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現場で使える!リスク・マネジメント(リスク管理表)【PMの道具箱 #2】

みなさん、こんにちは!

今日は、プロジェクト管理におけるリスク・マネジメントについてお話しします。実践するためのリスク管理表のテンプレートも提供します。

リスク・マネジメントって、実はやらなくても最初のうちはプロジェクトがうまく進むように見えるので後回しにされがちです。しかし、これを実施していないプロジェクトは間違いなく失敗します。なぜならリスクは後になって顕在化し、顕在化してからでは対応が間に合わないからです。

リスク・マネジメントこそPMの腕の見せ所です。リスク・マネジメントの考え方やリスク管理表の使い方をしっかりと理解して、プロジェクトを成功に導きましょう。




リスク・マネジメントとは?

プロジェクトにおけるリスク・マネジメントについて、PMBOKの定義では「ある事象や状態が発生し、プロジェクトの目的に影響を与える可能性があるという事実に対処すること。これらの影響はプラスまたはマイナスになる可能性があり、意図した目的からの逸脱を引き起こす可能性がある」としています。

簡潔にまとめるとリスクには3つの性質があるものと理解しておけば良いと思います。

  • まだ起こっていないが、起こるかもしれない不確実な事象

  • 発生確率が異なる

  • ひとたび発生すると、プラスまたはマイナスの影響が生じる

このように不確かなものを明らかにしてプロジェクトの管理下に置くこと、それがリスク・マネジメントです。このプロセスを実行することで、問題や障害が発生した際にもプロジェクトの進行や目標の達成を確保することが可能になるのです。

💡Tips!:主な管理対象となるのはマイナスの影響を持つリスク
プラスの影響を引き起こすものもリスクに含まれますが、実際のITプロジェクトではマイナスの影響を持つリスク(脅威)が主に管理対象となります。

プラスの影響を持つリスク
例えば「外部からの予定外の追加リソース提供」があったとします。これを活用することで効率を上げることがプラスの影響を持つリスク(機会)を管理するということです。


プロセスの全体像

標準的なリスク・マネジメントのプロセスは、リスクを特定・分析して対応計画をまとめ、プロジェクトの進行と同時にリスクを監視していきます。

リスク・マネジメントのプロセス

上記のプロセスはリスク管理表を用いて管理できます。

リスク管理表の例

各プロセスの進め方(リスク管理表の作り方)

1. リスク・マネジメント計画

リスク・マネジメント計画では、プロジェクトの目標に合わせたリスク・マネジメントのアプローチを定義します。具体的には、プロジェクトの性質や規模に基づいて、リスクマネジメント活動の方法やタイミング、責任者を明確にし文書化します。

プロジェクトオーナーを責任者としてPMがマネジメントを遂行する形が多いですが、重要なプロジェクトであれば経営者を責任者におく場合もあります。

2. リスクの特定

プロジェクト計画時にプロジェクトメンバーで集まり、プロジェクトで起こり得るリスクを特定しリスク管理表に記載します。

💡Tips!:押さえておきたいポイント
リスクの特定を行う際のポイントを3点ご紹介します。

複数の視点で確認する
類似プロジェクトの有識者やお客様に意見をもらう、ユーザーの立場で考えるなど多くの視点から特定を行います。外部リソースを用いている場合のリスクは忘れがちなので注意しましょう。

網羅的に書き出す
リスクが発生する時期(工程)ごとに考えたり、リスクが発生する対象(リソース、成果物)ごとに検討することで網羅的に洗い出すことができます。

定期的にリスクの洗い出しを実施する
プロジェクトの計画時だけでなく、継続してリスクの洗い出しを実施することで新たに発生したリスクに気付くことができます。実施タイミングは計画フェーズで決めておきます。
(例)2ヶ月おき、「各フェーズの開始前」

3. リスクの定性的・定量的分析

リスクの分析をするには次の3つをあらかじめ決めておきます。

  • リスク発生確率の判定基準

  • リスク影響度の判定基準

  • リスクランク決定方法

上記はプロジェクト固有ではなく組織で統一された基準がある場合もあるでしょう。その上で特定したリスクについて協議しながらリスクランクを決定し、どのリスクの対応に優先度を置くべきか明確にします。

リスク発生確率の判定基準例
リスク影響度の判定基準例
リスクランク決定方法と対応方針の例

4. リスク対応の計画

各リスクに対して発生した場合の対応方針を決め、具体的な対応策を考えます。対応方針には4つの考え方があります。

脅威に対するリスク対応方針
機会に対するリスク対応方針

5. リスク対応策の実行

4.で決定した方針に従ってリスク対応の計画を実行します。対応方針が受容以外の能動的な対応はリスクが発生する前に実施する必要がありますので、担当者や期限を決めて進めます。受動的な対応はリスクが発生した場合に実施します。

6. リスクの監視

プロジェクトが進行していく過程で、計画が予定通りに実施されているか、対応策が効果的であるかを定期的に追跡・評価します。このプロセスによって、プロジェクトチームは既存のリスクの状況を把握し、新たなリスクが発生した際も適切に対応することができます。


テンプレートとサンプルはこちら

📋テンプレートとサンプルの利用規約はこちらを参照してください。


おわりに

今日は、リスク・マネジメントについてご紹介しました。プロジェクトのリスクをコントロールすることで、プロジェクトの成功確率を上げることが可能です。ぜひ、現場で実践してみてください。

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