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転職サイトの書類選考すら通らない僕が、Juice=Juiceの『未来へ、さあ走り出せ!』を語りたい。

永遠に続くと思っていた25歳は終わりを告げた。

生きている限り、目の前に襲いかかってくるのは未来という絶望だ。
もうダメだ。そう思ったとしても、走り出すしかない。

そんなとき、彼女たちの歌が聞こえる。

満員の日本武道館に響き渡るゆかにゃコール。
宮崎由加、25歳、彼女は2019年、ハロープロジェクトを卒業した。
そんな彼女のラストナンバーは

Juice=Juice
『未来へ、さあ走り出せ!』

宮崎由加と自分は同級生だ。
1994年生まれ、少しずつこの世界になれた頃には、阪神・淡路大震災。オウム真理教による、地下鉄サリン事件と、バブルが崩壊した日本の未来はあまりにも、暗い未来が待っていた。

もう、このまま、人類が仲良く滅んじゃえと言わんばかりの世紀末。
希望にも絶望にも満ちた、ノストラダムスの大予言、アンゴルモアの大王は、この世界を終わらせてはくれなかった。

当時、4歳の自分にも、なんとなく、世界が終わるんだと、信じてなさそうな母親と姉の会話はなんとなく記憶にあるし、滅びることのなかった世界で、モーニング娘。が、『LOVEマシーン』をリリースして、日本の未来にWow×4してた頃。

目をこすれば、小学生になっていた僕らは、ゆとり世代と闇雲に大人たちから馬鹿にされ、9月11日に飛行機がビルに突っ込んだり、電車が、マンションに突っ込んだりしながら、少しずつ大きくなっていた。

クソみたいな思春期に、初恋は終わり、リーマンショックって大変ね、なんてわかったふりをしながら、黒人大統領の誕生と、木村拓哉が総理大臣になった中学生を終える。

深夜アニメの影響をもろに受けて、振り返ればきっと涼宮ハルヒがいると思ったクラスは、男子しかいないクラス。青春なんて、笑いながら低い天井を見上げていると、揺れる日本。テレビから流れる映像は、まるで世界の終わりを映し出すような場面。
この先の未来に何があると思うと、甲子園で活躍する、同世代のスターたち。
藤浪晋太郎、大谷翔平、羽生結弦。
僕には、決してかっこいい未来は待ってない。
そんな、時代を、宮崎由加は、どんなふうに過ごしていたのだろうか。
2013年、9月。
僕が人生の夏休みを謳歌する頃。
Juice=Juiceはメジャーデビューした。

アイドル 宮崎由加として、人生が始まった日。
あの頃の僕は、まだ人生なんて始まってなかったのかもしれない。

2013年から2019年。
アイドルとしての6年間。
もぎたて、しぼりたてのJuice=Juiceのリーダーは宮崎由加だった。
ただなんとなく生きている僕と、1つのアイドルグループを引っ張るリーダーと、人生の差は中々埋まらないことだろう。

もし、その6年間を振り絞って生きていたら、今の僕は、何か違った存在になれたのか。
新卒だったり、ニートだったり、社会人だったり、そんな当たり障りない6年間、日本の片隅に彼女たちの歌はどこかで誰かの背中を押していた。
何者でもない、自分という言葉が、ネットで流行ってたとき、確かに僕は何者でもなかったし、今でも、何者でもない。

とはいえど、彼女たちが、歩いてきた道を追いかけたとき、走り抜けるしかない。そう思えた。

息切らし 走り抜けた道の先で
擦りむいた傷を撫でて 距離を計ってる
ストレイトな理想掲げ 一直線
振り返れば 回り道の連続だったね

プライドも投げ捨てて もう一度チャレンジだ
迷ったらここからさ スタートライン

こうやって、振り返ってみると、呼吸するだけで精一杯、そんな人生。
もう少し、人生を楽に歩ませてくださいと思うことも多々あるのだけど、この回り道こそが、やっぱり自分の教科書だし、Wikipediaだし、まとめサイトだし、この歴史のアクセス数は月間30ビューでも、誰も編集できない僕だけの歴史。
生きていく中で、こだわるワークライフバランス、給与、将来性、あのときは何も思わなかったことが、プライドとなって自分自身に大きな壁となる。
でも、それを取っ払うしか無い。
もう一度、走り出すには。

パスワードも時が経てば 忘れてゆく
強がりも嘘も恋も 過去に置いてきた
本当の決意はそう 静かなもの
前髪の隙間からね 見つめてる未来

不器用も今ならば愛せるの 不思議だね
イビツでも構わない ナチュラルで行こう

何かを変えたくて始めたブログもログインできなくなった。どうせなら消してしまいたい彼女へ書いたポエムみたいな記事も、ネットを彷徨い続ける。
どうして君が好きだったなんかなんて、もう覚えてないけれど、それも嘘なのかもしれないけれど、虎視眈々と君を見返すぐらいの未来を夢見てる。
誰にも言ってないけれど。

そんな、馬鹿で恥ずかしい自分すら、少しだけ愛せたりする。
それは、やっぱり、自分を愛することを教えてくれた人たちがいるからだと思う。
自分らしく、ありのままに、生きていく。
そんな未来をやっぱり、捨てれないものなんだ。

強くこの左足で 土を蹴る音が響く
そのハードルを飛び越え 新たな時代を刻もう
また助走が必要なら ここへ戻ってくればいい
何度でも立ち上がろう 行くぜ!私たちの未来!

今すぐさあ走り出せ! ツマサキに想い込めて
スカートめくれちゃうけど そんなこと気にしないのさ
あの頃の私よりは 少し強くなれたかな
次の時代が始まる 行くぜ!私たちの未来!
Juice=Juice!!!

あの頃と、つい自分を比べてしまうのは、大人になる以前から。
全盛期なんて、いつなんだ。今なんだよ。そんな桜木花道みたいなことを言えるほどかっこよくないしね。
でも、何度でも超えてきた先に後ろを振り向くと、まだ走ってる昔の自分がいる。

そんな、自分に負けたくなくて、やっぱり、走り続けるのだ。
もう戻れない、場所もある。
戻れる場所もある。

それを知ってるのは自分自身。
いろんな、世界を見てきた。テレビで、パソコンで、スマートフォンで、世界中に蔓延する疫病も、きっとその先の未来に、何かあるに違いないって。

だから、走るんだ。

『未来へ、さぁ走り出せ!』

Juice=Juice

そんなふうに思えてくるこの歌を、自身のアイドルとしての最後の楽曲として、歌いのけた、宮崎由加は、とてつもなくかっこよく。そして可憐だ。

幾度となく、失敗を繰り返して、逃げ出したくなる日々。
「逃げてもいいけれど、なら走って逃げろ。」
昔、友達に言われた名言。

もちろん、嘘だ。
今思いついた。
こんなふうなスタンスで生きていく。
でも、決して、歩みを止めることはない。

この歌の1番のキモは、未来というのは来るものではなく、自ら赴くものということだ。
何をして生きていても、勝手にやってくるものが未来だ。僕たちの人生にバックトゥザフューチャーを起こすのは、自分自身でしかない。

明日もまた、当たり前の未来がやってくる。
そう、明後日も。
でも、1年後、2年後、10年後、そんな未来には走って行きたいんだ。

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