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ビブリオバトル〜ある約束〜

2023年度、学年で様々な役職を経験させていただきました。入学後すぐのオリエンテーション旅行、校外学習、学年集会の司会…。
勉強になることばかりで、密度の濃い一年でした。

中でも、今年1番の収穫だと思っていることがあります。

「ビブリオバトル」です。

ご存知でしょうか?
自分のお気に入りの一冊の本を他の人に薦めるバトルです。一番多くの人が読みたくなった本が、チャンプ本として選ばれるのが、ビブリオバトル。

これを実現できたことが、私にとってとても大きな出来事でした。

タイトルにあるように、ビブリオバトルの実現には、私には「ある約束」がかかっていました。

ある約束。2つあります。

1 中学時代の司書さんと…

私が教員を志したのは、中学時代。
進路や恋や人間関係…悩みのつきなかった中学で、私の支えになってくれたのが本でした。
図書室の面白さに気づいて、学級委員をやめて図書委員会に入り、図書室に入り浸る、本の虫になりました。

いつも話を聞いてくれたのは、司書さんでした。

近所に住んでいて、本が大好きで、大人で。
泣いても笑っても受け止めてくれて、図書室に行くといつも笑顔で迎えてくれる。
卒業後も、司書さんに会うために中学に行ったくらいです。

司書さんには、将来の話をたくさん聞いてもらいました。

学校の先生になりたい!
大嫌いだった中学の先生みたいには絶対ならないんだ!
こんな先生になりたいんだ!

いつもにこにこ、聞いてくれました。
そんな時、静かにおっしゃったんです。

「あなたみたいに、本が好きな子、減ってるのよね。本を読む意味が分からない子もいるのよ。私は司書だから、図書室で授業してくださいとか、オリエンテーションやらせてくださいとか、言えないの。何の力もないのよ。」

確かに、分厚い本を読んでいたら、目をまんまるにする子がたくさんいました。

そっか。残念だなー。

そう思う私に、言ってくれたんです。

「あなたなら、本の魅力を伝えられるでしょう? 私にはできないけど、あなたならできるはず。少し重いかもしれないけれど、あなたに託すわ。」

そう言って、少しずつ、司書のお仕事を教えてもらいました。
読書普及活動として、他校や地域の図書館が行っていることを教えてくれるようになりました。

ビブリオバトルについても、司書さんが教えてくれました。
私も頑張るわって、ビブリオバトルを国語の先生方にプレゼンして、実現まで漕ぎつけてくれました。授業でビブリオバトルやるって決まった時、本当に嬉しかった😊

そんな経験があったから、大学で司書教諭の免許も取りました。
授業では常に、その言葉が頭にありました。

今年度、ビブリオバトルをやった後、
「本、読みたくなった!」
「あの本買ったよー!」
「読書って、楽しいね!」
という声が聞こえてきました。

ようやく今年、司書さんとの約束をまず一歩、果たせたかなと思えたのです。

2  T先生と…

約束…と言うと、大袈裟かもしれません。
ただ私にとっては、約束でした。

勤務校では、初年度から図書委員会の顧問を務めました。司書教諭を持っていましたし、中学時代図書委員会に所属して三役をやっていたので、わくわくする仕事でした。

本校の図書館には2名の先生がいらっしゃいました。お二人とも、とても素敵で本に明るい方です。仕事を教わるのはもちろんですが、本の話やこれからの読書活動について、たくさんお話ししました。

今回のお話は、そのうちT先生という方とのことです。

1年目の私を明るく受け入れて、色んなことを教えてくれた先生は、授業で図書館を利用することをとても喜んでくださいました。
授業で利用させてもらった時、授業プリントをお渡ししたらとても喜んで、丁寧にファイリングしてくださったことが、忘れられません。
取り組みを絶賛してくださって、恥ずかしくなったくらいです。

図書館を利用した授業についてお話をする中で、よく言われていたのが、「ビブリオバトルをやりたい、やってほしい」でした。

素敵な本の世界を知ってほしい。
本を手に取るきっかけにしてほしい。
図書館をもっと多くの人に利用してもらいたい。

たくさんの想いがあったのだと思います。
私もやりたかったので、ぜひ一緒にやりましょう!と言っていました。
いつ頃ならできそうだ、こんな風にやるのはどうか…と話していました。

でも、叶えられなかった。

体調を崩されて休職され、そのまま、2度と会えませんでした。

まだたくさん、授業の相談したり、愚痴を聞いてもらったりしたかったのに。
ビブリオバトル、一緒に実現させたかったのに。

だから、どうしてもこの学校で、一緒に描いたビブリオバトルを実現させたかった。

ビブリオバトルは、読書の面白さに気づいてもらうために絶対有効だ、という思いはもともと持っていました。今回は、私が学年の道徳担当で、冬休みに読書をしてほしいと言う話が学年から出ていたことを踏まえて、実現に至りました。

学年団の先生方が、ビブリオバトルや読書普及に理解があり、一緒に作ってくださったおかげで実現できたと思います。
さらに、図書館の先生やビブリオバトルを実践されている様々な学校の資料のおかげで、作り上げることができました。
生徒が面白がってくれたことも、本当によかった。

ただ、この企画を提案した時、根底には、2つの約束を果たしたいという、私のエゴもあったのです。誰にも言っていませんが…。

多くの人を巻き込んでいるので、こんなこと、大声では言えません。

でも、心の中でちょっとだけ、「実現したよ」と伝えたい。
少しだけ、知っててほしい。

「この企画を立案したのは、2つの出会いのおかげ」
「本の世界の素晴らしさを伝えようとした人が、私以外にもいる」

ということを。

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