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(オリジナルストーリー) 酒ファンタジー Ultimate ONE ~第九話~【レオン】

Ultimate ONE ~第九話~【レオン】

リサとシャボンはフライングバギーに戻り短い眠りにつく…バウンサーも真面目にフライングバギーのお留守番をしていたようだ。

恒星の一つがコマースの朝を伝える
多少寒い朝ではあるが、ここの気温は常に安定していて過ごしやすい

リサ 「あ、もう朝?…トノトさん、朝って言っていたけど、すごく大雑把な性格ですね。いつかしら?」

バウンサー 「リサ、起きたか! 私は眠れなくてな…それに、眠くもならない」

リサ 「あ!? バウンサーさん、寝たいと思いますか?」

バウンサー 「生身の身体を失ったからか? いや、俺は守るもののため睡眠などいらないと思っていたところだ」

リサ 「コアは約5千年前に開発されたという “超電導” の進化系なの、一度電力を流せば永久的に動くのですけど、止めてしまえばまた電力をお与えない限り動き出さないのです。稼働しながら睡眠状態に…少し考えなければ」

バウンサー 「それにしても、死してもなお生きるすべを与えるなど神の仕業としか思えん」

リサ 「はは、神だなんてそんな…私はまだ勉強不足で学ばなければいけないことばかりです、ゾンビの治療…オーラの解析…」

バウンサー 「俺もオーラを使えたが不思議な能力だ、これは遺伝するのか?」

リサ 「う~ん。 正直分かりませんが、ごく稀にしか存在しないことと、人により能力が違うことを考えると、遺伝とは言い切れないところがありますね」

バウンサー 「まぁ、この力は使い方を誤れば、滅びへと導くもの…人にあってはならぬ能力だな」

バウンサー 「すまん。朝からこのような話をするつもりではなかったんだが…」

リサ 「いえ!」

リサ 「ところで、バウンサーさんはトノトさんとはお知り合いなのですか?」

バウンサー ギク!

バウンサー 「そんなことはないでござるよ!」

リサ 「ござる? う~ん。意味深~」

バウンサー 「トノトというお方は何か言っていたのか?」

リサ 「はい、知らないと…」

リサ 「ただ、バウンサーさんが刀を持てるようにしたいという話をしたら、お金はいくらでも使ってよいとカードをくれました」

バウンサー 何ということだ、俺は何をしている!我ながらなさけないぞ!

リサ 「とりあえず、メタリカへは彼のワープリングで連れ行ってくれるようなので安心はしたわ!いい人でよかった」

バウンサー 「ワープリングか…ということはその方とはまた会うのか?」

リサ 「そろそろこちらに来てくれると思います!」

バウンサー 「そ、そうか!では余計なものは消えるとしよう。おとなしくカバンに入っているので後はよろしく頼む」

リサ 何か隠しているわね…まぁ、バウンサーさんもトノトさんも悪い人ではないので追及はしませんけど

朝日は登り、しばらくの時間が経過する

何者かがフライングバギーの中へ入ってきた

トノト 「おお~ここかな~? 迷って面倒くさいから街ごとワープさせようかと思ったよ」

リサ 「トノトさん!おはようございます!待っていました!」

トノト 「で?どこからどこまでワープをさせればよいですか?」

リサ 「話が早すぎますよ! トノトさん!」 

トノト 「このバギーには、他に人は乗っているのかい?」

リサ 「いえ、モブさんは店で寝ていますし、シャボンさんも迎えにいきましたので私とバウンサーさんだけです!」

トノト 「なら、オッケーだね!ぶっ飛ばすよ~!」

リサ 「え? ちょっとまだ心の準備が!」

トノト 「大丈夫!街に被害がないように、ちょっと離れた人の来ない平原にマークしてあるからね! じゃ、頑張ってくれたまえ」

リサ 「え? えええええ~?」

消えていくフライングバギー

シュン

どどどどどどーーーん!

リサ 「きゃーーー!」

バウンサー 「大丈夫か!リサ!」

リサ 「え?はい!大丈夫です! いきなりワープをさせられるなんて」

バウンサー 「これも、トノトという方の気遣いだろう」

バウンサー 「はっ!」

リサ ここは…気が付かないふりをした方が優しさよね

リサ 「びっくりした~! ここはもう、メタリカかしら?」

バウンサー 「では、俺が偵察してくる」

リサ 大丈夫かしら?

