した後にはそれをストーリーテリングすることで他人に伝わるようにまとめます。生徒はとにかく手を動かし、誰がどんな感情をいだく体験なのか、そこにどんな価値があるのか、UIはどう流れていくのかを描いていました。黒磯中学の皆さんはとても絵が上手でした!
プレゼンテーション
体験の具現化、ストーリーテリングがまとまったら、いよいよプレゼンテーションです。
それぞれの生徒が考えた登場人物、登場人物の感情、時間の流れ、スマホUIの操作の流れを、とても上手に、楽しく説明してくれました。
あるグループは、通学や通勤の渋滞を回避するために、街に地下路を作り、地上と地下の混雑状況を可視化し、渋滞を避けるルートを選んだ場合にはポイントを付与するサービスをプレゼンしてくれました。通学路の車の混雑や視界の悪い交差点、障害物のある歩道に違和感を感じ、「安全に歩ける通学路」という理想の体験から導かれた素晴らしいアイデアだと思います。
また、別のグループでは、構内の段数の多い階段、教科書など準備する物の多さ、忙しそうな先生といった学校の風景に違和感を感じ、授業ごとに必要な道具を持って来てくれる学校内のお手伝いさんを派遣するサービスを考えてくれました。一見現実性がないと思われがちなこういったアイデアですが、実は我々が使っているUberなどのサービスは、デジタルと人力が融合したものであり、そういったものに繋がる良いアイデアであると感じています。
このようにSTEAM教育では、一見、突っ込み所があるアイデアでもそれの良い部分に着目し、それについて議論し広げることも1つの視点としています。
STEAM教育授業を終えて
今回、那須塩原市教育委員会と黒磯中学校の方々のご尽力により、STEAM教育の授業を行うことができました。インダストリー・ワンでは、アイディエーション、業務フロー可視化、デジタルプロダクト開発要件定義など、様々な目的を対象としたワークショップを提供しています。
このような私たちのノウハウを、将来を担う子ども達に提供できることはとてもありがたいことだと感じています。また、今回のような創造力を働かせた教育の取り組みが、子ども達にとって必要だと感じています。
私自身、小学生や高校生へ「デザイン」の授業を行うことがありますが、今回のワークショップのような「デザイン」の教育を小中高で取り入れている事例はまだ少ないと思います。ご興味のある自治体、教育関係の方々には是非ご連絡をいただければと思います。
最後に、約25年ぶりに食べた給食、とても美味しかったです!
そして、教室の後ろに貼られた「どんな当たり前なことでも本気でできる中学生」「愛があふれる行動」。まさにこの言葉を体現されている生徒さんを見て、こちらが元気をもらいました。
那須塩原市教育委員会の方々、黒磯中学校の皆さん、今回は本当にありがとうございました。
「インダストリー・ワンって、どんな会社?」と気になった方へ
インダストリー・ワンは2021年6月に設立された会社です。産業全体におけるDXの加速化、DXによる企業・産業の変革に貢献することをめざしています。
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Contact | インダストリー・ワン (industry-one.com)
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