癒しスポットとあのボサノヴァの名店 | 癒しのリオデジャネイロ #01
2月。日本は凍えるような寒さだけれど、その頃に太陽をいっぱいに浴びて真夏を謳歌している国がある。
地球のちょうど反対側、ブラジルだ。
今回は氷の大地から一気に変わって情熱の国へ。真夏のリオデジャネイロへ旅した記録。
ひとまずはあのキリスト像へ
リオに来たらやりたいこと。
ひとまずあれを見ておかなければ、とコルコバードの丘へ向かう。
街のいろんな場所から見えるキリスト像は、小高い山(というか巨大な岩)の上にそびえ立っている。
麓でチケットを購入したら、かなり急勾配のトロッコ列車へ。列車はのんびりと、でもぐいぐい斜面を登って行く。
列車には大きな窓があって、両脇には熱帯の植物が。この時期には大きなトゲトゲのジャックフルーツがたくさんなっていた。
終点駅に着いたら、キリストの足元までもう少し。ここからは自力で階段を登らなくてはならない。
ちょっと息切れするくらいの階段の量をなんとか登り切ったら、ようやくその先でキリストと対面。
キリストは想像していたよりも大きい。かなりの存在感というか、迫力がある。
それとここは展望台にもなっていて、360度、リオの街を一望できる。
少し目線を上げれば、ゆっくり空を旋回するコンドルがすぐ近くに。
風が吹き抜けて、気持ちいい場所だ。
時期にもよると思うけれど、この日は観光客でいっぱいでもう足場が抜けてしまうのではないかと思うほどの人混みだった。
そんな中、セルフィーに忙しい観光客たちに混ざって、くるぶしまである黒い修道服を纏った巡礼者の姿も。
賑やかな場所だけれど、敬虔なキリスト教徒にとっては大切な聖地であることを思い出させる。
ボサノヴァの名曲とおいしいお肉
午後は山を降りて、リオらしい空気感の海沿いへ。
リオといえば、カーニバル、キリスト像、あとはひたすら陽気なブラジル人たちの様子を思い浮かべるかもしれない。
コパカバーナやイパネマの海岸はその期待を裏切らない、陽気で肩の力が抜けた雰囲気の場所だ。
平日だろうと海にはカラフルなパラソルがひしめき合い、サーフィンをする人やサッカーボールを追いかける少年たちがのんびり遊んでいる。
カリオカの女性たちは、砂浜に寝そべってお喋りしながら日光浴。
その側では、行商人がカラフルなカンガ(砂浜に敷くスカーフのようなもの)やココナッツを揺らしながら歩いていたり、陽気な音楽隊が楽しそうに歌っていたり。
歩いているだけでこちらもゆるんでしまうような素朴なリラックス感。
そしてこの空気感がぎゅっと詰まったボサノヴァの名曲といえば、たぶんみんな1度は聞いたことがある"Garota de Ipanema"(イパネマの娘)だろう。
作曲者がイパネマのカフェにいたところ、ビーチに向かって歩く綺麗な女性を見かけたことからこの名曲が生まれたのだとか。
そしてその老舗カフェ、その名も"Garota de Ipanema"は、今もイパネマ海岸で営業している。
名物はピッカーニャ(イチボ)の鉄板焼き。
お肉を頼むとサラダとフライドポテト、ごはんまで付いてくるので、2, 3人ならこれだけで十分。
真夏の昼下がり、あつあつの鉄板の上でイチボを焼きながら食べる。柔らかくて脂身がジューシーで、とっても美味しい。
いつもイチボは脂をちょっと落として食べるのだけれど、このお肉は脂まで甘くてしつこくもなくて、綺麗に完食した。生ビールも必須だった。もう今日は幸せだから健康のことなんていいや、という気持ちで。
窓の外からは海風が吹き抜けてきて、のんびりとした空気感が心地よい。
時々道行く陽気な音楽隊が勝手に店を盛り上げてくれたりして、おいしいお肉と気取らないローカルな雰囲気を楽しめる、お気に入りの場所となった。
夕暮れの癒し系パワースポット
そして夕方、日が傾いてきた頃に行きたい場所が1つ。Pão de Açucar(ポンヂアスーカル)と呼ばれる、人気の絶景スポット。
また麓でチケットを買ったら、今度はボンジーニョと呼ばれるケーブルカーに乗る。
目的地はあの大きな岩の上。
2本のケーブルカーを乗り継ぐのだけれど、1本目を降りるとすでに、この絶景が。
改めて見ると、リオの地形は不思議な形をしている。
まるで海の中に山々が連なっているようで、ところどころコルコバードの丘やポンジアスーカルのような巨岩が突き出している。
海と山が入り組む様子は、ちょっとだけ伊勢志摩の雰囲気に似ているかもしれない。
どちらもどこか神々しく、心癒される景色だ。
ようやくあの岩の上まで着くと、すでに日が傾いて夕焼けが出来ていた。
ぽこっと飛び出たコルコバードの丘、キリスト像がここからも見えている。
刻々と色が変わっていく空と山。
夜風に吹かれながらぼーっと景色を眺めていると、不思議と気持ちが満ちてくる。
特にパワースポットと銘打っているわけでもなんでもないのだけれど、私にとっては最上級の癒しをもらえてエネルギーチャージできる、貴重な場所だ。
砂浜で無邪気にサッカーボールを追いかける少年たちの笑い声や、仕事より大事なのかもしれない海での時間を楽しむ人々、そしてただ心安らぐ異国の夕焼けを眺める時間。
そんなリオのひとつひとつの風景が、今回の記事を「癒しのリオデジャネイロ」と名付けた所以でもある。
太陽が雲の向こうに沈むと、湾に停泊するたくさんのヨットが夕焼けの水面に影を落としていた。
少しひんやりしてきた空気を感じながらも、どんどん色が変わる夕焼けを最後まで見届けたい気持ちに。
結局この日は、わずかな光が消えてすっかりあたりが暗くなってしまうまで、この風景に癒されていた。
次回は癒しから一転、情熱のリオデジャネイロへ。カーニバル編へと続きます。
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