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帝王切開産後レポ~最終回だよ、たぶん~

前回の続きはこちら☟


みよが退院した翌日、さちこも退院していった。(さいならー)


大部屋でひとりは寂しいけど、
やっぱり自分が発しない物音は気になるもので。
これでやーーーっとのびのび寝れる!
3日分の寝不足解消すっぞ!

と、そうは問屋が卸さなかった。
(夫よ、使い方あってるかい?)

新人が、朝に1人、昼過ぎに1人入ってきた。
今回は、まだ出産前のふたり。

朝の人は、無痛分娩希望していたのに出血したため
こちらへ来たようだった。

名はマミとしよう。

マミはずっと泣いていた。
そりゃ、そうだ。
自分の希望していたものができなくなってしまったのだから、
これから私どうなるの状態よね。

内容は違えど、心の動きは、少し前の私と似ている。

もう、カーテン開けて彼女に何か言ってあげたかった。
けど、声かけてほしいかわからないし、
第一あんた誰ってなるだろうし
最後まで彼女の気持ち受け止められるかわからないのに
中途半端に手をだしちゃいけないだろうし。
(そもそも、話しかけようとするのがおかしいのか?)

兄やんを産んだ病院からの転院のようで、
私も実家そこらへんですー、とか
何か私にできることないか、
とあんなに1人部屋楽しもうと思ってたのに
すぐ『心の中おせっかいおばちゃん』が発動しちゃうんだから。
やになっちゃう。


お昼過ぎには、もう一人の人が。
この人は、、、ユキミだな。
ユキミは、前回もここで出産したことがあるようだった。
なんでも手慣れていて、看護師さんへの受け答えも
「ちーっす」
「あい(はい、とは聞こえなかった)」的な感じだった。

前にいた2人とは全く違う。
部屋の空気も一気に変わった。

前は、こう、おだやかーな、
「ミルクお願いしまーす」
「ありがとうございますっ(ふふ)」
みたいな感じで、みんな礼儀正しい感じでふんわりしてたけど

ユキミの「私、ここ庭っすから」みたいなオーラと
マミの悲しい涙が、
ここ同じ場所っすかねと私を混乱させた。

ユキミは、明日帝王切開での出産が決まっていて
マミは、バルーンを入れていて、その時を待っているようだった。

マミには、助産師さんが代わる代わるやってきて話しかけている。

「バースプランをもう一度考えてみましょう」
そっか、無痛とは変わるもんねー。

「分娩室、お部屋を暗くしてもいいですからね」
「好きな音楽をかけてもいいですよ」
へー、いいなー。

「分娩室には、お菓子を持ち込んだりしてもいいからね」
ん?なんですと?

えー?結構何でもできるやん。
うらやまー。さすがに手術室は暗くはできんもんねー。

とか、マミに心の中でちょっかいかけてたら


別の看護師さんがユキミのところに来て

看: 剃毛しますねー
ユ: 私薄いんで大丈夫です
看: えっ、、え、、そんな、、ちょっと見せてもらっていいですか?
ユ: いいっすけど、前の時も剃ってないですけどー


ひゅーーーー!
ユキミ、なかなかの迫力出してきてんな!やるやん!
私が看護師だったら、怯んで|《ひるんで》すぐナースステーションに戻るわ。

ユキミは、慣れた様子でコンビニへ行き、
慣れた様子でベッドでポテチを食べていた。
(くぅーー、慣れてるぜ)
そのボリボリの音にさえも圧があり、
産前だからその余裕なのかと感心する私。
(ユキミは夕飯から絶食だから、
産前最後のポテチを楽しんでいたのだろう)

夜になると
マミはお腹が痛いと訴え、
夜中でも何度も助産師さんがやって来て
いびきをかいてるユキミのとこにも看護師さんが来て話しかけるも
爆睡で、無理やり起こされモニターを付けられていた。

ユキミ先輩、マジ落ち着いてますね。
そのどっしり感すごいっす。
と感心していたが、
朝方搾乳のため起きた私は、
ユキミがすすり泣いていたのを知っている。

やっぱり、怖いんやん。
私は、昼前には退院するから、
あんたの赤ちゃんを見届けられんけど、
頑張って来いよと送り出した。

結局、最後の日まで、心のお節介が発動して、
みんなの挙動全て把握してしまった。


さあさあ、家に帰る準備すっかなーと
荷物をまとめていたら、「さか田さーん」とカーテンが開いた。

ひぃ! キ、キリ子やん!

キ: お久しぶりですー
私: ど、どうしたんですか?
キ: 私、あれから連休で、今日退院って聞いたので様子見に来ました
私: あ、ありがとうございます

突然の登場にびびり倒したが、
もう一度会ったら聞きたいことがあったので、聞いてみた。

私: 下のお名前なんて読むんですか?
キ: あぁ、珍しいですよね。〇〇です。読めないでしょ。
私: そうなんですね!ネームタグ見る度になんて読むのか気になってまし
   た。
キ: あははー

わ、笑っている。この人、笑うのね。
じゃあ、あのことも言ってしまおう。

私: あの、手術の時変なこと聞いてすいませんでした
キ: え?
私: 先生お腹切るの上手いか、とか聞いちゃって
キ: あー、あんなこと聞かれたこと初めてだったのでびっくりでした
 
びっくりで、あの態度だったの?
ナチュラル態度?
キレてたわけではなくて?

まぁ、退院前にキリ子も血が通った人間だとわかってよかった。

さて、精算してもらって帰るかな。

事務の人(以下、事)こちらになりますー
私: はいはい
事: 差額は8万円ですね
私: へー!そんなに!ありがとうございます!これは振込ですか?
事: え?振込はないですよ
私: あ、今どきはそうなってるんですね
事: ?
私: ?

まさかの差額の8万円は不足分を払いなさいってことだった。
私は、手術だからてっきり戻ってくると思い込んでいた。

だって、元々期待してなかったのに
入院中看護師さんが
「手術だから結構返ってきますよー(ニヤリ)」って言うもんだから
あら?そうなの?(ニヤリ)ってなっててのこの流れだから
てっきり、それはもうてっきり返ってくるとばかり思い込んでて。

産後で頭もぼーっとしてるから、すぐに切り替えられなくて

払う?
お金を?
この私が?
なぜに?
間違ってんじゃないの?
もう一回確認しておいでよ、って思った。

なんか、返ってくるとばかり思ってたから、
なかなかのパンチくらって
カードきったけど。

そして、1か月後、坊ちゃま宛の請求書がしれっと届いて、
もうどんだけ請求してくんねん!

これで、坊ちゃまと一緒に家に帰って来て、一旦帝王切開産後レポは終わり。(長かったね)

5泊の中に、なかなかのボリュームなことがあったな。

とにかくお世話になりました。
希望した出産にはならなかったけど、
病院生活では、みなさんのサポートのおかげで
何不自由なく過ごすことができました。ありがとう。的な
メッセージをアンケート用紙につらつら書いたら

看護師さんが
「お手紙ありがとうございました!
励みになります!みんなにも見てもらえるように、張り出してます!」
って言われて、てへっとなる私。

その看護師さんは、
破水疑惑の時と今回の陣痛でやってきた時
どちらもいてくれたようで、ずっと気になってましたって言われて。

そういえば、この方いたな、と私も思い出して、
あの時はありがとうございました!と
言われないと思い出さなかったことだけど、
最後にこの人と話せてよかったなとルンルンになった。

終わり良ければ総て良しってことで。






ちなみに、私は翌日退院の予定だった。









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