現場で使える!課題マネジメント【PMの道具箱 #3】
みなさん、こんにちは!
今日は、プロジェクト管理における課題マネジメントについてお話しします。実践するための課題管理表のテンプレートも提供します。
プロジェクトの課題マネジメントをやっていないPMはいないと思います。今さら課題の話?と思うかもしれませんが、プロジェクトをコントロールされた状態にするためのイロハのイですから避けて通ることはできません。課題をマネジメントすることはプロジェクトの最初から(計画ができていなくても!)できますし、プロジェクトが終了する最後の日まで対応していくことになります。
課題マネジメントの考え方や方法論、こういう課題マネジメントは良くないといったアンチパターンを理解して、プロジェクトを成功に導きましょう。
課題マネジメントとは?
プロジェクトにおける課題とは、「プロジェクトの目的に影響を与えるかもしれない現在の状態や状況」とPMBOKでは定義されています。プロジェクトに課題はつきものです。課題を明確化して管理し、戦略を持って期限までに解決していくことはプロジェクトマネジメントとの本質ともいえると思います。
なお、リスクと課題の違いとしてリスクは「まだ発生していない」事象ですが、課題は「すでに発生している」という違いがあります。リスクマネジメントについて詳しく知りたい方は「現場で使える!リスク・マネジメント(リスク管理表)」の記事を参照してください。
プロセスの全体像
標準的な課題マネジメントのプロセスは、課題を特定して対応計画をたて、プロジェクトを推進させながら課題の状況を監視していきます。
上記のプロセスは課題管理表を用いて管理できます。
各プロセスの進め方(課題管理表の作り方)
1. 課題マネジメント計画
課題マネジメント計画では、プロジェクトの目標に合わせた課題マネジメントのアプローチを定義します。具体的には、プロジェクトで発生した課題を管理するための手順やタイミング、責任者を明確にし文書化したものです。
課題マネジメントではPMやPMOが責任者となり、対応策の実行を各担当者が遂行する形が一般的です。
2. 課題の特定
プロジェクトの遂行中に発生した課題や問題を課題管理表に記載します。
3. 課題対応の計画
課題に対処するための具体的な対策やアクションを計画します。課題対応の計画では、課題がプロジェクトの進行や重要な目標に悪影響を及ぼす前に、それらを解決するための手順やステップを策定します。課題をいつまでに解決しないとプロジェクトのQCDSに影響が出てしまうのかを考えて対策期限を決め、発生した状況がどうなれば課題がクローズできるのも明確にしておきましょう。
4. 課題対応策の実行
3.で計画した対策やアクションを実行します。完了までに時間がかかる場合は対応状況を時系列に記載することで、現在の状況が分かりやすくなります。
5. 課題の監視
課題の解決状況を定期的に追跡し、問題が適切に対処されているかどうかを確認するプロセスです。プロジェクトの定期的な会議体がある場合は、その場で対応状況を確認する場合があります。また、そういった場がなくてもあなたがPMであれば週に一度は棚卸し作業をすることをお勧めします。
課題マネジメントのアンチパターン
ここでは、課題マネジメントのアンチパターンとしてありがちな例を示して、改善策を示します。
A. 複雑すぎる課題マネジメント
課題管理表を作る際に、あれもこれもと管理項目や分類項目を増やしすぎたり、課題管理ツールでワークフローを念入りに作るのは考えものです。こういって追加された項目のうち多くが使われていなかったり、ステータスが途中で止まっていたりといったケースを見かけることがあります。
課題はその一つ一つを解決することに時間を費やすべきです。プロジェクトに費やせるリソースが限られている以上、課題管理のタスクそのものに忙殺されるのは望ましい姿ではありません。シンプルに管理することも時には必要です。
B. 姿を変えていつまでも残る課題
課題の監視をしていると状況は頻繁に更新されているにも関わらず、数週間、数ヶ月たってもクローズしないまるでゾンビのような課題に出くわすことがあります。内容を確認すると対応策を取る中で別の課題が派生していき、元々の課題とは一見関連しないようなアクションをとっていたりします。
こういった課題はタイトルと内容が一致していないため全容の理解が難しい、対策期限が何度も延長されて完了がいつになるのか見通しが立たない、などの問題があります。最初の課題が解決した時点で派生する課題が見つかった場合は、別の課題として管理するようにしましょう。
C. 大きすぎる課題
Bと類似していますが、大きすぎる課題というのも考えものです。課題を解決するためにWBSができてしまうような状況であれば、そもそもプロジェクトのタスクとして組み込むべき作業が漏れていないか見直しましょう。
D. 課題の無視や先送り
発見した課題に対して有効な解決策を打たないまま、先送りにすることが常態化しているプロジェクトがあります。このような状況ですと、早めに対処しておけばプロジェクトの成功に影響を与えなかった課題が、手を打たなかったために影響を与えだしてトラプルプロジェクトへの道を辿ります。適切な優先順位を決めて解決を推進しましょう。
なお、未解決の課題が数多く放置されているプロジェクトは何らかのトラブルが起きているとみてほぼ間違いないでしょう。
テンプレートとサンプルはこちら
おわりに
今日は、課題マネジメントについてご紹介しました。どのプロジェクトでも実施しているであろう課題管理ですが、やはりコツはありますし、おかしいなと思ったら改善していくことが大事です!課題マネジメントを効果的に実施して、適切にリソースを振り分けて対処することでプロジェクトを成功に導きましょう!ぜひ、現場で実践してみてください。
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