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失敗確率を減らすゲーム開発の方法

今回はゲーム制作時に考えておきたい、
できる限り失敗確率を減らせる考え方の1つを
書いてみたいと思います。

私も散々失敗してきていますので、
できる限り失敗要素は減らしたいですからね。

なお、今回ご紹介するゲーム制作の流れでは、多少人の性格やタイプにもよりますが、できる限り失敗確率を減らす方法として、経験則も交えて書いておきます。


1|手持ちのリソースを確認

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自分自身のスキルやマシン環境含めて、使えそうなリソースはすべて確認します。ただ、この時点ではとりあえず確認するレベルでいいと思います。

❶人
人脈、チームメンバー、繋がり、知り合い、協力してくれる方など。すでに開発チームがあるなら超理想ですが、ない場合は誰かの協力が必須になります。
❷モノ
マシン、環境、オフィス、ソフトウェアなど、制作に必要な環境全てです。
❸カネ
何はともあれキャッシュは必須。生きていくお金はマストですね。
それ以外では出資してくれる人、貸してくれそうな人、銀行、融資先、VC、クラファンなどなど、あらゆる可能性を検討しておきます。

1-1|リソース調達するか検討する

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資源を見て全然足りないなとなった場合、まずは各種リソースを調達するかどうか決めましょう。

どんな結果を得たいのか?にもよりますが、それなりのちゃんとした売り上げを立てて事業として成立させたいという法人クラスの場合であればきちんと出資先の検討が必須です。

一方個人開発で副業や将来の可能性を意識してリリースしたいと言う場合は、それほどお金をかけないやり方での検討が理想的です。外部からの調達は特にしなくてもいいかもしれません。


1-2|人的リソースは経験者を選びたい

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法人クラスでこれから結構大きなビジネスを組んでいきたいと考えている場合、開発会社や開発メンバーの選定は超慎重に選びましょう。少なくともこれから手をつける場合であれば、かならず作りたいこと、達成したいことを満たせる人がいるチームに依頼することが失敗確率を減らす要素です。

オンラインゲーム未経験です!とか、このジャンル未経験です!っていう方に依頼する場合は相当のリスクや修正期間の調整等、いろいろなバッファは必須になることをあらかじめ想定した上でリソース確保、または発注をした方がいいです。

ゲームってすんなりできない。これめちゃくちゃ普通におきますので、このことをわかっている開発者に依頼することも超重要です。

個人開発者の方の場合や、これから新しい人を育てていくんだっていう場合のテスト版の開発時の場合などは、失敗やトライ&エラーが前提になりますので、それを繰り返しながら開発工程やスキルアップを目指していけばいいと思います。

1-3|既存リソースを使う

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この項目は少しイレギュラーですが、法人クラスのビジネスモデルでは割と選択肢の1つなのでご紹介します。

それはセカンダリービジネスを始める、または既存サービスを買ってくるという方法です。

セカンダリービジネスとは、ある会社のタイトルをそのまま譲り受けてサービスを継続するという事例です。日本ではマイネットが一番有名で、最近ではmixiがセガのコトダマンを引き受けて運営したりしていますが、こういった事例です。

すでにある程度サービスがいるものを買うということになりますが、新規営業が苦手な会社や、リスクを取れない会社などが取る手法としては実に健全です。あとはマーケティング力に定評がある場合などにも有効です。

最近はめっきりやりづらくなりましたが、日本のサービスだけでなく、韓国、台湾、中国、北米、欧州のサービスを買ってきて翻訳してリリースするという手法もあります。これは私も過去散々やってきたビジネスです。


2|市場の選択

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リソース量に応じて作れるものと提供できる市場が決まります。

不足のリソースを調達できるマネジメント力や調達力がある人ならばある程度市場は選べるかもしれませんが、ほとんどの方はリソースが不足している、またはある程度決められているかと思います。

そんなとき、市場の選択、配信国の選択という部分を最重要で考えます。

理由はこちらの記事にも書いていますが、市場の選択は売り上げの最大ポテンシャルが決まってしまうので、できる限り大きいところを狙いたいからです。

現実的にはSteamでの配信、PCプラットフォームでの配信、あとはやりやすさで言えばスマートフォン市場での配信かもしれません。

あえて家庭用や、イレギュラーで別のプラットフォームを選択することも可能ですが、大方この辺りでリリースすることになるかと思います。個人開発者やリソースが少ない状態の場合は、Steamでのリリースを検討するのが一番現実的なところなのかなとも思います。

実際、そういう選択肢も多いように見受けられますし。


3|配信パートナーを選ぶか決める


配信パートナーとは、いわゆるパブリッシャーをどうするか?という観点になります。パブリッシャーを選ぶメリットデメリットがありますが、その前に、パブリッシャーデベロッパーについて、少し触れておきます。

●パブリッシャーとは?
販売をしてくれるところで、広告宣伝費などを代行してくれるところになります。俗にいうプロデュース側になることも多く、あなたのプロダクトを広く配信してくれたり、マーケティングの知見を活かしてサービスとセールスをドライブするお手伝いをしてくれることもあります。
●デベロッパー
開発会社みたいな立ち位置です。パブリッシャーが別にいる場合は、あなたは開発側のスタンスとなります。

4|パブリッシャーと組むメリット、デメリット

ここでは一般的にパブリッシャーと組むメリットデメリットについてお話します。あくまで一例であり、契約条件によって大きく変わります。

●メリット

1つ、大きなメリットはそのパブリッシャが大手であればあるほど、知名度や信頼度が借りられるということです。

2つ、パブリッシャは大手、または資本が多いところが多いため、資金的援助をしてくれることがあります。いわゆる広告宣伝費、マーケティング部分を請け負ってくれるケースです。