リサ 「あ…ああ~私も一人では怖いので一緒に行きます!」

フライングバギーを降りるリサ達

リサ 「あそこに栄えた街らしきものが見えますね!」

バウンサー 「近そうには見えるが…意外と距離がありそうだな…それに…」

リサ 「それに?」

バウンサー 「確かに平原…敵は隠れにくいが、捕食者には格好の餌食だ」

リサ 「え・じ・き・?」

バウンサー 「上を見ろ」

リサが上を見上げると数メートルはある鳥たちが飛んでいた

リサ 「あ、あれ?」

バウンサー 「あれはこの地方に住むキルバード、人を好んで捕食する人食い鳥だ。俺は機械だから狙われないがな」

リサ 「えええ~! この平原じゃ、隠れ場所もないじゃない!」

バウンサー 「では、フライングバギーに戻るか?」

リサ 「いえ、行きますわ! 行かなきゃバウンサーさんに刀を持たせられるようにできないもの!」

バウンサー 「…それだけの理由でこの子は行くのか…せめて俺が刀を持てれば…」

鳥たちにおびえながら街に向かうリサ達…狙われはしないだろう…
という気持ちは彼女たちを裏切ることになる

ギャーーーーーオ!

キルバードが鳴く

リサ 「きゃーーー!」

バウンサー 「狩りの狼煙だ、ああ~やって獲物を見つけると他のキルバードと連絡をし集団で狩りを始める。 万事休すだな!」

一匹のキルバードがリサを襲おうとする

ぐおおおお~~!

リサ 「ど、どうすれば!」

バウンサー 「俺のできることは、ヤツにぶつかることくらいしかできないが、必ず守る!」

キルバードに体当たりをしようとするバウンサー

そこに銃声が聞こえた

ドーーーン!

ギャオオーー!

落ちてくるキルバード。

リサ 「きゃ!」

ドサーーーン

バウンサー 「何者! しかもあのキルバードを一撃で!」

ギャーーオ!

後続のキルバードが集団で襲ってくる。

ドンドンドンドンドンドーーーーン!

次から次へと襲ってくるキルバードがことごとく落ち落とされていく

キルバードたちの群れは恐れをなして逃げて行った

リサ 「私たちは…助けられているの?」

バウンサー 「分からん! そやつの気配が感じられん。 だが、油断をするな!敵かもしれんぞ!」

リサ 「で、でも…助けてくれたのなら、お礼くらいは言わないと!」

謎の声 「染みるぜぃ…」

リサ 「え?誰?」

バウンサー 「気を付けろ! リサ! 相手は只者ではないぞ!」

謎の声 「すまねぇ、姉ちゃん。 その言葉をもう一回言ってくれねぇ~か?」

リサ 「あ? お礼? 助けていただき、ありがとうございます!」

謎の声 「良い言葉だ、だが姉ちゃん。俺は殺気を放ったものを撃っただけのことだ、礼を言うことじゃねぇな」

リサ 「姿も見えず、どのような方かわかりませんが本当にありがとうございます!」

謎の声 「あ、すまねぇ。つい姿と気配を消してしまう癖があってな」

何もない風景から一人の人物らしきものが現れた

その姿は角を持ったジャクソンカメレオンのような人型の男だった

バウンサー 「なんだと! おまえ!カメレオン族ではないか? そして、その銃の腕前は…もしや!?」

カメレオンの男 「おっと!それ以上言っちゃいけねぇ~ぜ。 俺の自己紹介を奪うんじゃねぇ~よ」

レオン 「俺の名はレオン…姉ちゃんの気配は読ませてもらった。おまえ…自分の命をかけてでも人のために何かしようとしていたな…その玉っころのせいか?」

バウンサー 「玉っころだと!? 俺はバウンサーだ!」

レオン 「すまねぇ~な。俺は機械の気配を読むことできねぇ。お前が何者かもわからねぇんだよ」

レオン 「ただ…バウンサーって言ったな。 歴代最強と言われた侍を殺した男の右腕だったのも、確かコボルド族のバウンサーって名だったはずだ。玉っころには関係がない話だがな」

リサ 「え…」

レオン 「驚いた顔だな。まあいい、姉ちゃんは何故街へ向かっているんだ?」

リサ 「私は、バウンサーさんを刀が使えるように戻したくて、まずはボディーを作ってもらうためにメタリカに行きたいのです!」

レオン 「ほう、気配は読ませてもらった。嘘はついていないようだな。面白い、俺も連れていけ」

リサ 「え?何故?」

レオン 「お前らだけじゃ、街に着く前に殺されちまうだろ」

リサ 「いいのですか?」

レオン 「俺は気配を消すが、殺気を感じた時点ですぐに撃ち殺す、心配するな」

リサ 「バウンサーさんは?」

バウンサー 「ヤツが本物のレオンなら心配はないだろう。今はヤツの力に頼るしかないしな」

リサ 「では!よろしくお願いします! レオンさ…? あれ、消えた?」

バウンサー 「気配を消しているだけだ、行くぞリサ」

次から次へと襲ってくる盗賊や魔物…しかしリサ達は銃声を聞くのみでその音の意味すらも知ることはなかった…

リサ 「たまに銃を撃つ音が聞こえましたけど、あれから何事もなく着きましたね!」

バウンサー 「うむ、今の俺にはヤツが何のために銃を撃っていたかも知る術はないが、とりあえず辿り着いたな…メタリカへ」

~リサ達は最高峰の金属を作る街、メタリカへ辿り着くことができたのである~


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