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あんときのデジカメ  24mm広角ワイドで迫る石垣の名城「丸亀城」 with SONY Cyber-Shot DSC-WX10

(はじめに)ものごとにはデフォルトの認識というものがあります。筆者にとってお城のデフォルトとは石垣で有名な丸亀城になりますが、様々なお城との出会いは、デフォルトを拡大発展させることになりました。ウィトゲンシュタインに従えばそれが生きる世界を拡大するという事態でしょうかね。そんなことを考えながら丸亀城を24mm広角ワイドのSONY DSC-WX10で撮影してみました。

ものごとを理解する出発としてのデフォルト

 ものごとには、様々なバリエーションや形態がありますので、一言で「なになに~」といっても、そうではない場合があります。そういう凹凸があるからこそ世界は画一的ではなく多様性に満ちあふれているのではないかと思います。

 しかしそうはいっても、そのひとの認識の出発点となる「デフォルトといったものもあります。生まれたばかりのひな鳥は、眼の前で最初に動いて声をだすものを親だと覚えこんでしまう習性があると言われています。この学習行動をインプリンティング(imprinting)と言いますが、それは人間にとっても同じかも知れません。

 例えば、日本のお城に注目してみれば、そこには様々なバリエーションが実在します。大雑把に俯瞰すれば、戦後時代初期のころまでのお城は圧倒的に山城が多かったといいます。堅固な要塞としての山城が防御拠点として重宝されたことに由来します。しかし、平地の丘陵に築かれた平山城や、平地の平城が主流となり江戸時代を迎えることになります。そして数万もあったと言われるお城は、徳川幕府の一国一城令により整理され現在へと至るのですが、それでも「お城」と一口に言っても様々な形態があることは事実です。

 さて、僕にとってのお城のデフォルトとは何かといえば、やはり平城の丸亀城(香川県丸亀市)になってしまいます。ひな鳥ではありませんが、やはりそれを最初に見たからでしょう。岐阜県にお住まいの方なら山城の岐阜城が城「認識」のデフォルトになっているのではないかと想像しています。

 では、丸亀城とはどのようなお城でしょうか。丸亀市は次のように概要を紹介しています。

標高約66mの亀山に築かれた平山城で、別名亀山城と呼ばれています。本丸・二の丸・三の丸・帯曲輪・山下曲輪があり、東西約540m・南北約460mのうち内堀内の204,756m2が史跡範囲です。「石の城」と形容されるその名のとおり、丸亀城は石垣の名城として全国的に有名です。大手門から見上げる天守は威厳に満ち、夕暮れの天守は優しさをまとって、心を和ませます。400年の時を経た今日でも決して色あせることなく、自然と調和した独自の様式美をはっきり現在に残しています。(公財)日本城郭協会が選定した「日本100名城」にも選ばれ、花見や散歩など市民の憩いの場として親しまれています。
(出典)丸亀城について--丸亀市


私の言語の限界が、私の世界の限界を意味する

 丸亀城は「石垣の名城」と言われる程、見事な石垣が有名です。インプリンティングとは恐ろしいもので、日本のお城とは、立派な石垣がつきものという原初のイメージが刷り込まれました。しかし長ずるにつれ、さまざまなお城の造形と出会うなかで、お城に対するイメージというものが増幅、あるいは多様化され、実に様々なお城というものがあるのだなあという事実に気づくことになりました。

 その意味では、デフォルトの認識が必ずしも唯一の正しい認識ではなく、それは「たたき台」のようなものに過ぎないのではないかと考えるようになりました。これはお城一つに限らないことではないでしょうか。

 その意味では、デフォルトの認識に引きずられてしまい、世界の多様なあり方を理解できないとすれば、それはそれで不幸な状況なのではないかと考えています。


一 世界は成立していることがらの総体である
(出典)ウィトゲンシュタイン(野矢茂樹訳)『論理哲学論考』岩波文庫、2003年、13頁。

 これは、言語哲学者ウィトゲンシュタインの前期哲学の集大成といってよい『論理哲学論考』冒頭の言葉です。世界が事実という命題から成立していることを指摘したものですが、互いに独立してそれ以上分割できない命題のことを要素命題と呼び、要素命題の集まりを複合命題と呼びます。

