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世界ふしぎ発見!が育んだ好奇心

 38年も続いたテレビ番組「日立 世界ふしぎ発見!」が2024年3月末で終了するらしい。
 そんな衝撃的なニュースをつい先日、知った。

 私は小さい頃から世界ふしぎ発見のファンだ。父がこの番組を好きで、小学校に上がる前くらいから父と一緒によく観ていた。番組の放送開始が1986年4月なので、1985年生まれの私にとっては一緒に育ったようなものだ。

 エジプトのピラミッドやアンデスの山奥など、番組タイトルのとおり、毎回世界のさまざまな場所が取り上げられており、幼い私は毎回ワクワクしながら楽しんで観ていた。
 放送途中に流れる日立のCMの「この木何の木」の歌を何度もCMに合わせて歌ったのもいい思い出だ。

 小学生の頃は番組に出演しているミステリーハンターになりたいとひそかに思っていた。
 世界のあちこちをレポートするミステリーハンターは私の憧れだった。
 自分の目で世界のいろんな場所を見てみたい。テレビで観ていてもワクワクするのに、実際に自分の目で世界遺産を見たらどんなに感動するだろう。
 そんな思いからミステリーハンターになりたいと思っていたけれど、乗り物酔いする上に環境が変わると体調を崩しがちという、ミステリーハンターにとっては致命的に不向きな体質のため諦めた。加えてコミュ障だし、テレビ映えするビジュアルでもない。
 このとき、職業には適性というものがあることを思い知った。

 大人になった今も、世界ふしぎ発見は変わらず面白い。
 世界にはこんなにも広いんだと知って、世界史や海外の文化に興味を持ったのは間違いなく世界ふしぎ発見がきっかけだと思う。

 特に私が好きなテーマがその土地の文化について取り上げたものだ。
 歴史の背景にある、その時代のその国の人がどんな暮らしをして、どんなものを食べていたのか、そういった文化史にとても興味を持つようになっていた。
 学生時代も世界史の資料集のコラムを読むのが好きだった。「ヴィクトリア朝の人々の暮らし」や「古代エジプトの習慣」みたいなコラムを授業中によく読みふけっていた。歴史上の重大な出来事よりも、そういった「人々の暮らし」についての方が面白いと感じていた。

 世界ふしぎ発見によって異文化や歴史に対する好奇心が育まれた。
 ミステリーハンターにはなれなかったけれど、その好奇心は健在だ。
 私は文化史の中でも特に食文化に興味があり、現在は世界のいろいろな国の郷土料理を趣味で作っている。
 「食」は生きる上で欠かせないもので、その国を知るにはその国の「食」を知るのがいちばんだと個人的に思っている。それくらい食文化は面白い。

 そんなわけで、以前noteで書いたブラジルのフェジョアーダをはじめ、いろいろな国の料理をマイペースに作っている。最近は作った料理を投稿するインスタのアカウントも作った。
  

 
 38年も続いた世界ふしぎ発見に影響を受けた人は私以外にもたくさんいるだろう。
 中には歴史や考古学の研究者になったり、興味を持った国に住んだり、それこそミステリーハンターになった人もいるはずだ。そうでなくても、私のように世界の歴史や文化が好きになった人をたくさん生み出したに違いない。
 私の「好き」や「好奇心」を育んだ世界ふしぎ発見には感謝の気持ちでいっぱいだ。
 番組が終了するのは残念だけれど、いち視聴者としてお礼を言いたいと思う。

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