ゲーム会社でのパブリッシャーといえば、バンダイナムコ、セガ、スクウェアエニックス、コーエーテクモゲームス、マーベラス、任天堂などたくさんありますが、これらの会社はもうゲームをリリースする知見が豊富で成功事例をたくさん持っています。

こういう大手とパブリッシャー関係が組めた場合はとてもセールス力に影響を与えますので、それなりのサービスに期待できるかもしれません。

●デメリット

それは、少なからずとも、いくらかのお金をお支払いする必要があるということです。契約条件にもよりますが、売り上げの何%をお支払いすることにもなりえます。

パブリッシャーと組むということは、セールス力や信頼度を借りるということが大きな目的となりますので、それはしっかりとした対価をお支払いすることが商慣習としては当然ですね。

もちろんパブリッシャー側も変なサービスや変な会社と組むことはできませんから、それなりの選定などを通過した後のお話になりますが、それでも対価を支払うにあまりあるメリットがあると思います。

特に個人や駆け出しの場合は相当ハードルが高いですが、やる価値は大いにあります。いや、むしろ組めたらラッキーです。


5|海外パブリッシャーと組むか決める

少し上のテーマの続きになりますが、パブリッシャーは何も国内だけではなく海外もたくさんあります。仮にSteamで出すときも海外のパブリッシャーと協業で展開することもあります。

あとはスマートフォンで中国展開したい場合、必ず中国法人や現地法人を通して中国の審査を通らないとサービスすらできないので、中国でリリースしたい場合はパブリッシャー協力などは不可欠となります。

Steamも勝手に中国内ではリリースできないので注意が必要です。

6|自社配信する場合

パブリッシャは決めず、すべて自社で配信するとした場合、プロモーション、販売手配についてはすべて自社で手がけることになります。

売り上げは手数料を除いてはすべて自社の取り分とはなりますが、販促やマーケティングが未経験の場合はかなりのトライ&エラーを繰り返したり、ハードな道になることは避けられませんので覚悟が必要です。

ただサービスを作って配信することは、ここまでの苦労を含めて楽しい部分だったりもしますので、経験できるならば経験しておいても結構楽しいものです。

7|作るものを考える

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今まで散々市場関係やマーケットについて話をしてきましたが、これは人によって取り組む順番が変わります。

たとえばプロダクトありきの人もいますし、マーケットやビジネスの座組みから取り組む人もいます。それによって取り掛かる順番や優先度が全く異なるからです。

ちなみに上の流れは、後者の方で、マーケットやビジネスの座組みから取り掛かる事例をお話ししています。なぜその順番でお話をしているのかというと、できる限り失敗確率を減らすという前提で記事を展開しているからです。

話を戻しますが、ここまできてようやく作るものを考えていきます。市場選定やパブリッシャー選定のときにある程度やりたいことは少しは検討していたと思いますが、誰かと組むのか、または自社単独でやるのか?がある程度固まってから、初めて何を作ろうか?を考えます。

理由は、市場が求められているものがどれか? 選んだ市場によって求められているタイトルやサービスの特徴も異なるからです。

たとえばSteamは比較的幅広いジャンルで出してもユーザー層が幅広いのでゲームジャンルは対応できますが、スマホだとある程度作るジャンル、売れるジャンルが決まります。

最初からこのプラットフォームで受けそうなゲーム!って作るのならば、それでいいとは思いますが、出資者の状況やプラットフォームの波に合わせて調整や変化は難しくなります。

それよりもある程度出資者が求めていることや説得できる材料が決まってから、どのプラットフォームで出すのか?ということを検討できるのならば、ある程度お金やリソースを固めてから作るものを決めても遅くはないということです。(相当なプレゼン力は必須ですが、リソースが無駄になりづらいということです)

8|制作工程も含めてPRを仕掛けていく

小さなリソース、個人開発であれば開発前からSNSやブログで積極的に情報開示はしていった方がいいと考えています。結果的にそれがPRにもなりますし、制作工程に興味を持つ人も多いからです。

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リリース戦略についてはこちらの記事をご参照ください。

だんだんとできていく工程や、その発信者、開発者のファンになることも多く、長期で付き合うことができればゲーム完成時にお客さんになる可能性も極めて高くなるからです。

いわゆるザイオンス効果とマーケティング的な観点で言うと接触頻度が高いほど、人は親を持ちやすくなるということです。ゲーム開発も小さければ小さいほど、人柄などを見られることが多いにありますので、その辺に注意しながら情報発信をされていくといいんじゃないかなと思います。

8|まとめ

・新規ゲーム制作時はとにかくリソースの確認をする
・リソース不足の場合、足すのか、
 そのままやるのかの目安を立てる
・目標設定を行う(なくてもいいけど)
・パブリッシャーを決めるのか検討する
・作るものを考える
・情報発信を行う

思えば何を作ればいいのか?についてはここでは詳しく書いていない。なぜなら、作りたいものから入る人もいるし、資金集めやパブリッシャ選定の時に、これなら売れそうじゃないか?という話は回避できないので、そこから企画を詰めていくこともよくあるからです。

プロダクト主導型は悪くはありませんが、マーケットやユーザーの変化に対応しづらいので、その分野での知見や経験、プロダクト開発によほど自信がある人でない限り、いきなり全財産や人生をかけてとっかかるのは避けた方がいいです。これだけはいえます。

作れば売れると言うのは残念ですが幻想なので、リスクを考えながらもできる限り失敗する確率を減らしつつ、成功要因を模索していくことが結構ゲーム開発では大事なポイントになります。と、私は考えています。

だから、1つ1つの作品はとても大事です。

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