(オリジナルストーリー)酒ファンタジー Ultimate ONE ~第十五話~【ヘルの能力】
Ultimate ONE ~第十五話~【ヘルの能力】
~ウエピナの制服をバウンサーに斬られ、替えの服を着たリサ、そしてバウンサーたちの元へ戻る~
バウンサー 「大丈夫だ、その服であれば目立たないだろう」
リサ 「もう!替えの服がなかったらどうするつもりだったんですか!」
リサ 「バウンサーさんには命を助けられたし、今回は許しますけど」
アイ 「リサを怒られたら怖いよー」
バウンサー 「分かっている」
リサ 「では、早速ですが戻りますか!メタリカへ!」
アイ 「え?おまえたち、反社会組織と戦うつもりかい?」
リサ 「もちろんです!あんな人たちは許せませんよ!戦うのはバウンサーさんですけど」
バウンサー 「久しぶりの戦だな。ミスがないように気を付ける」
アイ 「そういえば、トノトから戻るときは違う場所にワープするよう言われているよ」
バウンサー 「なるほど、いきなり敵と出くわせば何が起こるかわからぬからな」
アイ 「といっても、ワープ先はライオンのオブジェから2km先…わりと人が密集しているショッピングモールになる…十分気を付けてね」
リサ 「人がいなければ、何かあったってことね」
バウンサー 「私の体内はワープリングの登録先となっている。その時はリサがすぐここに戻るんだ」
リサ 「バウンサーさん…気持ちはありがたいけど、バウンサーさんを置いてはいけないわ」
バウンサー 「守るものがあれば、戦いにスキが生まれるのだ」
リサ 「…ミラーエレメント」
バウンサー 「ミラー? なんだそれは?」
リサ 「バウンサーさんを開発しながら新しい道具を作ったの」
バウンサー 「武器か?」
リサ 「レオンさんの消える動作を科学的に分析したのよ」
バウンサー 「レオンの?いつの間に」
リサ 「ミラーエレメントがあれば、私自身も人の目から見えなくなるの。透明になるというより、人が認識できない光の衣をまとう感じね。これで気づかれずに敵から逃げることができるわ!」
バウンサー 「逃げるんかい! まぁ~足手まといになるよりはよいが」
リサ 「だって、人と戦うなんて私にはできないわ!」
バウンサー 「それは当然だ。だから、侍がいる」
アイ 「頼んだよ!バウンサー!リサに何かあったら私が承知しないからね」
バウンサー 「切腹は覚悟する」
リサ 「それ、なんだけど…ごめんなさい。バウンサーさん」
バウンサー「なんだ?」
リサ 「自害しようとしてもたぶんできない」
バウンサー 「なぜだ」
リサ 「バウンサーさんは壊れない身体になってしまったの」
バウンサー 「壊れない身体だと?」
レオン 「まあ、いいじゃね~か。 今は一刻を争う、出られるうちにメタリカに戻るぞ」
リサ 「あ? レオンさん!」
バウンサー 「おまえがいたな。なら、心配は不要だ」
リサ 「さ!行きましょう!」
~新しいワープ先に向かうリサ達、そこは賑やかなショッピングモールであった~
バウンサー 「人が多いな」
リサ 「まだ、私たちの存在を知られてはいないみたいね」
レオン 「そうでもねぇ~。 ヤツはやべぇ~な、俺とリサはここから離れるぞ!」
リサ 「え?」
バウンサー 「リサ、レオンの言うとおりにするんだ」
リサ 「は、はい…」
~立ち去るリサとレオン~
リサ 「レオンさんいますか?敵がいたんですか?」
レオン 「ああ、500メートル先にただならない二つの気配を感じた。いや、もう一人は獣か」
リサ 「バウンサーさん…大丈夫かしら」
レオン 「たぶん、アレの気配からするとヤツは最近反乱組織に入ったヘルの住人、オーディン」
リサ 「ヘルの住人?」
レオン 「ああ、この地の地中にある都市に住む住人で、特殊な能力を持つ場合が多い」
リサ 「地中に都市?そして特殊な能力…オーラかしら。調べたいわね」
レオン 「うおぃ!嘘だろ?」
~ショッピングモール~
バウンサー 「レオンのやつ…急いでいたが、敵には見つかっているのか?」
≪動きだすバウンサー、ショッピングモールの人たちはバウンサーの姿を見ると怖がり、その場から立ち去り人だかりに道ができる≫
バウンサー 「ここでは俺の姿は珍しいのか?まて、今俺の姿はどうなっている?」
≪鏡を探すバウンサー≫
バウンサー 「鏡はないか?ガラスでもよい」
町の人 「何あれ?ロボットか? まて、剣を持っているぞ!反社会勢力では!」
バウンサー 「今は敵を探すことが優先だ。どこにいる?」
≪人が避けた道の遠くに車椅子の男を見つけるバウンサー、彼の周りにも人が避け道ができていた≫
バウンサー 「おまえか、反社会勢力とは」
オーディン 「何だあのロボットは、兵器か?」
ケルベロス 「少なくとも、反社会勢力にはいない。つまり仲間ではないぜ」
オーディン 「もう僕たちも見つかっているな。不意打ちで仕留められないか」
ケルベロス 「俺が囮になる、その間にキルドレインを発動してくれ」
オーディン 「分かった。お前ひとりで充分だろうが、仲間いるかもしれないので辺りを一掃しておくよ。」
ケルベロス 「ぐわあああああ~~~!」
≪ものすごい速さでバウンサーを襲いかかるケルベロス≫
バウンサー 「敵の強さも図らず襲ってくるとは…愚かな」
ケルベロス 「きさまは死ね~~~!」
オーディン 「…キル…ドレイン!」
≪暗黒の光が地面一帯に広がる≫
≪アルテモンの剣に手をかけるバウンサー≫
ザン!
