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「インプット・ルーティン 天才はいない。天才になる習慣があるだけ」を読んで

「インプット・ルーティン 天才はいない。天才になる習慣があるだけ」を読んで、特に心に響いたのは、著者が「天才」という概念に対して新たな視点を提供している点です。

多くの人が「天才」は特別な才能を持って生まれた人のことだと考えがちですが、著者はその考えに反対しています。著者によれば、天才とは生まれつきの才能ではなく、日々の習慣と努力によって作られるものだというのです。

その中でも、アイデアに関する定義が非常に印象的でした。ジェームス・W・ヤングは「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせに過ぎない」と述べていますが、著者はそれをさらに発展させ、「既存のアイデア×既存のアイデア」に加えて、「大量のインプット」が必要だとしています。

つまり、アイデアが生まれるためには、過去にどれだけ多くの情報をインプットしたかが鍵となるということです。何も知らない状態で新しいアイデアが浮かぶことはありません。頭の中に大量のデータが蓄積されているからこそ、新しい発想や組み合わせが可能になるのです。

私はこの考え方に共感しました。たとえば、私たちが日々何気なく行っている読書やニュースのチェックも、実はすべてが未来のアイデアの種となっている可能性があるのです。

著者が言うように、クリエイティブな人ほど独自のインプットのルーティンを持っているのも納得です。著者が出会った数々の才能ある人々は、必ず何らかの形で「大量のインプット」を続けており、それが彼らの斬新なアイデアを生む原動力となっているのです。

特に、読書が最強のインプットであると著者が強調している点には深く共感します。読書は、他の情報収集方法とは異なり、文字を追いながら自分で考え、解釈し、頭に定着させる非常に能動的な行為です。

著者は読書を「頭のダンベル」と表現していますが、まさにその通りです。読書を続けることで、頭の中に新しい知識が積み重なり、やがてそれが新しいアイデアとして形を成すのです。

このことを象徴する人物の一例として、世界的なビジネスリーダーであるビル・ゲイツが挙げられています。ゲイツは半年に一度、自分の仕事を離れて1週間の「読書週間」を設け、小さな山小屋にこもって本に没頭するのです。彼ほどの成功者が、時間を割いてまで読書にこだわる理由は、読書が自分の考え方を広げ、新しい視点を提供してくれるからだと想像できます。

現代はスマートフォンやパソコンなど、私たちの集中力を奪うものが溢れています。だからこそ、著者が言うように、意識的に読書を習慣化することが重要です。

読書を続けることで、他のことに気を取られる時間が減り、集中して何かを学ぶ力が身に付くのです。電子書籍も便利ですが、私は紙の本にこだわります。紙の本の方が、物理的にページをめくるという行為が加わり、頭の中に知識が深く刻まれる感覚があるからです。

この本はアーティストやクリエイティブな仕事に携わる人に向けられた内容かもしれませんが、私としてはあらゆる職業の人にとって参考になる一冊だと思います。

現代はどの分野であっても、新しいアイデアや視点が必要とされる場面は多いはずです。そして、そのアイデアの源泉は、日々のインプットから生まれるという著者の考え方は、多くの人にとって大切な教訓となるでしょう。

優秀な人を見て、あの人は天才だからと考えるのでなく、自分自身の日々のルーティンを変える努力をしていく方がよいでしょう。


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