 しかし世界を構成しているのは、事実の集合であり、ものの集合ではないとウィトゲンシュタインは指摘します。それが冒頭の言葉に続く「世界は事実の総体であり、ものの総体ではない」というものです。

 例えば、「私は丸亀城をカメラで撮影した」という複合命題には、私、丸亀城、車といったものが含まれます。しかしそこにものとの関連性という事実が含まれていなければ文章は成立しません。ことばとは、ことばそのものだけでは意味をなさず、命題となって初めて意味を持つとの意義です。それを「私の言語の限界が、私の世界の限界を意味する」ともウィトゲンシュタインは指摘しています。

 言語とは単語として成立しているのではなく、それを認識し使う人の生きている世界を必ず反映します。その活用ができていない、すなわち言語で表すことができない領域のことは、そもそも考えることすらできないのだとウィトゲンシュタインは語りました。

 その意味では、私たちは物事を考え始めるにあたり、あるいは認識しはじめるにあたり、ともかくデフォルトのそれから出発せざるを得ませんが、デフォルトにこだわり続けることというのは、いわば閉じた世界に徹底し続けることかもしれません。対して、デフォルトの認識を更新し続けるということは、住んでいる世界を拡大していく営みであると理解することも可能なのではないでしょうか。

とにかくレスポンスの良い24mm降格ワイドのスタイリッシュコンパクトデジタル

 さて、筆者のお城認識は丸亀城から始まり、その当初は立派な石垣というものがお城認識のデフォルトでした。しかし、様々なお城との出会いは、お城とは石垣だけでなく、天守閣や堀の造形、あるいは、櫓や大手門など様々な要因から成立した複合建築であると理解するようになりました。その意味では、丸亀城はたしかに立派な石垣を擁していますが、それに対比すると、天守閣がちょっと可愛らしすぎますね。

 そんな様子を撮影したのは、2011年発売のSONY製コンパクトデジタルカメラ「サイバーショット」シリーズのDSC-WX10です。初号機のWX1から使い続けているモデルですが、非常にコンパクトなボディに沈胴式レンズのおかげでこれぞ「コンパクトデジタル」という印象が強いカメラです。

 しかしすごいのはコンパクトさだけではありません。裏面照射型CMOSセンサー明るいGレンズ高速連写フルHD動画撮影など機能もてんこもりで、手頃なスリムスタイリッシュ機を探している人には魅力的なカメラではないでしょうか。家電からデジタルカメラへ進出したメーカーとしてまだまだ元気なSONYの魅力はここにあるのかも知れません。

 では、簡単にスペックを紹介します。撮像素子は1/2.3型裏面照射型CMOSセンサー「Exmor R」で、画素数は有効1,620万画素。レンズは光学7倍ズームのソニーGレンズで、焦点距離は35mmフィルムカメラ換算で24-168mm相当になります(F2.4-5.9)。広角24mmというコンパクトカメラとしては非常にワイドなレンズになりますが、その開放f値が明るいこと、そして光学ズームが7倍まで対応していることが、このカメラをますます使いやすくしていることは言うまでありませんよね。そして逆光につよいことも魅力です。

 また、とにかく起動が早くレスポンスがよいのも使い勝手の良さです。このあたりはさすがに2011年製ということもありますが、SONYのデジタルカメラが何に力を入れているのかこのあたりは物語っているのかも知れません。

 ということで以下作例です。つたない写真ですが、ご笑覧下さればと思います。


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↑ 光学広角端24mmで撮影(A)。

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↑ (A)を7倍ズーム光学望遠端168mmで撮影。

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↑ 色彩表現力が非常にすぐれたGレンズ

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ということで撮影データ。プログラム撮影、ISO100、ホワイトバランスオート、露出補正なし。画像は16M(4,608×3,456)サイズで保存。撮影は9月27日。撮影場所は香川県丸亀市。




氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。