≪真っ二つになるケルベロス≫
オーディン 「ケルベロ…え?」
≪気が付くと既に剣がオーディンの身体を貫いていた≫
≪周りにいた人々は次々と倒れていく≫
オーディン 「何故だ!キルドレインの範囲内なのになぜお前は死なない!」
バウンサー 「それは俺のセリフだ」
チーン
≪オーディンの身体をばらばらに切り裂くバウンサー≫
バウンサー 「ちぃ…手応えがない」
オーディン 「やはりお前はロボットだな!生命であれば僕のキルドレインを浴びれば命を吸い取られるはずだ」
キキーン
≪さらに追い打ちをかけて斬りかかるが実体のないヘルの住人には効かなかった。≫
オーディン 「無駄だよ。しかしラチがあかないな。これじゃ、お互い倒すことができない」
バウンサー 「あの時の骸骨と同じか…」
オーディン 「骸骨? リッチのことか?」
ドーン
≪重い一太刀を入れるバウンサー≫
バウンサー 「オーラがないと無理か…何か手は」
オーディン 「おまえ!人の話をきけ!」
バウンサー 「犬は斬れたんだがな…」
オーディン 「お…ま…え…ケルベロスはヘルの住人じゃないからアーリーフォルム(実体のない姿)にはなれなんだよ!」
バウンサー 「おまえの大事な犬だったか。だがその犬を俺に襲わせたお前にそれを言う資格はない」
~一方リサ達~
レオン 「くそっ。始まりやがったか。あたりの気配が全て消えた…オーディン以外はな」
リサ 「あれ?二人いるって言ってなかったっけ?」
レオン 「おそらくバウンサーが倒した」
リサ 「バウンサーさんは無事なの?」
レオン 「分からない…ヤツからは気配を感じないからな」
リサ 「ひょっとして、レオンさんのいう気配って、物音や温度などではなく命そのものを察知することができるの?」
レオン 「…」
~ショッピングモール~
オーディン 「アーリーフォルムのままでは、おまえを倒すことができない」
バウンサー 「では、倒せる姿になれば良いだろう」
オーディン ≪なんだ…こいつの余裕≫
オーディン 「高位なヘルの住人はノーマルフォルムとアーリーフォルムに変化できる」
バウンサー 「ヘルの住人など興味はない。俺を倒せるなら早くしろ」
オーディン 「ああ、人の命をたくさん吸い取ったからな…魔力は足りている。なってやるぞ…僕特有の形態コンバットフォームに!」
≪剣を鞘におさめ、静かに柄に手をかけるバウンサー≫
オーディン ≪剣をおさめた?何を企んでいる?≫
オーディン 「きさま!何を企んでおる!」
≪反応がないバウンサー、微動だにせず置物のようだ≫
オーディン ≪!!コイツ、コンバットフォルムになる瞬間を狙っているな!≫
オーディン 「…やめた」
バウンサー 「おまえ、鼻が効くな」
女の声 「きゃーーーーー! みんな…死んでる!何が起きたの?」
≪遠くから女が近づいてくる≫
バウンサー 「!!」
オーディン 「ふっ…おまえ、女を助けたいのか?」
バウンサー 「どうかな?」
オーディン 「なら、お前がどう行動するか試してみるか?」
女の声 「誰?人の声がする? 生きている人がいるの?」
オーディン 「こっちに来るぞ?キルドレインの射程範囲内だ」
バウンサー 「ちっ…」
キーン
斬撃がオーディンを襲う
オーディン 「無駄だ!」
バウンサー 「女を殺せば、お前も逃げるチャンスを失うぞ。」
オーディン 「逃げる気などない」
オーディン ≪キルドレインの発動を遅らせ、女の方へヤツが向かえばフォルムチェンジするチャンスが生まれる。やるしかない≫
オーディン 「では、駆除を始めよう! キル…ドレイ」
ドーーーン
オーディン 「なんだ?」
バウンサー 「!?」
≪オーディンの前に地面から手が飛び出る≫
オーディン 「敵か!?」
レヴナント 「ぶはっ!」
バウンサー 「ウエピナのゾンビ!生きていたのか!」
オーディン 「死人?いや、きさまは誰だ?」
女の声 「きゃーーー! 車いすの人がゾンビに襲われてる!」
レヴナント 「いきなりですが、この状況はヤバそうですね」
レヴナント 「リサさんの命をたどってきたが、ここにはいない。そして大量の死人とロボット、まがまがしい気配の車椅子の男…」
オーディン 「何をぶつぶつ言っている!きさまも一緒に命を吸い取られろ!」
オーディン 「再び黒い光が地面に広がる。」
