2020年人生を変えた本 第1位
前回の記事では、第2位について書きました。
前々回の記事では、第3位について書きました。
今回はついに第1位です。
2020年人生を変えた本、第1位について書きます。
『その生きづらさ、発達性トラウマ? ポリヴェーガル理論で考える解放のヒント』
著者:花丘ちぐさ
ぼくは、漠然と子どもの頃から「生きづらさ」を感じていました。
「生きづらさ」なんて、誰でも抱えているとは思います。
特に感じていたことは、感情があまり動かなくて、嬉しいや楽しいを表現することが苦手でした。
よく思っていたのは、誕生日などを祝われた時に「この場面は喜ばないといけないよな。」「楽しいって思っているように過ごさないと。でも、楽しいってどんな感じだっけ?」のようなことです。
でも「みんな生きづらさを抱えているからしょうがないよね」とは思えなくて、ずっと考えていました。
ぼくが【人間】に興味を持つようになったのも、もしかしたらここが原点かもしれません。
【人間】を知ることができれば、漠然とある生きづらさをどうにかできると思ったのかもしれません。
そして、この本を読んで初め知ったことが2つあります。
「不適切養育」と「発達性トラウマ」の2つです。
不適切養育とは?
この本では、このように紹介されていました。
『不適切養育とは、文字どおり、不適切な子どもの育て方です。子どもにとっては、おっぱいを飲ませてもらったり、お風呂に入れてもらったり、おしめを変えてもらうなどのお世話をしてもらうこと、「安全である」と感じさせてくれるやさしい働きかけがあること、成長の過程で、適切なお手本を示してもらうことなどがとても大切です。そうしたことが適切に行われていなかった場合、不適切養育となるおそれがあります。』(p10-11)
つまり、どこでも容易に、起こりうるものであるということです。
子どもが、「安全である」と感じれない瞬間が一度もないことなんて現代であるのかなと、思っています。
そう考えると、多かれ少なかれ誰でも、その影響を受けているのではないかと思っています。
発達性トラウマとは?
こちらはこのように紹介されています。
『発達性トラウマとは、子どもの成長の過程で起きてくるトラウマのことです。専門的には、幼少期の慢性的なトラウマによって生じる心身の不具合のことを「発達性トラウマ障害」と呼びます。発達性トラウマについては、不適切養育や、虐待が原因になることもありますし、自身の病気、事故、医療処置、家族の病気や事故、自身や家族の長期にわたる入院や、家族に特別な世話を必要とする人がいるなど何らかの理由によって、親から十分な愛情を受けられなかった、などさまざまな原因が考えられます。最近注目を浴びている「愛着障害」も、発達性トラウマの一つと言えます。』(p11)
つまり、子どもの時に起こることが大きいことでも、小さいことでも、「発達性トラウマ」になりうる可能性があるということです。
この2つのことから、何となく「生きづらさ」を感じている人は多くいるのではないかと思っています。
それは大人もそのように感じている可能性があって、その連鎖により子どもに影響を及ぼしているかもしれないと思うのです。
本のなかでは、『人類の負の遺産』と呼ばれていました。
自分の体験から
母親の言葉で印象に残っている言葉があります。
「子どもなんて産まなければよかった」
いつどのタイミングで言っていたのかは定かではないですが、自分のなかにこの言葉が残っています。
直接、自分に向けて言われたわけではありませんが、母の子どもは自分であり、間接的に自分たちの(弟が一人います)ことなのだと理解しました。
この言葉からなのかは、分かりませんが、自分自身「誰かに役に立たなければならない」という思いが強くあります。
極端に言うと、「誰かの役に立たなければ存在してはならない」とつい最近まで思っていました。
診断を受けたわけではないので自分の判断ですが、この出来事があることで自分自身に「発達性トラウマ」として残っているのではないかと思いました。
この本を読んだ時にしっくりとくる感じがあり、今まで自分が抱えていたものを説明してもらえたような感覚がありました。
そのように思うようになると、ある考えに浮かんできました。
それは、母親もその言葉を出してしまうほどに追い込まれていた時期があるのかもしれない、ということです。
言いたくてその言葉を発したのではなく、母親自身も苦しい思いをしており、たまたま出てしまった言葉が子どもである自分が耳にしてしまった。
それが自分の中に残っており、苦しめている要因である可能性がある。
まさに、『人類の負の遺産』の連鎖が出来上がっている。
もしかしたら、社会の問題?
そのように考えると、単純に母親だけの問題ではなく社会的な問題にも及ぶことなのかもしれません。
もちろん、母親自身の個人的な問題もあると思います。
でもそれだけでなく、誰もが苦しいと思ってしまう社会があって、どう頑張ってもどうにもできない状況が作られている可能性もある。
考えるべきは、個人のことを含めた、もう少し広い社会のことなのかもしれません。
だけど、個人が出来ることには限界があるので、自分自身がやれることをやることです。
その一つとして、「不適切養育」と「発達性トラウマ」というものがあるということを周りに伝えることです。
それを知ることで、自分自身のことを考えるきっかけを作ることです。
その輪が広がっていくことで、社会的にも変化を促すことが出来るかもしれないと思っています。
またそこへアプローチする方法として、からだのケアは重要だと考えています。
からだに目を向けて、からだを整えることで、自分自身にある『負の遺産』に気づいて、断ち切ることが出来る可能性がある。
からだへのアプローチは、自分に気づく最適な方法です。
また、ぼく自身はそんな「なんとなく生きづらい」と思っている人をからだを整えることでサポートをしていきたいと思っています。
自分自身もなんとなく生きづらさを感じてきたから、どうしたら拭えるのかを考えてきたから、そしてちょっとずつ生きやすくなっている自分がいるからこそ、何かしらの力になれるのではないかと思っています。
まとめ
この本で、自分にある思い込みについて考えることができました。
さらに、考えることで様々な方向に思考を巡らせることができました。
そして、自分の仕事についても考えることができました。
今までより、からだのアプローチの可能性も感じることもできました。
2020年、もっとも考えるきっかけを与えてくれた本です。
これらの理由から、2020年人生を変えた一冊として1位に挙げました。
これだけ長い文章を最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?