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命かけてまでして獲るもので無し 鮎漁師の呟き

朝目覚めれて  川に居る
スパルタリハビリ
避暑だと 木陰を探し 網を巻く

天気図と気象レーダーを眺め
雷雲が消えたと 同時に
出かける

最後の判断は 観天望気
太古から なんら変わらない

天然遡上若鮎達の気配
静かに静かに 網を巻く
足元を 若鮎達が右往左往している

“一網で 100匹”

そんな 宝くじに当たるような時も
たまに ある。

空を 眺めながら 網にかかった鮎を
外して行く

網を刺す 鮎は 網目に絡む
器用に 解すように 外して行く
黙々と 空眺めながら
勿論 水の中である

対岸の雲行きが 怪しい
雲が重なり 黒い雲となる
雷鳴が 轟き出す

雷⚡︎に 当たって亡くなる人は
年間数名....
とは言え......

対岸に 落雷の閃光が見え出した

帰ろう......

“命かけてまでして 獲るもので無し”

いつもの漁場では 家族連れが
まだ水遊びを している
“大丈夫か?”

家に 着き 暫くすると
大嵐
雷に 大雨に 久々である

“庭で SUPが 出来るぞ”

そんな冗談を 言いながら側溝の
塵を 片付ける坊は 大雨に打たれている

鮎を仕分けながら 空を仰ぐ

朝目覚めれて 川の中に居る
昼からは 猛暑だと

昨日 獲れた鮎溜まりに鮎の気配は無い

渇水で 鮎の動きが無いのだから
日に日に 獲れ高は 減って行く

バタバタバイクに乗り
他の漁場を 渡り歩く

鮎漁師達が 話かけて来る
“獲れたか?”
“昨日獲れたが 今日は 獲れん”
“何分の綱や?”

鮎漁師の会話は そんなものである

土用隠れ
柳の下の深場に溜まる
入っては 見るが...
”濁った 水に鮎は居ない“

”ここには 鮎おらん“と お爺に告げ
次の漁場へ

昨日の 一網 100匹が 
忘れれ無いのであろう
気がつくと 猛暑の漁場を彷徨っている

やはり ここに居た...

鮎柱だ....



目の前を 鮎達が 舞っている

次から次へと

あの下には 何百もの鮎が居る

手にした網を 巻きながら
網を張る いつしか 足は立たず

泳ぎながら張っている
手にした網に 身体が引かれる

水呑んだら 溺れるな...
水深は 3mを 超えている
水は 冷たい

ふと 我に返る

“命かけてまでして 獲るもので無し”


深追いは 禁物である

かかった鮎の 腹を出し 氷へ

水から上がると 重力が支えられない
くらい フラフラである。

気がつくと 炎天下
昼餉の時間もとうに 過ぎている

帰ろう.....

獲れた天然遡上若鮎達
すぐさま 甘露煮に 炊き出す
シラスも そろそろ無くなるからかと


“頭痛てー”
身体は 冷やしても 頭は....

贈った鮎の御礼のメッセージが入っていた。

“スパルタリハビリも ほどほどに”

御意


ギランバレーに恋をして
スパルタリハビリ
命かけてまでして 獲るもので無し
鮎漁師 浮世雲拝

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