レヴナント 「この光は…まずい!女性を助けなければ!」
オーディン 「キルドレ…」
レヴナント 「女性を助けるより、君を倒した方が早い!」
≪オーディン顔を鷲掴みにするレヴナント≫
オーディン 「無駄だ!実体のない私に…な、何?」
キリキリキリ
レヴナント 「君は実体のない自分の身体を掴まれるのは初めてかね?」
≪オーディンの顔を鷲掴みにしたレヴナントの手は徐々に食い込み痛みを与える≫
オーディン 「ぐぐ…」
オーディン ≪くそっ!コンバットフォルムに変身してぶっ倒してやる≫
≪バウンサーの動きが気になり、その方向を見るオーディン。先ほどのように手を柄に置き構えているバウンサーがいた≫
オーディン ≪こいつ!こんな時でもフォルムチェンジする瞬間を狙っているか!≫
オーディン ≪この状況…次に私が取るべき行動は…≫
逃亡
オーディン 「ぐ…ぐああああああああ!」
レヴナント 「!?」
≪腕を女の方に向けるオーディン≫
オーディン ≪キルボール!≫
≪球体となった黒い光が女の方へ飛んでいく≫
レヴナント 「しまった!」
≪手を放し女性の方へものすごいスピードで向かうレヴナント≫
オーディン 「お…覚えておけ!お前たち!次合う時…は…」
≪実体のないオーディンの身体は消えていく≫
キーーーン
≪バウンサーがオーディンを斬りつけるも効かず消えるオーディン≫
バウンサー 「クソッ!逃がしたか。」
≪キルボールを弾こうとするレヴナント≫
レヴナント 「させない!」
≪消えるキルボール≫
レヴナント 「何!」
バウンサー 「おそらく、ヤツが逃げるためのおとりだ」
レヴナント 「しまった!騙されたか」
女 「き、きゃーーーーーーーー!ゾンビが襲ってくる!」
レヴナント 「ち、ちょ…」
≪立ち去る女≫
レヴナント 「この容姿では…傷つくな」
バウンサー 「まぁ、良いではないか。おまえの救いたいものは救えたのだから」
レヴナント 「あ!すみません!申し遅れました、私はレヴナントといいます。一瞬でもあなたを敵と疑ってしまい本当にすみません」
バウンサー 「謝罪はいらん。それに俺はお前のことを知っている」
レヴナント 「え?私のことを?」
バウンサー 「俺の名前はバウンサー…ウエピナで会ったコボルドだ」
レヴナント 「ご無事だったんですか?そ、それにその身体は?」
バウンサー 「無事ではなかったということだな」
~遠くから女の声がする~
リサ 「バウンサーさーーん!」
レヴナント 「り、リサさん!」
バウンサー 「リサは無事だぞ」
~駆け寄るリサ~
リサ 「やっぱり!レヴナントさん?」
レヴナント 「はい!遅れてすみませんが、無事戻りました」
バウンサー 「レオンはいるか?」
レオン 「なんだ?」
バウンサー 「ヤツはオーディンと言っていた」
レオン 「やはりそうか」
バウンサー 「で、ヤツの気配は?」
レオン 「あったら来てねぇ~だろ」
バウンサー 「完全に逃がしたな」
ドーーーーン
≪急に銃声が聞こえバウンサーの身体に当たるがその銃弾は弾かれたようだ≫
バウンサー 「何をする!レオン!」
レオン 「ほんっとうに硬ぇ~な。 嫌、ハエがいたもんでな」
バウンサー 「ハエ?人の身体に止まったハエを銃で殺すやつがいるか!」
リサ 「うううううう…」
≪泣き崩れるリサ≫
レヴナント 「リサさん!どうしました!?大丈夫ですか?」
リサ 「うう…よかった…助けられなかったと思っていたから…ぐ…レヴナントさん…無事で…」
レヴナント 「…リサさん…」
~私は…ここへ戻ってきてよかった~
~ショッピングモールから数キロ離れた建物の屋根~
双眼鏡を覗く男 「ロキ様…-オーディンは消えた様子です」
≪小型スピーカーから男の声が聞こえる≫
ロキ 「なに?オーディンが消えただと?」
双眼鏡を覗く男 「はい、おそらく逃亡した模様です」
ロキ 「逃亡だと?今いる人間は誰かわかるか?」
双眼鏡を覗く男 「今、ショッピングモールにいるのは…」
ドンッ
≪双眼鏡を覗く男は何者かに頭を撃たれる≫
ロキ 「どうした?何故返事がない!」
…
…
~そして、オーディンとの戦いは一度幕を閉じる~
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