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読書感想文『僕の人生には事件が起きない』岩井勇気著

『僕の人生には事件が起きない』岩井勇気とは

2019年発売。
お笑いコンビ、ハライチのボケとネタ担当の岩井勇気のエッセイ集。

相方の澤部佑は「探偵ナイトスクープ」やゴールデン番組の雛壇などでもよく見かけるけど、正直岩井さんの方は影が薄く、あんまりやる気ない人なのかなと勝手に思ったりもしていたが、たまにBSチャンネルでアニメやマンガ、猫の番組に出演してることがあり、そこでのコメントは生き生きしてたことは記憶にある。
いずれにしても、オタクな一面があり、クセの強い人が世の中を斜めから見たエッセイ集といったところ。
このあたりは書き下ろしの「澤部と僕と」に非常に上手くまとめられている。

この本を読んだ理由

2020年の4月TBS系のテレビ番組「史上空前!!笑いの祭典 ザ・ドリームマッチ2020」にて、ハライチの岩井勇気と渡辺直美が「塩の魔人と醤油の魔人」というコントを披露した。
著作権の関係だろうか、動画サイトからは削除されたり、音のみのものしか見当たらないが、このコントがかなり秀逸で僕好みだったので、これまで特に注目していなかったハライチ岩井の株が急上昇した。

で、そんなハライチ岩井が本を出していたので、図書館で予約したのが6月。
おそらくこの時点で僕と同じような考えの人間が多数いたのだろう。
半年以上待って、やっと順番がまわってきて借りてくることができた。

ココに刺さった

エッセイなので、特別刺さるような表現や文句をピックアップするのは難しいが、「リアル脱出ゲームで出会ったオタク」という話が一番おもしろかった。
「マニュアル至上主義の店」という話は、タイトル見ただけでもわかる、あるある話だが、さすがという切り口で語られている。
「野球嫌いの僕が落合福嗣と神宮球場へ行った」「仕方なく会った昔の同級生にイラつかされる」という話は、頷けるところが多々あった。
そして後書きとしての「おわりに」の締め方が上手。
3話ほど紹介しようと思ったが、5話紹介しておく。

この本を読み終えて

僕が最近意識している、「自分のために楽しんで書けばいい」というスタンスを充分過ぎるほど再確認できた。
「筆者はこのときどう思ったか?」との設問があったら、「楽しんで書いている」と即答できる。

というか誰の人生にだってこれといった事件など起きない。
起きないのが普通である。
でも、その何でもない日常を切り取っておもしろおかしく表現したり、哲学的な気づきを添えられる人こそが、「おもしろい文章を書ける人」となるんだろう。
noteでも、ちょっとした雑談でも、この本に書いている岩井さんのような切り口で出来事を語るとおもしろいよ、というお手本になる一冊だった。

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